不動産トピックス

クローズアップ 赤外線サーモグラフィーカメラ編

2017.09.25 17:39

 壁面の剥離や壁面内部での水の浸透・水漏れ、鉄骨のサビなどを把握する際に使用される「赤外線サーモグラフィーカメラ」。ビル外壁の維持・管理には必要不可欠で、高性能であるほど問題の箇所をしっかりと把握できる。優れた性能と利便性の2つを兼ね備えた赤外線サーモグラフィーカメラに焦点を当てると共に、最新の製品・サービスを紹介する。

日本アビオニクス 世界初カメラヘッド脱着可能なサーモグラフィーカメラ
 日本アビオニクス(東京都品川区)は、サーモグラフィーカメラに世界初のカメラヘッドが脱着する構造を備えた「Thermo FLEX(サーモフレックス)F50」シリーズの発売を開始した。
 「Thermo FLEX F50」は、世界初カメラヘッド脱着型「アングルフリー機構」とフォーカスフリー広角レンズ、耐環境温度性能、タッチパネル操作を導入したサーモグラフィーカメラ。特に注目を集める機能がカメラヘッドを脱着しての撮影が可能な点で、狭い場所の撮影や見難い場所を手軽に撮影することができる。工場の設備の隙間や裏側まで点検を可能に、近年増えつつあるプラントの重大事故の予防診断に貢献できる。更に同製品は小型・軽量で撮影時以外は両手が自由になり、作業者の安全も確保できる。また、定期的に設備を止めずに稼働中の状態を把握し、必要な時にメンテナンスを実施する状態監視保全(CBM Condition―Based Maintenance)の導入にも大きく貢献する。
 他にも目視では見つけられない断熱材の欠損や漏水、シロアリ調査なども可能にした。最大70度のフォーカスフリー広角レンズ搭載により、室内で広範囲の壁面を一度に撮影できる。更に世界初のアングルフリー機構により、最小限の穴や隙間から天井裏や床下の点検を行うことも可能になった。取り外し可能な小型のカメラヘッドは70℃の高温に対応できるため、例えば恒温槽の中に入れて外からコントローラで操作することもできる。PCを使用せずにトレンドグラフを作成し、CSVファイルで保存することも可能だ。
 代表取締役社長の秋津勝彦氏は「機能が異なる3モデルに2つの視野角を備えた計6種類をラインアップし、主に設備診断・品質管理・研究開発などの分野で様々な課題を解決します。今月1日より販売代理店向けに出荷を開始して、9月中旬には顧客向けに順次納入しました。今後も引き続き、更なる商品の開発に注力していきます」と語った。


アイアールカネカ 躯体部分まで把握可能 内部を高精度に解析するサービス
 昨年4月に設立したアイアールカネカ(横浜市磯子区)は赤外線の熱放射静止画像や動画データを活用して、コンクリートなどの異常を高精度に解析するサービスを行っている。
 同サービスは赤外線の静止画像や動画データを高精度解析ソフトウェアを活用することで、建築物の内部に隠れている事象を位置・形・深さなどで同時に抽出し繊細な画像で表示できる。その結果、これまでに解決できなかった建築物の高度な診断や異常検知を可能にし、損傷事故の予知・防止や物件のより正確な状態把握にも繋がった。
 代表取締役の小畠武志氏は「他社が展開する赤外線サーモグラフィーカメラは壁面の表面温度を把握することから、壁面タイルの剥離やクラックなどは把握できても壁面内部やコンクリートの奥深くといった躯体部分まではしっかりと把握できないことが多いです。壁面タイルの剥離などに繋がった原因を精密に把握できないまま放置すると剥離の再発に繋がり、更に補修費用や手間が発生してしまいます。このような事態を未然に防ぐことが当社のサービスでは可能になりました」と語る。
 例えばオフィスビルに関連する部分であると、躯体内部における水の浸透や鉄筋の錆びといった問題がある。これらの事象は躯体の耐久性などを低下させる原因になるが、従来までは把握するのに大掛かりな作業や打診といった調査が必要で調査費用も安価でない。このような課題から不動産オーナーとしては業者に調査を依頼したいが、費用面で躊躇う様子も見られた。
 一方、同サービスは躯体の基準温度を把握した後に、その温度よりも高い箇所・低い箇所を繊細に把握できるため異常な温度の確認が可能で、かつ建築材料にも拘らず成果を発揮する。
 小畠氏は「物件の維持・管理面における負担削減にも繋がるので、不動産オーナーに限らず多数の物件を管理する管理会社や設計・施工も手掛ける施工会社にも進んで導入して頂ければと思います」と語る。
 また10月23日~27日までに同氏が講師を務めるセミナー「カネカ予備校」も開校する。「カネカ予備校」は小畠氏がこれまでに培った技術やノウハウを学ぶことができるセミナー。毎月実施する予定だ。

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