不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2017.12.11 17:35

新興会社の店舗12月オープン続々 2018年に向け好スタートを期待

TKPは病院改修で西葛西に124室
 会議室運営大手のティーケーピー(TKP 東京都新宿区)はアパホテル(東京都港区)とフランチャイズ契約を締結、12月1日に「アパホテル〈TKP東京西葛西〉」をオープンさせた。
 このホテルの特徴は、病院だったビルを借り上げ、ホテルにリブランドしたこと。施工はリリカラが担当した。この計画では、年間売上高約3億円、年間経常利益は約5000万円を見込む。
 同ホテルは、東京メトロ東西線「西葛西」駅の駅前立地で、敷地面積618・86㎡、延床面積2549・60㎡、鉄骨造地上6階建て、客室数は124室。1階に会議や懇親会、朝食会場としても利用できるバンケットを備える。
 東京メトロ東西線「西葛西」駅からは、ビジネス街の大手町や日本橋に直接アクセスができ、東京ディズニーリゾートへ車で最短15分という立地を活かし、「会議と宿泊の融合を目的に、新都市型ホテルに会議室を融合したハイブリッドホテルとなりMICE需要・ビジネス用途のほか、一般の観光用途も見込みます」(同社)。
 全客室に、アパホテルの標準仕様として50型の大型液晶テレビや、オリジナルベッド「クラウドフィット」、通常の浴槽より20%節水可能な卵型オリジナルユニットバスなどを導入したほか、ベッドの枕元に照明スイッチ類、空調リモコンを集約し、携帯・スマホ充電用コンセント・USBポートを設置した。
 アパホテルとTKPは、これまでも北海道札幌市内や東京都荒川区日暮里でフランチャイズ契約によるホテルの運営、仙台駅前(宮城県仙台市)や川崎駅前(神奈川県川崎市)での新たな建設、アパホテル内の宴会場をTKPが運営するなど、様々な形で連携を取り、戦略的な展開を図っている。
ホテル1-2-3は前橋老朽施設を再生
 同じく12月1日に開業したのがホテル1-2-3パートナーズ(東京都品川区)が運営する「ホテル1-2-3マーキュリー」(群馬県前橋市)だ。
 同ホテルは1973年に開業した前橋市のフラッグシップホテルである「前橋マーキュリーホテル」の運営権を伊藤園ホテルズ(東京都豊島区)から取得したもの。延床面積は約1万㎡。本館と新館があり、客室数は75室と多くはないが、最大700名が入る宴会場や結婚式場などを併設している。これまで同社は、宿泊特化型ホテルのみを運営してきたが、宴会場を併設するフルサービスホテルも行うのは初めてのこととなる。
 同社ではリブランドの際に、外壁はもちろん、排水などを中心に数億円をかけて改修工事を施した。
 吉村原夫社長は話す。「新たに大浴場を作り、セントラルキッチンを設けました。新たにホテルの目玉として、群馬県内の地域食材等を使用して宴会料理の強化を図っていきます」。
 同社は「ホテル1-2-3」ブランドを全国11箇所で展開。今後も、東京はじめ主要都市で120室程度のホテルを手掛けていきたいという。
長谷川ホテル&リゾート ビジネスホテルに参入
 このほど、ビジネスホテル事業に進出したのは、独自の簡易宿泊所「キャビンホテル」を展開している長谷川ホテル&リゾート(東京都豊島区)。「ワイズホテル」ブランドとして、11月25日に「ワイズホテル阪神尼崎駅前」(兵庫県尼崎市)、12月1日に「ワイズホテル新大阪」(大阪府大阪市)をオープンさせた。
 「ワイズホテル阪神尼崎駅前」は、阪神「尼崎」駅徒歩1分に位置し、10階建て174室。主にファミリーやグループをターゲットにしている。土地建物は阪神電鉄の所有で、同社が借り上げる方式。
 一方、ワイズホテル新大阪」は、「新大阪」駅徒歩5分に位置し、9階建て133室。セミダブルを中心にし、ビジネスやインバウンド、シングル客をターゲットにする。
 同社は今後も積極的な出店を進めていく考えで、既に来年以降も、沖縄本島・石垣島・北海道旭川などに出店を計画。2020年までに30施設、5年後には年商150億円を目標にしていきたいという。
 同社は「キャビンホテル」という簡易宿泊所ながら、ビジネスホテルよりも低価格で、カプセルホテルよりも上質、かつ安全面に配慮した新たな形態の宿泊施設を展開している。
 今回の「ワイズホテル」と、既存の「キャビンホテル」の2ブランドで、その場所にあったホテル業態を企画提案していく。
 新ブランド「ホテル・ザ・エム」ブランドとして、「ホテル・ザ・エム インソムニア 赤坂」(東京都港区)に続き、「ホテル・ザ・エム金沢雨庵」を石川県金沢市にオープンさせたのが、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)だ。
 同社は「アンドルームス」、「ロワジール」、「チサン」などのブランドを有しているが、今回の新ブランドは、「その土地に求められることを」をコンセプトに、その土地らしさや地域とのつながりを強く持つことをコンセプトとしている。同社は最上級ブランドに据え、「ここでしか出来ない宿泊体験」を提供していく考え。
 同施設は日本エスコンが所有する敷地面積730・13㎡に建ち、延床面積2866・02㎡、鉄骨造地上6階建て。総客室数47室、最大収容人数102名。初年度の平均稼働率は約70%、客室平均単価は2万1000円強を目指している。
 最大の特徴は、宿泊者だけが利用できるラウンジだ。朝は朝食会場として地元加賀野菜を使った和・洋の定食を提供。夜は北陸の地酒が愉しめる日本酒バーを営業する。ラウンジにはほかにも、宿泊者がこの地をより深く知ることができるよう金沢に纏わる書物やアートブックなどを集めたライブラリーを展開する。


リーガロイヤルホテルが3月までに58室増設
 ロイヤルホテル(大阪府大阪市)が運営するリーガロイヤルホテル(同)は、2018年3月に、客室数を58室増室する。これにより、総客室数は現在の984室から1042室とし、大阪市内のホテルとしては最大の客室数になる。
 今回の改修では、現在事務所として利用しているウエストウイング5階を、18㎡のコンパクトツインルーム40室および36~58㎡のツインルーム3室を新設する。また、宴会控室などで使用しているタワーウイング7階の一角も、27㎡のツインルーム15室に改修し、計58室増室する。投資金額は約4億円。 
 工事は12月に開始し、3月中旬には完成する予定。
 同社によれば、「ラグビーワールドカップ2019」、「東京2020オリンピック・パラリンピック」を皮切りに、「ワールドマスターズゲームズ2021関西」など国際的イベントの開催が日本で予定されている。今後インバウンドによる客室需要がますます増加すると見込まれるため、今回の客室増室で客室部門の売り上げ最大化を図るという。


大阪発、無人宿泊施設好調
 VSbias(東京都新宿区)が10月、大阪市内にオープンさせた無人型宿泊施設「Commune(コミューン)」が好調だ。11月は稼働率が80%を超えるなど、好調に予約が入っており、更なるゲスト利便性を目指して、サービス拡充を計画しているという。
 同施設はスマートチェックインやAIを運営に活用したもの。従来の宿泊施設とは異なり、現地スタッフが常駐していない場合でも運営ができることを目指した次世代型の宿泊施設。同社は、これまで3800室を超える宿泊施設のシステム管理を行い、蓄積してきたデータとこれまで運営で培ってきたノウハウを詰め込むことで、更なる業務効率化を目指す。
 従来では、施設スタッフが手動で行ってきた毎日の部屋割りや価格調整といった業務を、AIを活用することで自動化した。また、フロントスタッフが常駐しない代わりに、同施設は宿泊者とのコミュニケーションを24時間チャットで行えるようにしている。将来的にチャットボットを活用することでAIによって簡易的なコミュニケーションが取れるようになるという。
 暗証番号で入室可能なスマートロックを導入。また宿泊者の名簿作成や、本人確認をタブレットを通じて行う「自動チェックイン」機能を有する「㎡m Check-in」を導入した。こうしたスマートチェックインの仕組みによって、スタッフの常駐が困難な夜間でも、セキュリティに問題なくチェックインが可能になるという。 
 更に同施設では、実験的に音声アシスタント端末を導入した。宿泊者はハンズフリーで様々なサービスを受けることが可能になる。他にも、音声配信サービス・動画配信サービスといったエンターテイメントサービスも無料で利用することができる。

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