不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2018.01.01 15:05

 「カンデオホテルズ」ブランドを全国で17店舗を展開しているカンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)は、更なる積極的な出店戦略を進めている。首都圏はもちろん、名古屋・京都・大阪・広島・福岡市などの大都市圏を中心に200~500室規模の出店を計画、2025年までに1万室を目指していく。近い将来には海外での進出も視野に入れ、2025年までに国内外で1万4000室突破を計画しているという。
 同社の「カンデオ」ブランドはシティホテルとビジネスホテルの間のアッパービジネスを狙う戦略で展開。ビジネスホテルの価格帯でシティホテル並みのラグジュアリー提供、こだわりの健康朝食ビュッフェ・全室シモンズ社製のベッド、展望風呂などを配置しているのが特徴だ。
 2018年以降は1月11日に「東京新橋」、以降「広島八丁堀」、「上野公園」、「福山」、「奈良橿原」、「神戸」、「和歌山」、「大阪吹田」を計画している。
 「これらを含めて現在、契約済みの出店計画では22棟3902室の規模になる予定です。国内事業2025年までに1万室を突破する見込みです。出店エリアは宇都宮辺りから九州まで太平洋に沿った大都市圏を中心に展開していきます」と、穂積輝明社長は展望を話す。
 もちろん、宿泊客のターゲットに合わせた施設つくりにも余念がない。大都市圏への出店といっても、これからはビジネスマンだけではなく、インバウンド含めたレジャー需要も取り込む必要がある。
 実際、同社はウェブ販売に強化によってインバウンドの集客に成果を上げている。
 現在は台湾・香港などのアジア圏やヨーロッパを中心に35%がインバウンド、今期は40%超える勢いだ。
 「客層はビジネスが落ちてファミリーに変化していくでしょう。またインバウンド比率は2025年までに50%にまで上げていきたいと考えています」(穂積社長)
 そのため新規施設の客室も収益性のバランスを考え、12㎡から17㎡で計画し、シングルの利用はもちろん、ベッドの配置を工夫してダブルでも利用できるよう変化している。
 最新の「カンデオホテルズ」ブランドを象徴するのが、サンケイビル・JR西日本不動産開発・安田不動産の三社の開発による「カンデオホテルズ大阪なんば」だ。
 同ホテルはチェーン最大の客室数496室、最上階に大浴場を配置。客室は16㎡台から38㎡台まで多彩なタイプを用意。「和モダン」をキーワードにした客室は、「小上がり」を導入しているのが特徴で、「これが外国人の方にご好評を得ています」(穂積社長)。
 また、簡易ベッドや大きめのデスクなど、限られた広さを最大限に生かす工夫を凝らすことで、ニーズの変化に対応しているのだ。
 「ホテルだけでなく民泊や簡宿含めて、新規出店が続いている中、今年辺りからますます競争が激しくなるでしょう。そのためいかに付加価値をつけて、ユーザーに選んでもらえるかが重要です」(穂積社長)
 同社は国内のみならず、海外へも目を向ける。
 「国内と同様に海外での出店も積極的に行いグローバルチェーンを目指していきます。中でもベトナムはじめ、カンボジアやシンガポールなど経済成長率が著しいアジアの新興国に着目しています」(穂積社長)
 同社はカンデオホテルズチェーンとして創業20周年の2025年5月31日までにグローバルに国内外で1万4000室規模への成長を目指して事業展開を進めていくという。


 世界190カ国で200万件以上の登録物件を有する、世界最大級のバケーションレンタル会社ホームアウェイ(本社・米国テキサス州)はこのほど、民泊利用に関する意識調査を実施した。調査対象は、過去1回でも民泊を利用したことのある20代~60代の男女400名。調査方法はインターネット。
 同調査では、民泊の利用経験者が半年前と比較し、約3倍に増えた。また一棟丸ごと貸し民泊の利用意向調査では、民泊利用者ではその80%が利用してみたいと回答するなど、民泊リピーターでの利用意向が高いことがわかった。 
 また、宿泊先に民泊を選んだ理由として、ホームステイ型、丸ごと貸し型共に「値段が安い」と回答した人が一番多かった。民泊のタイプ別にみるとホームステイ型は「ホテルや旅館が予約できなかった」、「外国語を学びたい」などの理由が多かったのに対し、丸ごと貸し型は「子供が自由に遊べる」、「豪華な家を楽しめる」など丸ごと貸しならではの"広さ"や"豪華さ"などから選ばれているということがわかった。 
 更に、丸ごと貸し型民泊の魅力は、「非日常を楽しめる」、「プライベートが保たれる」というホームステイ型民泊では体験できない魅力が上位に選ばれた。
 具体的にみると、「今まで民泊を利用したことがあるか」という質問では、13・8%が「1度は民泊を利用したことがある」と回答。3月に実施した「民泊に関する意識調査」よりも8・8%増加した。
 「丸ごと貸し型民泊の利用意向」を質問したところ、「とても利用したい」、「利用したい」という回答者は約60%。民泊利用経験者では、更に高い80%が「とても利用したい」「利用したい」と回答している。
 「民泊のタイプ別になぜ民泊を利用したのか」という質問では、民泊のタイプにかかわらず、「値段が安いから」という回答が一番多く、 70%を占めた。民泊のタイプ別にみると、丸ごと貸し型民泊に泊まった理由は「子供が自由に遊べる」、「豪華な家を楽しめる」などホームステイ型民泊にはない"広さ"や"豪華さ"に需要があることが分かった。
 「ホスト不在の丸ごと貸し型民泊をどのようなエリアやシーンで利用したいか」という質問では「国内の避暑地」が約63%と一番多く、用途では「家族旅行」が約66%と最も多い結果となり、国内の郊外で家族などのグループ旅行における利用需要が高いことが分かった。
 「ホスト不在の丸ごと貸し型民泊のどのような特徴を魅力的に思うか」という質問では、1位が「大人数で利用できるため、1人当たりの宿泊費がお得」、2位「プライベートが楽しめる」、3位「非日常を楽しめる」という結果になり、大人数で豪華な物件を貸し切れるため、プライベートな旅行が楽しめるという点に需要が高いことがわかった。


 「ホテルストーク」、「ホテルリリーフ」ブランドを 沖縄・大阪を中心に展開しているフェリーチェ(本社・沖縄県那覇市)は、新ブランド「リリーフプレミアム」2棟目として昨年12月21日、「リリーフプレミアム羽田空港」をオープンさせた。
 同ホテルは、京急大鳥居駅から徒歩1分に位置し、客室はダブルからデラックスツインまでの4タイプ、内装はモノクローム調・木目調・白木調などで全102室。インフォメーションや施設内状況を案内する多言語対応タブレットを全室に配備する。
 「リリーフプレミアム」ブランドは、デザイナーズホテルとして「リリーフ」ブランドの最上級カテゴリーに位置。「『癒し』を求める方に、より高いクオリティーのサービスを提供したいと考えました」(同社)。
 「泊まって元気にキレイになるホテル」をコンセプトに、女性客向けのサービスを充実させているのが特徴。自然派コスメブランドが手掛けるオーガニックアメニティ、ジョキングやヨガウェアの無料貸し出し、好みのアロマを部屋で楽しめるなど様々なサービスを提供する。朝食には、有機穀物を使用したグラノーラやドライフルーツなどオーガニック食材を使った料理。味だけでなく盛り付けの仕方などインスタ映えするように工夫を施した。また、ヨガのワークショップの無料開催といったソフト面での充実化を図っている。
 同社は昨年より東京に本格的に進出。今年も春には赤坂、秋には上野と出店が控えている。
 春に開業を予定している「ホテルフェリーチェ赤坂」も新ブランドで、地下鉄「赤坂」駅より2分に位置、敷地面積約740㎡に地上9階建て、延床面積約3653㎡で全167室。1階に店舗、9階に屋外テラス併設したレストランスペースを設置する。
 こちらはインテリアデザイナーを採用し、「出会ったことのない日本体験」をコンセプトにしており、共有部や客室含めて建物全体は「和」を徹底的にイメージしたデザインが特徴だという。


和空プロジェクト(大阪府大阪市)は、世界遺産「法隆寺」の参道に文化体験型の宿泊施設として門前宿「和空法隆寺」(奈良県斑鳩町法隆寺)を2019年春にオープンする。同施設は4月に開業した宿坊型ホテル「和空下寺町」(大阪府大阪市)に続く第2弾となる。
 この事業は、神社や寺の参拝者のための宿泊施設を創設する事業「宿坊創生プロジェクト」の一環として、同社と積水ハウス(大阪府大阪市)が業務提携して推進するもの。積水ハウスが建物の設計・施工を担当し、和空プロジェクトが管理運営を行う。
 同施設は、軽量鉄骨造、地上2階建て、本館の敷地面積は2294㎡、建築面積910㎡、延床面積1495㎡。別館は敷地面積2076㎡、建築面積760㎡、延床面積1495㎡。総客室は約60室。大広間、大浴場、駐車場25台分を併設する。
 奈良は国内外から年間1000万人以上もの来訪者がありながら、観光客が泊まれる宿泊施設が少なく、素通り客が多いことが課題となっているという。同社では、茶道・華道・香道をはじめ、能や雅楽、講談ほか各種の本格的な文化体験を提供する予定だ。
 同社は、一般社団法人全国寺社観光協会の監修のもと、宿坊等の宿泊施設づくりと、文化体験型の旅開発、総合的なコンサルティングを展開している。

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