不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.06.04 17:52

 「ベッセルホテル カンパーナ」、「ベッセルホテル」、「ベッセルイン」の3ブランドで全国20のホテルを展開しているのがベッセルホテル開発(本社・広島県福山市)だ。同社は現在、「2020年までに30店舗」体制を目指し出店を加速させている。新たに沖縄・北谷地区で2棟の計画を発表した。

ベッセルホテル 3ブランドで2020年30店舗 大手デベロッパー等との協業で全国展開を加速
ベッセルホテル開発 代表取締役 瀬尾吉郎氏
沖縄・北谷で2棟計画 「バーデゾーン」目指す
 沖縄県中頭郡北谷町で建設を予定しているのは「ベッセルリゾート沖縄(仮称)」本館・別館の2棟。同社は既に同所で「ベッセルホテルカンパーナ沖縄」本館・別館を運営しているが、完成すれば、3、4棟目のホテルとなる。
 同ホテルは、「ワクワクするリゾートホテル」をテーマに、これまでのホテルの快適性・機能性を保ちつつ、よりリゾートを意識した空間・デザインを目指していくという。
 敷地面積は8166・46㎡。延べ床面積は本館1万2192・05㎡、別館3657・04㎡、構造は本館が鉄筋コンクリート造地上9階建て、別館が同8階建て。客室数は本館229室、別館48室。施主は本館が美浜リアルエステート、別館がDepot island spa&resort。設計はアイランドb.dプランニングが担当する。着工は2018年4月で開業予定日は2020年春。
 客室は、ダブルルーム・ツインルーム・フォースルーム・フィフスルーム・メゾネットルーム等。別館ではキッチンやプールのついた客室も用意し、ロングステイでも対応する。
 空間デザインは、「リゾートアイランドを代表するヨーロッパの雰囲気を感じるデザインとし、落ち着きのある優雅な空間を提供します」(同社)。客室は24㎡~173㎡とバリエーションに富んであり、メゾネットの客室・専用プール付き客室、温泉付き客室等特徴のある空間構成が特徴だ。
 最上階には、プール・ジャグジー・ネックシャワー・アウトサイドリビング・バー・スパ・大浴場・温泉等、大人から子供までリゾートを楽しめる「大型バーデゾーン」を目指した。これは水着で利用できるプールと温浴施設が一体化した施設。一角にはバーラウンジを設け、開放感のあるバーデゾーンからは海を眺め、プールや温浴施設を楽しみながら飲食が可能になる。
 ホテルでは、敷地内の地下1400mから天然温泉をくみ上げる。これは神経痛・筋肉痛・関節痛 ・疲労回復・不眠症などに効果があるといわれている。
 本館では最上階の大浴場やプールで温泉を使用し、別館では全客室の浴室に直接温泉を使用することで、プライベートな空間でも温泉かけ流しが楽しめるという。
 施設はリゾート開発が進む北谷町美浜フィッシャリーナ地区の一角に位置し、周辺には飲食店、物販店、映画館、ライブハウスなどがあり、エリア一帯がアミューズメント施設になっている。また、ホテル棟にもテナントが入る予定で、館外に出ることなく過ごすことも可能。既存の「ベッセルホテルカンパーナ沖縄」とは徒歩約3分の距離となる。
 同社は大手デベロッパーとの協業により、出店エリアを拡大させている。今年は既に10月の「ベッセルホテル カンパーナ名古屋」、11月「ベッセルイン栄」(両方とも愛知県名古屋市)の2棟が開業予定で、2019年2月には「ベッセルイン千葉駅前」(千葉県千葉市)、同年5月は「ベッセルホテル カンパーナすすきの」(北海道札幌市)の開業が控えている。
 「ベッセルホテル カンパーナすすきの」は、地下鉄南北線「すすきの駅」から徒歩5分に位置し、すすきの・大通り公園まで徒歩圏内にある。敷地面積は1579・31㎡、延床面積1万1067・41㎡、地上13階、塔屋1階。JA三井リース建物とサンケイビルが共同でホテルを建築する。
 客室数は全296室。デザインコンセプトは、和紙や障子、木調などの「和」をイメージするテイストを多く取り入れた「和モダン」になるという。複数で泊まれる部屋や、洗面化粧台・バスルーム・トイレが独立した客室もあり、家族や友人同士など幅広いターゲットの利用を同社は期待している。
 同社は3年後までに全国の政令指定都市、中核市に30店舗という目標に向かって、出店用地の確保を進めている。
 出店要件について同社の瀬尾吉郎社長はこう話す。
 「既存ホテルの再生にも対応していきますが、新築ならば、主要駅から徒歩5分圏内で、客室数130室など。既存ならば、人口30万人以上の都市で、客室数80室以上が基準です。既存物件の取得や賃貸借、運営受託など様々な契約形態によって出店を加速させていきたいと考えています」。
 現在展開しているホテルブランドは「ベッセルイン」「ベッセルホテル」「ベッセルホテル カンパーナ」と3つ。
 それぞれ客層に合わせた特徴を持っており、条件や立地によってブランドを選択していく。例えば最上級に位置する「ベッセルホテル カンパーナ」は、客室の広さはもちろん、細部にわたりゆとりの演出と快適性を追求。また周辺の立地環境にあわせた特別な設備や、18歳以下のお子様の添い寝無料などが特徴だ。  同社はこれまでロードサイド店を中心に展開してきたが、2010年に「ベッセル」ブランドに名称変更して以降、全国展開を本格化。多店舗化を進めることによってブランド力も高まってきており、ゼネコン・不動産会社・鉄道会社・ファンドなど大手企業との協業も増えている。

昭和リースがカプセルホテルに匿名組合出資
 昭和リース(東京都文京区)は、ナインアワーズ(東京都港区)が新規に出店するカプセルホテル2施設、「ナインアワーズ水道橋」、「ナインアワーズ麹町」に対して、匿名組合出資を実施した。
 両社は、ナインアワーズのカプセルホテル施設新規出店に対するファイナンス支援に関する業務提携契約を2017年7月に締結している。今回の案件はこれに基づき、両社が出資した「ナインアワーズプロパティファンド合同会社」が、2施設を取得するために設立した合同会社に対して、匿名組合出資をそれぞれ実施したもの。
 貸付人にはリース会社大手のリコーリースとともに有力地銀である北陸銀行が参加し、アセットマネジメント業務は不動産仲介大手、三幸エステート100%子会社である三幸オフィスマネジメント(東京都中央区)が担当する。
 「ナインアワーズ水道橋」は、敷地面積約245㎡、延べ床面積約960㎡、鉄骨造7階、160ユニット。「ナインアワーズ麹町」は、敷地面積約178㎡、延べ床面積約1290㎡、鉄骨造11階、190ユニット。両施設とも2019年内の開業を予定している。 
 ナインアワーズでは、このスキームを活用して10件程度の出店を目指していく。昭和リースはこれら安定的な資金供給を通じて、都市型トランジットサービスという新しい滞在価値の提供を目指して、新しいタイプのカプセルホテルを展開するナインアワーズの新規出店を支援していく計画だ。 

「モクシー」ブランドを大阪で2店目を開業へ
 マリオット・インターナショナル(本社・米国メリーランド州)は、2020年秋に「モクシー大阪新梅田」(大阪府大阪市)を開業させる計画だ。
 同ホテルは、積水ハウス(大阪府大阪市北区)がプロジェクトマネジメントを担い、積水ハウスとシンガポールの不動産デベロッパーであるファー・イースト・オーガナイゼーションが建物を所有するもの。同ブランドでは、国内では3カ所目、大阪では「モクシー大阪本町」に続く2カ所目となる。
 JR大阪駅徒歩10分に位置し、敷地面積1389・93㎡、延床面積約8900㎡。鉄骨造で地上14階・塔屋1階を予定。客室数は288室で、レストラン、ミーティングスペース、エクササイズルームなどを併設する。
 飲食施設として24時間利用可能な「モクシー・ピックアップ」では、朝食はシリアル、フルーツ、ヨーグルトや麺類、ランチや軽めの夕食にスープやラップサンド、サラダなどを用意。また、到着時のフロントデスクも兼ねる「モクシー・バー」は、コーヒーはもちろん夜にはカクテルなども提供するナイト・スポットとして、宿泊ゲスト以外でも利用可能だ。
 モクシー・バーに隣接する共有スペースは、ビジネスや社交の場として利用できる多目的スペースで、共有スペースのライブラリーゾーンに設置予定のミーティングスペースや「プラグインエリア」では、コワーキングスペースとしてビジネスにも利便性の高い設計となっている。
 同ブランドは2014年、「モクシー・ミラノ」のオープンからスタート。ミレニアル世代を主要なターゲットとする、マリオット・インターナショナルの新たなブランドだ。

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