不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2017.08.07 13:48

 ハウスクリーニングFCの「おそうじ本舗」、有料老人ホーム運営、子育て支援サービス等を展開している長谷川トラスト(東京都豊島区)のグループ会社として、昨年9月に設立された長谷川ホテル&リゾート(東京都豊島区)。同社はこの8月に2棟目となる「キャビンホテル」を大阪に開業させた。今後も積極的に出店を進め、2020年までに30施設、5年後には年商150億円を目標にしていきたいという。

長谷川ホテル&リゾート 「キャビンホテル」ブランド2店目をオープン ビジネスホテルも2棟
大阪・難波に出店 女性客に力入れる
 「キャビンホテル」とはいわゆる簡易宿泊所ながら、ビジネスホテルよりも低価格で、カプセルホテルよりも上質、かつ安全面に配慮した新たな形態の宿泊施設のこと。昨今の宿泊価格が上昇している中で、ビジネスマンにとっては出張費に見合うホテル、女性にもインバウンドにも利用してもらえるホテルとして同社が新たに開発した。
 第一号の「ワイズキャビン横浜関内」(神奈川県横浜市)は昨年10月の開業以来、出張はもちろん、旅行者を中心に稼働率は85%以上で推移。ADRは4500円と好調を維持しているという。
 8月9日に開業する「ワイズキャビン大阪難波」は、地下鉄御堂筋線・四つ橋線「なんば」駅より徒歩1分に位置。客室数は162室、男女別フロアのほか、セキュリティカード、Wi-Fi完備、TV、ラウンジ、男女別大浴場、コインランドリー、自動外貨両替機等を備える。
 同社では関西エリアでの観光やビジネス、各種スポーツやライブ等のイベント拠点としての利用を期待している。館内は日帰り入浴もできる男女別の大浴場を用意。男性用には国産ひのきサウナも完備する。男女別のフロアは需要に合わせて変えるようにする。
 また、女性へのサービス追求として、特許技術によりナノレベルの超極小のバブルで、これまでよりも浸透力、保湿力がアップしたナノバブルシャワー「DAKKI」を採用。手ぶらで宿泊できるよう、コスメ商品、美容機器も低価格のレンタルで用意する。
 訪日外国人向けの対策も強化。外国語対応のスタッフはもちろん、自動外貨両替機を用意。マップやサイト等も外国語対応する。日本らしさを味わってもらうため、畳でくつろげるラウンジスペースも設ける予定だ。
 「設備やサービスには、昨年開業した横浜で得た経験を活かしています」(阿部夏樹社長)という。
 同ホテルでは、高速バス会社との連携で、早朝大阪に着くバス利用客のステイでの受け入れも行っていく。バス利用者は入浴はもちろん、仮眠もできることで、バス会社にとってもサービス拡充になる。
尼崎と新大阪にも30店体制へ着々
 同社は昨年9月設立の新興企業だが、既存の「キャビンホテル」のほか、「ビジネスホテル」、「リゾートホテル」の3つに分けることで、その場所にあったホテル業態を企画提案していく。「キャビンホテル」は基本的には既存ビルの有効活用で、「ビジネスホテル」は150室以上のものが基本ラインだ。
 「長く安定的に収益を確保するためには、分譲マンションと同じで、土地の仕入れが最大のポイントとなります。そのため当社では出店に際し、ロケーションを厳選しています」(阿部社長)
 同社によればビジネス系ホテルは主要駅近く、ファミリー向けはLCCの拡大が見込めるエリアが中心になるという。
 同社は11月に「キャビンホテル」に続き、新たにワングレード高めた「ワイズホテル」ブランドを立ち上げる。「ワイズホテル阪神尼崎駅前」と「ワイズホテル新大阪」だ。
 「ワイズホテル阪神尼崎駅前」は、阪神尼崎駅徒歩1分に位置し、10階建て174室。主にファミリーやグループをターゲットにしている。土地建物は阪神電鉄の所有で、同社が借り上げる方式。
 一方、ワイズホテル新大阪」は、新大阪駅徒歩5分に位置し、9階建て133室。セミダブルを中心にしビジネスやインバウンド、ひとり旅客をターゲットにする。
 同社のホテル事業は、グループ代表である長谷川芳博氏が手掛けてきた清掃事業・介護事業の延長線上になる。いずれもキーワードは「家族」、「ホスピタリティ」で、「今後進む高齢化社会の中でアクティブシニア層には積極的に旅行してもらう、家族でひと部屋を過ごしてもらう、こうしたアクティビティ行動を支援していこうというものです」(阿部社長)。
 同社では積極的な出店を進めていく考えで、既に来年以降も、沖縄本島・石垣島・北海道旭川などに出店を計画している。
 「沖縄の案件は、キャビンとホテルの融合型を予定しています。もちろん、リゾートホテルや旅館の出店も計画しています」(阿部社長)という。

ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ 「ホテル・ザ・エム」2号店を金沢に
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)は新たに、「ホテル・ザ・エム」ブランドの2号店として、「ホテル・ザ・エム金沢雨庵」を石川県金沢市に出店する。開業は今年12月1日の予定。
 同施設は日本エスコンが所有する敷地面積730・13㎡に建ち、延床面積2866・02㎡、鉄骨造地上6階建て。総客室数47室、最大収容人数102名。設計はジー・ワイ設計が担当し、施工は松井建設。
同社が展開している「ホテル・ザ・エム」は「その土地に求められることを」をコンセプトに、その土地らしさや地域とのつながりを強く持つブランド。昨年第一号店として東京・赤坂に「ホテル・ザ・エム インソムニア 赤坂」を開業させた。これは既存の「ホテル アバンシェル赤坂」をリブランドしたもので、「睡眠が主な施設機能ではないホテル」をコンセプトにしている。3月の開業以来、70%以上が外国人宿泊客で占められている。
 今回出店する金沢は、日本海側気候で日本でも有数の年間降水量が多い地域であり、年間約160日は雨が降るといわれている。この地域性をホテルに取り込み、「雨」までも旅の魅力にしたいと「雨庵(うあん)」と命名した。
 また、金沢にはいくつかの茶屋街が今も残っている地域で、同ホテルも客室数47室と小規模でひっそりと佇む、閉ざされた雰囲気を特徴にしている。
 同ホテル最大の特徴は、宿泊者だけが利用できるラウンジ。朝は朝食会場として地元加賀野菜を使った和・洋の定食を提供。夜は北陸の地酒が愉しめる日本酒バーを営業する。ラウンジにはほかにも、宿泊者がこの地をより深く知ることができるよう金沢に纏わる書物やアートブックなどを集めたライブラリーを展開する予定だ。
当ホテルの初年度の目標平均稼働率は約70%、客室平均単価をは2万1000円強。
 ソラーレホテルズでは、「ホテル・ザ・エム」を最上級ブランドに据え、エムブランドならではの「ここでしか出来ない宿泊体験」を提供していく考え。
 同社は、「チサン」、「ロワジール」ブランドなどを含め、現在国内約52か所、海外1軒、総客室数約9031室のホテルを運営、フランチャイズ、アセットマネジメントを展開している。

「スマイルホテル」FC41店目を開業
 「スマイルホテル」ブランドを展開している、ホスピタリティオペレーションズ(東京都千代田区)は、埼玉県川口市に、同ホテルチェーン全国41店舗目となる「スマイルホテル川口」を8月1日にリブランドオープンさせた。埼玉県内での開業は、熊谷に続き2店舗目となる。
 同施設はJR京浜東北線「川口駅」東口より徒歩約3分に位置、客室はシングル、ダブル、ツイン他計7タイプで数は23室。大浴場、ランドリーコーナー、飲料自動販売機等を備える。
 「スマイルホテル川口」は、スポーツや様々なイベント・コンサートが行われる「さいたまスーパーアリーナ」へは、電車の乗り換えなしで約20分に位置し、東京駅まで電車で約25分と、都心の有名な観光スポットへも出かけられることから、同社はビジネス、観光などのニーズを期待している。ホスピタリティオペレーションズは、全国でホテルはもちろん、スキー場、ゴルフ場などを展開している。また近年は、グループ会社の独立系ホテルネットワークから「スマイルホテル」へのFC加盟も増加。昨年12月には、みちのくホテルが青森県弘前市で経営する「弘前国際ホテル」が「スマイルホテル弘前」に、「ホテル SLOW 水前寺」が「スマイルホテル熊本水前寺」にリブランドオープンしている。

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