不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.03.04 16:10

グローバルエージェンツがホテル事業を加速 2019年には7棟開業し海外へも進出
福岡・大阪初出店 小樽は歴史的建物再生
 全国で42棟2300室を展開するコミュニティ型住宅「ソーシャルアパートメント」はじめ、全国で7棟600室のブティックホテル、ライフスタイルホテルを運営しているグローバルエージェンツ(東京都渋谷区)では、ホテル事業を加速させる。
 2019年新たに7棟のホテルの開業を予定している。都市型では福岡と大阪を初出店させる。東京都内では麻布十番で5棟目で麻布十番商店街沿いのライフスタイルホテルになる。川崎は新築ホテルになる。
 同社の主力である都市型ホテルを、これまで未出店エリアであった福岡と大阪でそれぞれ初出店する。博多は300室超えとなるシティホテルの再生案件で、大規模リノベーションによって、宴会場やザ・ミレニアルズも併設させた次世代のシティホテルを提案する。大阪・本町は同社初となる新築ホテルだ。
 これにより都市での出店エリアは、北から札幌、東京、京都、大阪、博多、那覇をカバーし、より網羅性の高い出店構成となる。
 都市型だけにとどまらず、地方観光地である北海道小樽、東京近郊リゾートである千葉県御宿でもホテルを再生させる。小樽は、北海道で初の外国人専用のホテルとして1931年に建築された小樽市指定歴史的建造物のホテルを、そのクラシックな建築的美観は残したままコンテンポラリーデザインをミックスさせたブティックホテルとして再生させる。
 千葉・御宿は東京近郊リゾートホテルの再生になる。これらの開発・運営経験を通して、都市型から郊外・リゾートまでより一層幅の広いホテル展開が可能になる。
 また同社として初の海外進出となる台湾での開業も計画。同社ホテルの海外ゲスト比率は7割に至っており、その主なセグメントはミレニアル世代だという。ミレニアル世代は、全世界で共通のウェブサービス、アプリ、デバイス等を利用し、ソーシャルメディアを通して常に全世界の情報に触れているため、共通の価値観や感性を持つ傾向にある。彼らをターゲットとすることで、十分に価値を訴求できるという。台湾での出店を通して、今後の積極的な海外展開に繋げていくことを目指していく。
 現在同社が展開しているブランドは、ホステルの雰囲気を体験できるホステルホテル「HOTEL GRAPHY」、旅先の1泊目で様々な現地情報に出会える「ESTINATE HOTEL」、ユニークなテーマで世界観を演出するブティックホテル「UNWIND HOTEL & BAR」、「未来が見える宿泊体験」がコンセプトのポッド型ホテル「THE MILLENNIALS」の4つ。今後も同社は新しいライフスタイルブランドを立ち上げる計画だ。
 既存の運営ホテル数に加え、今年の開業によりホテル運営数は14棟1400室となる。さらに海外への展開を加速し、2022年までに運営数30棟3000室まで拡大を目指していきたいという。
 同社はまた、コスモスイニシア(東京都港区)から、新ホテルブランド「APARTMENT HOTEL MIMARU」の運営を受託し、ブランド1号店となる「MIMARU東京 上野NORTH」を2月8日にオープン。
 同施設はJR山手線「上野」駅から徒歩8分に位置。鉄筋コンクリート造地上8階地下1階建て。客室は40室。ランドリールームを併設する。
 キッチンやリビング・ダイニングスペースを備え、4名以上のグループでも過ごせる34㎡から52㎡まで。「和」のテイストで統一感を演出した室内には、キッチンやダイニングスペースを全室に確保し、快適な中長期滞在を可能にした。 
 「APARTMENT HOTEL MIMARU」は"暮らすように滞在する"をテーマに中長期滞在のニーズを見込んでいることもあり、客室内での快適な空間提供に留まらず、暮らしの延長線上にある体験を通して滞在中の過ごし方を提案する。

小田急電鉄とUDSがスリランカでリゾートホテル
 小田急電鉄(東京都新宿区)とグループ会社の UDS(東京都渋谷区)は、スリランカでリゾートホテルの共同開発に乗り出す。
 このプロジェクトは、スリランカの成長につながるビジネスのコーディネイトや投資事業などを行なっている現地企業のTAD Lanka(TAD スリランカ)、海外不動産投資コンサル事業を行なっているステイジアキャピタルホールディングス(東京都港区)の4社によるもの。総額約25億円を予定し、スリランカ・ミリッサで2020年度の開業を目指して開発に着手する。
 スリランカは2009年の内戦終結以降、国内情勢安定化を背景に復興需要などで高い経済成長をみせている。8つの世界遺産や豊かな自然、四方を囲む海でのアクティビティ、アーユルヴェーダなど豊富な観光資源を有している同国は経済成長の加速とともに外国人旅行者も増加。一方で、30年に及ぶ内戦の間ホテル開発が止まっていたことから、国全体として宿泊施設が不足している状態にあるという。
 日本を中心に海外においてもホテル事業を展開している小田急グループでは、人口減少時代を迎える日本の環境を背景に、海外成長マーケットでの事業展開の検討を進める中で、観光業をはじめとして高い可能性を持つスリランカに着目、今回のプロジェクト始動となったもの。
 同社の海外マーケットへの取り組みには、2018年7月のオーストラリア・ニューサウスウェールズ州での大規模住宅地「(仮称)ボックス・ヒル・プロジェクト(Box Hill Project)」開発への参画に続く2案件目となる。今後は海外進出を行っているスリランカ、オーストラリアへの小田急グループ既存事業の展開を検討するほか、その他の海外エリアにおける事業展開の可能性についても検討していくという。
 一方、UDSは日本国内でホテル・ホステルを9カ所運営しており、中国と韓国に現地法人を有し、日本で培ったノウハウを生かし事業を展開している。北京では良品計画とのパートナーシップの元、企画・内装設計・運営・経営を行うMUJI HOTEL BEIJINGを2018年に開業させている。

都内最大級のホステル&バーがオープン
 FIKA(フィーカ 東京都新宿区)では、3月28日に都内最大級のホステル&バー「UNPLAN Shinjuku(アンプラン・新宿)」(東京都新宿区)をオープンさせる。
 同施設は東京・神楽坂に位置する「UNPLAN Kagurazaka」に続き、同ブランド2店舗目となる。東京メトロ丸ノ内線・副都心線「新宿三丁目」駅徒歩8分に位置し、敷地面積344・21㎡、延床面積1693・49㎡、建物は地上6階、地下2階建て。客室数は21室。
 付帯施設は、カフェ・ラウンジ、バー、レンタルキッチンスタジオ。設計はアイダアトリエ、アセットマネージャーは ゼニス・キャピタル・パートナーズ。
 地下1階ラウンジには宿泊客はもちろん、外部からも利用可能なバーカウンターを併設するほか、カップルやファミリー向けの個室9部屋、ウッドデッキを備えたルーフバルコニー、宿泊客が自由に使える簡易キッチンを備えたコモンルームなどを備える。
 コンセプトは「Urban Play(アーバン・プレイ)」で、新宿のネオン街からインスピレーションを得たカラフルでソリッドなデザインが特徴だ。
 フロントスタッフは日英2カ国語対応で、韓国語や中国語が話せるスタッフも在籍する。館内は従来のホステルのイメージを覆すようなスタイリッシュなデザインで、ソーシャルな共同スペースはプレイフルに、プライベートなベッドルームはシンプルで落ち着くデザインを採用した。アイダアトリエと共同開発したオリジナルのドミトリー用バンクベッド(2段ベッド)は防音性に優れる。
 宿泊客はスマートフォン・パソコンを通じて事前チェックインシステムを利用可能。また、チェックイン当日もフロントに設置されたタブレット端末によって、自動チェックインを簡単に行うことができる。

モジュール工法のマンスリーHが好評
 新(あたらし 東京都千代田区)では、建築業として独自開発したモジュール工法を利用したマンスリーホテル事業を東北エリアで展開している。
 主に建設関係者を対象とした宿泊施設として提供しているもの。
 同工法は海外工場であらかじめ生産したユニットを現場で組み立てるもの。そのため工期が短縮されるほか、人件費を含めてローコストで出来るのが特徴。
 ひとつのモジュールは海上コンテナと同じ寸法のため、ユニットを積んだトレーラーが現場まで搬入でき、吊り上げ用のクレーン車を置くスペースがあれば設置することが可能になる。重量鉄骨造のため、プレハブに比べて断熱性や防音性に優れ、居住性も高いのも特徴だという。事業終了後はモジュール単位で移設することも可能で、売却や別の場所で再利用もできる。
 例えば「アイルーム シグマイン陸前高田米崎町」(岩手県陸前高田市)は、客室にユニット式バス・トイレ、キッチンのほか、ベッド、デスク、チェアなどを配置する。同ホテルは開業後5~6年で初期投資回収が可能だ。

「ドーミーイン」前橋エリアに
 ビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテル「共立リゾート」を運営する共立メンテナンス(東京都千代田区)はこのほど、「天然温泉 妙義の湯 ドーミーイン前橋」(群馬県前橋市)をオープンさせた。
 同施設は「ドーミーイン高崎」(群馬県高崎市)に次ぐ県内2棟目となる。JR両毛線「前橋」駅より徒歩約2分の立地にあり、地上14階建て客室数は193室。出張だけでなく、観光ニーズを期待している。
 ドーミーインの特徴でもある大浴場は最上階の14階に位置し、上毛三山の一つである赤城山を見渡すことができるのが特徴。桐生新里温泉からの運び湯で、泉質は筋肉痛、冷え性、疲労回復、健康増進などの効能があるアルカリ性単純温泉だ。
 ご当地朝食は、地域ブランド「上州麦豚」を使用した'麦豚カレー'や地産食材を使用した人気のB級グルメ'ソースカツ丼'をはじめ、約40品目の和洋食バイキングを提供する。

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