不動産トピックス

クローズアップ 防災編

2018.03.12 11:33

東日本大震災から7年が経過した。当時の記憶から薄れつつある人もいるかもしれないが、防災への意識は変わらず重要である。今回は初期導入コストを余り掛けずに導入できる耐震ドアグッズや滑り止めなどを取り上げる。

地震によるドア枠変形でも開閉可能 貼るだけで耐震予防「アケルくん」
 健具製造販売会社ビュード(神奈川県大和市)は地震による破損でドアが開けられないケースを防ぐ耐震ドアグッズ「アケルくん」を開発した。
 一般的に地震によるドア枠のゆがみが10mm程度になると、ドアを開けるには100kg以上の力が必要となって子供や女性には不可能。震度6強の地震によるドア枠の歪みは17mmになると予測され、開放には200kg以上が必要となるので人力では開けられなくなる。屋内に閉じ込められ倒壊による二次被害で命を落とすケースは多く、同社ではこうした被害を防ぐため耐震ドアシステム「アケルくん」を開発した。
 「アケルくん」は薄い樹脂製。表面には滑り材がコーティングされており、ドアの側面や上面に貼ることで枠が変形してもわずかな力で開放できるようになる。同社でドア枠が17mm変形した場合を実験した結果、6・12kgの力で開けることに成功した。同社の代表取締役・川端秀明氏は「現在は住宅マンションでの導入が中心ですが、オフィスビルや工場など幅広くご使用いただけるよう広めていきたいです」と語る。
 「アケルくん」の設置には専門業者による工事が必要だが、首都圏など30年以内に直下型地震が起こる可能性は80%…用心に越したことはない。

濡れた床による転倒事故対策 床材と靴底の摩擦抵抗を向上「DSグリップ施工」
 防災製品の開発、製造、販売を行うティーエフサービス(新潟県三条市)が、濡れて滑りやすくなった床材の転倒を防ぐ「DSグリップ施工」を開発し、提供を開始した。
 オフィスビルやホテルのエントランス、コンビニなどでは雨の日に床が滑りやすく転倒事故が後を絶たない。近年は高齢化が進み大事故につながるケースもあり、一人でも多くの人が足元の安全を確保できるよう社は対応策の研究を重ねていた。
 DSグリップ施工は床材の表面にマイクロメートル単位の微細な凹凸を作り、床材と靴底との摩擦抵抗を生み出す。細かな穴が吸盤の役目となって滑りにくくなる技術だ。同社のテストによると従来の大理石に比べ、施工後は乾燥時と湿潤時の両方において滑り抵抗係数がアップしたことが実証された。当然、床材表面の凹凸で見た目や素材感は変わらず、定期的にメンテナンスをすることにより5年以上は滑り止め効果が期待できる。対象床材は大理石をはじめ磁器タイル、陶器質タイル、セラミックタイル、テラゾータイルなどで適正な養生時間を設けて施工する。
 ティーエフサービスの営業部主任・福岡一美氏は「滑りやすい床などの被害者は高齢化社会を反映してか、近年増加傾向です。皆さまが安全・安心して施設をご利用になれるようDSグリップ施工の展開に努めていきます」と語る。
 雨の日、誰もが一度は足元が滑って転倒しそうになった経験があるはず。日常的に起こりうる事故だからこそ、DSグリップ施工の技術で防止に期待したい。

ヤマトプロテック 最新のAEDを発売
 ヤマトプロテック(東京都港区)は先月13日から、最新のAED(自動体外式除細動器)である「AED Cardiac ResQ <カーディアックレスキュー RQ-5000>」の販売を開始した。
 救命処置用の医療機器として認知されるAEDは、音声案内と進捗を表すランプ、操作手順を示すイラストで誰でも簡単に使用できる。年々普及・設置が進んでおり、機能性の向上も顕著だ。今回同社が販売開始した「AED Cardiac ResQ」は、電極パッドとバッテリーが一体となった日本初のパッドカートリッジシステムを採用している。成人・小児向けにモード変更がボタン操作で行え、かつ何種類もの電極パッドを保有する必要がなくなった。その結果、電極パッドの選択やケーブルの接続といった手順が減少し、人為的ミスも起こりにくくなった。
 更に高い堅牢性と防塵・防水機能を有しており、2つのテスト機能として「自動セルフテスト」と「手動セルフテスト」もある点も同製品の特長だ。

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