不動産トピックス

クローズアップ 水害対策編

2015.08.31 10:10

 夏も終わりに近づき、台風シーズンの本格化も近づいてきた。先日も台風15号によって西日本を中心に大きな被害がもたらされたのも記憶に新しいところだ。そこで心配になるのが、水害への対策だろう。備えを万全にし、被害を抑えるための製品・サービスを紹介する。

リンテック21 簡単設置、簡単片付け「水害フェンス FF」
 リンテック21(東京都港区)は今年6月から組み立て式シートタイプ止水フェンス「水害フェンス FF」を販売している。「水害フェンス FF」はその特長として、「設置や後始末が簡便であること」、「持ち運びや保管が容易であること」、「高性能にもかかわらずリーズナブルな価格であること」等が挙げられる。
 土のうや既存の止水板の代替品となることを目指して開発が進められた「水害フェンス FF」。同製品はゴムボートなどに使用されるシートを使用しており、充分な防水性能を持ちながらその重さはフレーム込みで2枚1組約12kgに押さえられている。この軽さによって2分程で設置が可能で、さらに使用後の後始末は表面を水で洗い流して乾かすだけとこちらも非常に簡便である。また、乾かしさえすれば何度も再利用することができる。この軽さでシートタイプであることから「風で飛ばされたりはしないのか」という疑問については、セットになっているフックプレートで固定されるため、心配はいらないとのことだ。
 「水害フェンス FF」は現在、インターネット上の通販サイトでのみ販売を行っている。こうした販売形式を選んだ理由は、「どういった方が商品に興味を抱いてくれたのか把握しやすいため」であると同社代表取締役の富田真次氏は語る。
 富田氏は「『水害フェンス FF』は今年2月の展示会で初披露して以来、マンションなどの管理会社をはじめとして鉄道会社や金融機関など様々な方々から反響が寄せられております。商品に興味を抱いて頂いた方の意見を取り込んでいって商品のバリエーションを増やしていくことがこれからの課題です」と展望を語った。


アイリスオーヤマ 水で膨らむ簡易土のう
  アイリスオーヤマ(仙台市青葉区)は今年6月26日、ポリマータイプで水に浸して5分で膨らむ「緊急簡易土のう10枚スタンダード/6枚ロング」を発売した。主に全国のホームセンターや法人向けに販売し、初年度は3万個の販売を目指す。
 近年、突風や竜巻の発生、火山の噴火、ゲリラ豪雨といった自然災害の頻発により、全国各地で土砂災害や浸水被害が数多く発生している。平成23年の東日本大震災を契機に、地震や津波による被害を想定した防災、減災用品の需要が拡大し、多くの商品が登場しているが、地震以外の多様な自然災害への対策が急務となっている。
 特に近年は台風の異常発生やゲリラ豪雨と呼ばれる局地的集中豪雨が頻発しており、水害発生リスクが高まるといわれている1時間降水量50mm以上の激しい雨の年間発生回数は直近30年で約1・5倍に増加している。これにより、都市部を中心に雨水が流れ込む下水道の許容量を超えてしまうことによる床下、床上浸水といった水害が増えている。
 このような場合、土のうを使用した浸水の防止が有効だが、都市部では「土のうに使用する土を用意することが難しい」、「保管場所がない」ことから、ポリマータイプの簡易土のうへの需要が増えている。
 そこで今回、同社はポリマータイプの土のうの商品ラインアップを強化するため、従来品の半分の5分という短時間で膨らむ「緊急簡易土のう10枚スタンダード/6枚ロング」を発売した。水に浸してから5分間で約16~20kgに膨らみ、2~3段に重ねて使用することで浸水水位が15~20cmほどの初期水害対策品として使用することができる。使用前の状態は厚さ約1cmと薄いため、備蓄場所を効率よく確保できる。加えて使用後は3、4日天日干しにすることで元のサイズに戻り、燃えるゴミとして廃棄することができる。
 さらに、バリアフリー化の進展に伴い、建物の入り口から雨水が流れ込んで浸水被害をおこす家庭や店舗が増えている現状を踏まえて、ドアのサイズにあったロングタイプを新たに商品ラインアップに追加。今回の商品ラインアップの強化によって、さまざまなサイズのドアやシャッターに対応することができ、隙間からの水漏れや浸水を防止する。
 同社は、今後起こり得る火山の噴火や首都直下型地震などの大規模災害を想定し、さまざまな被害に対応できる防災、減災商品の拡充を図っていくとしている。


国土地理院 浸水リスクをウェブで検索
 国土地理院(茨城県つくば市)は先月31日、知りたい場所の浸水リスクをWEBサイト上で調べることができるサービス「地点別浸水シミュレーション検索システム(通称:浸水ナビ)」を公開した。
 従来、自分の住んでいる地域にどのような浸水リスクがあるのかを調べるためには、河川ごとに公表されていた洪水浸水想定食い記事をすべて確認する必要があった。今回公表された「浸水ナビ」では自宅などの地点をWEBサイト上で指定することにより、「度の河川が氾濫した場合に浸水するか」、「河川の決壊後、どれくらいの時間で氾濫水が到達するか」、「どれくらいの時間、浸水した状態が継続するか」などの浸水リスク等をアニメーションやグラフで表示させ、簡単に把握することができる。
 浸水ナビでは現在119河川の洪水浸水想定区域図の検索が可能で、今後も検索可能な河川を随時増やしていく予定である。また、年度内を目途に内水・高潮の浸水想定区域図データの検索も可能となるよう拡充予定とされている。

PAGE TOPへ