不動産トピックス

不動産経営者倶楽部不動産経営部会勉強会再現

2015.08.24 14:43

 働き方の変化と共にテナントがオフィスに求めるものが変わってきています。当社が今年6月にオープンさせた新富町のシェアアトリエの一角にはフリーのワークスペースがあり、堅苦しいオフィスよりも快適です。最近、こういった働き方を嗜好する方が増えていることを実感しています。もうひとつ働き方の変化として「シェア」が当たり前になってきています。シェアハウスはひとつのトレンドになっていますが、住宅だけでなく事務所も仕事もシェアする時代なのだと思います。不動産や建築等の親和性の高い小規模会社が集まり、自分たちで事務所を借りてシェアしているというケースが存在します。経済的な理由を超えてコミュニティの充実度が重視されるようになってきています。そして、ここ数年テナントのオフィス選びの手法がネット仲介に移行しているというのは珍しくない話です。ネットで自分の条件に合う物件を探して直接内見の連絡をしているのです。ただし、よくあるネット仲介の条件選択では賃料やスペックについての項目ばかりです。これがセレクト系サイトでは感情に訴えるような項目しかありません。例えば「レトロな味わい」や「眺望抜群」等。坪単価は全く重視していないのです。当社ではインターネット仲介がどれだけ露出しているか定期的にランキング調査をしていますが、2年前の調査ではセレクト系サイトは1つも上位に出てきませんでした。しかし今年3月に調査すると上位20社のうち4社がセレクト系サイトでした。これまでのオフィス選びの基準は立地や設備が機能的かどうかでしたが、今起きている変化としてはスペックだけでは言い表せない、感情に訴えかける物件情報を求めている人が増えているのではないでしょうか。こうした状況下でビルオーナーが何をすればいいのか、私なりの解釈でお話します。賃料を生んでくれるビルは「金の卵」を産む鶏と同じですが、良い餌を与えて育てていかないといけません。ビルにも投資をして進化させていかないと陳腐化する一方です。建替えてもいずれ時代遅れになるため、結局は進化させ続けていかなくてはいけません。そのためにはどうすればいいのでしょうか。ビルも相当進化していますが、この進化の段階が変わったことに対応しなくてはいけません。マズローの5段階欲求では生理的欲求から自己実現まで精神的満足度を求めることになるのですが、これはオフィスにもあてはまると思います。オフィス的マズローの解釈として、最初は場所があれば満足する。2段階目は安全・安心。3段階目の社会的欲求は社会的帰属をしたい。今はこの段階だと思います。進化の段階が変わったというのは4段階目の尊厳欲求での変化です。他人からカッコいいと思われたいとか、個性を発揮したい等です。そして5段階目の自己実現欲求は自分のビルにアーティストを集めて育てたいといった感じでしょうか。住宅はそこに達していると思います。今オフィスで起こっている現象は住宅では数年前から起こっていることです。オフィスに求められるのは内装を自分たちでつくりたい、交流の幅を広げたい、社会的意義のある活動に貢献したい等、自己実現の段階に数年後には到達するのではないでしょうか。もうひとつのポイントは「ビル経営はタイムマシーンモデルで捉える」ことです。タイムマシーンモデルというのは、アメリカで流行った事象を日本にもってくればビジネスがうまくいくという、時代の先を行くトレンドをビジネスのカテゴリーを変えて応用するマーケティングのセオリーです。ビル経営にもタイムマシーンモデルを取り入れていただきたいのですが、アメリカのオフィスを見学する必要はありません。5段階欲求説に沿って住宅業界で起こったトレンドは数年後にオフィスで起こることになります。ハードとしてのスペックを充実させるよりもテナントの「改装したい」という想いに寛容な貸し方にしたり、屋上やロビーを公園のように開放する等が考えられます。これらは大きなお金をかけなくてもできることです。


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