不動産トピックス

クローズアップ 賃貸管理編

2017.11.20 16:53

 Eコマースの普及に伴い倉庫・工場といった事業用不動産の進化も著しい。収益不動産の観点から見ても安定的な需要が見込める物流施設は上場リートでも人気銘柄といえるだろう。倉庫・工場向けのソリューションも次々と登場している。

タープ不動産情報 「リノベ倉庫」開始 老朽化した倉庫を投資物件へ再生
 少子高齢化による労働人口減少を背景に既存ビルを有効活用する動きが顕在化してきた。用途変更やバリューアップを施す「リノベーション」によってビルの利用価値を向上させる。こうしたリノベブームは倉庫業界にも波及しており、既存倉庫を改修し投資に適した優良物件として再生させる企業に注目が集まっている。
 工場・倉庫物件の仲介事業を手がけるタープ不動産情報(東京都文京区)は今年10月から、新たなサービスとして「リノベ倉庫」を開始した。老朽化した倉庫を改修し、再活用するのが目的だ。ビル業界でも「リノベーション」する事例は少なくないが、倉庫業界にも「リノベ」熱は広がりを見せている。代表取締役の三浦孝志氏は同事業を開始したきっかけとして、昨年出版した著書の存在を挙げる。
 「650物件3000社から管理物件を受託しており、当初はリノベーション事業に進出する考えはなかったのですが、2016年7月に『「工場・倉庫」投資のススメ』(幻冬舎メディアコンサルティング)を出版したことで、安易に投資される方が増えてしまった。著書を精読してもらえば投資に適した倉庫の見極めも可能ですが、倉庫すべてが魅力的な投資先と勘違いされる読者も多い。そこで、当社が既存倉庫をリノベーションし、投資市場へ供給することで、投資家に安心して参入できる投資市場を作りたいと考えたのです」(三浦氏)
 倉庫の最大の魅力は天井高4m超の開放的な空間にある。用途は倉庫にとどまらず、オフィスや飲食・物販店等の幅広い用途が見込める。同社は数多くの倉庫を管理してきた経験から借主が何を必要とするかを把握しており、必要最小限の改修工事によって早期に成約するリノベーションプランを提供することが可能。「立地にもよるが、水回りを整備し、飲食店舗が入居できるようにする他、天井高を生かして中2階を設ける等、投資家の要望にも対応したい」(三浦氏)という。
 一方、老朽化した倉庫を保有するオーナーも大きな悩みを抱えてることになる。三浦氏によると「売却しようとしても老朽化しているため買い手を見つけるのが難しい。マンション等への建替えが考えられるが、解体費用を負担することになり、売却益が少なくなってしまう」というのだ。加えて、事業用途に適した地域でありながら住宅地化することを防ぐこともできる。
 来年1月から本格的に販売を開始する。現在は投資家からの予約を受け付けており「すでに5棟ほど取得候補となる倉庫に目星をつけている」(三浦氏)という。初年度は東京・千葉・埼玉・神奈川を中心に、年間20棟を販売目標に掲げ、2028年までに200棟、年間売上150%増を見込んでいる。


倉庫の空きスペースマッチング プロロジスが物件情報を提供
 souco(東京都千代田区)が今年8月から開発・運営している物流倉庫プラットフォーム「souco」は物流施設・倉庫の空きスペースを抱える企業と、スペースを必要とする企業の情報を集約しマッチングを行っている。
 物流施設を利用する3PL企業(荷主に代わって物流施設を一括管理するサードパーティロジスティック企業)や物流事業者にとって閑散期における余剰スペースの転貸先確保や、繁忙期に短期で賃借できるスペースの確保が課題の1つとなっている。しかし効率性の高い先進的物流施設は1000坪・年単位で賃貸借されることが多く、余剰スペースの転貸や短期の賃貸借については3PL企業同士の情報交換に頼らざるを得ないケースが多く、物流業界の共通課題となっているのが現状だ。そうした状況を解決すべく「souco」では物流施設の空きスペースの情報を登録・検索でき、1000坪以下の小ロットかつ1カ月といった短期でも利用可能な物件を多数紹介している。
 サービス開始にあわせて、世界的な物流不動産プロバイダーであるプロロジス(東京都千代田区)の保有する倉庫の空きスペースの情報を掲載開始した。プロロジスは約3300棟を運用する世界屈指の物流不動産プロバイダー。国内でも約360万㎡の物流施設を運営・開発しており、業界共通プラットフォームづくりを推進すべくプロロジスが協力することになったという。


IoT化進む工場 スマートファクトリーを実現
 ヤマザキマザック(愛知県大口町)と村田機械(京都市伏見区)は今年3月、自動倉庫機能を備えたパレタイジング自動化システム「MAZATEC SMS」を共同開発し、販売を開始した。 
 工場内の物流と情報の流れを高度に同期させることで多品種少量生産でも量産加工並みの生産効率を追求するなどIoT時代に適合するスマートファクトリー化のニーズが高まっている。これに対して「MAZATEC SMS」はモバイル端末などのIoT機器の活用、さらに大容量の自動倉庫機能の追加や省フロアスペース化などに対応し、素材入庫から完成品の出庫までの工場内の物流を効率化することで生産性のさらなる向上を実現するという。
 また、倉庫棚の全長や全高・棚サイズ等も自在に設計可能で、ロボットなどによる長時間無人システム運転にも対応可能だ。

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