不動産トピックス

今週の一冊

2019.05.20 11:10

最後のブルーオーシャン?

最強の京都「町家」投資
著者:児玉 舟
発行日:2018年8月30日
発行所:幻冬舎メディアコンサルティング
価格:1500円(税別)

 著者は建築・不動産会社に15年間勤務した後、京町家を宿泊施設として保存・再生する事業を手がけ、事業開始から2年でホテル13棟を含む47の宿泊施設を開業し、2020年度中にさらに百施設の開業を計画しているという。2018年夏に既に「不動産投資ブームに陰りが見え始めている」とする本書は、利益の上がる投資物件が枯渇している現状から、「今、投資する価値が最も高い物件は『京都の町家』」と断言。
 「賃貸需要」よりも「インバウンドの宿泊需要」に目を向けるべきというが、果たして「京町家」は日本で最も高い利回りが期待される不動産なのだろうか。
 本書では次々と投資の利点が並んでいるが、従来の利回りや市況を中心にした背景より、例えば壬生寺近くの宿を「コスプレ宿」と改名し新撰組にちなんだコスプレを楽しめる、謎解き入室ゲームを設けるなど独自の方法が面白い。京町家のオーナーになるには投資家よりイベントプランナーが向いているかもしれない。
 日本人にとってはるか昔より大切な都市のひとつ、京都は今や伸び悩む不動産投資の最後の砦のようだ。投資家に「町らしさ」をこれほど大切にされる都市はそうあるまい。今後の町家の盛り上がりに期待。

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