不動産トピックス

クローズアップ 光触媒編

2014.11.10 17:49

 太陽光や室内の蛍光灯から発せられる紫外線の力だけで空気や壁面を浄化し、また殺菌効果なども併せ持つ光触媒。光触媒を活用することで清掃コストを大幅に削減できるなどビルオーナーにとってメリットもある。本頁では光触媒製品を提供している企業を紹介する。

 神奈川県や東京都を中心にビルメンテナンス事業などを展開する共和建物管理(横浜市中区)は、可視光応答型光触媒「バイオミミックコート」の施工および販売を行っている。
 営業開発部課長の安達肇氏は「大半の企業は光触媒技術をよく追究していますが外壁材や対象物に光触媒をしっかりと付着させる技術に関してはまだ弱いと思います。ほとんどの会社は密着性を上げるためにバインダーと呼ばれる接着剤を塗り、その上から光触媒を塗布しています。最初の数年は非常に効果的なのですが年数が経過するうちに光触媒ごと接着剤が剥がれてしまいます。そのため良いところもあるが耐久性がないと光触媒に対して悪いイメージを抱くクライアントもなかにはいます」と語る。
 「バイオミミックコート」は元々、焼き物の絵柄の色が抜けないためのうわ薬として研究開発された技術で接着剤を使用していない。アンダーコートとトップコートの両方に光触媒を使用し対象物にダイレクトに付着させることができるという特徴がある。佐賀県が県有特許権を取得していることから他社が踏襲することができない独自の技術となっている。
 「焼き物は割と暗いところに展示されることが多いため、蛍光灯や白熱灯のもとでも反応することができる技術となっています。ビルとビルの隙間、地下室、直射日光の当たらない場所など他社の光触媒では反応が出にくい場所でも効果を発揮します。また接着剤を使用していないためガラスや布など全てのものに施工することができます」と安達氏は「バイオミミックコート」の特徴を語る。
 通常の光触媒は親水性を上げるためにシリカや吸着性の高い付加材料が混ざっているため雨の少ない環境では逆に汚れを呼び込むという欠点があるが、「バイオミミックコート」はシリカレスで活性が無い無機質の酸化チタンを原料としているため雨と一緒に汚れが流れ雨ジミも残りにくい。
 「どこの企業も光触媒に関しては可視光でも効果が出ることや殺菌効果があるなど類似したことを言いますが何故か途中で息切れしてしまいます。『バイオミミックコート』は息切れせずに最後までいくことのできる技術です。そのような製品を提供することでビルオーナーの満足を得ることができるのではないでしょうか」(安達氏)


 バイオメンテック(東京都渋谷区)は植物性バイオ洗剤「ケミクリーン」や特殊コーティング剤を製造販売し洗浄工事を行っている。
 代表取締役社長の佐藤正和氏は「『ケミクリーン』は油分解作用のあるカテキンや殺菌力のある烏龍茶などの植物パワーを配合することで汚れを分解するため、一般的な洗剤よりも汚れ分解力が高く人体や地球環境に対して優しい製品となっています。当社は洗剤の能力の飛躍を考え、植物バイオ技術と光が当たると消臭殺菌効果を発揮する光触媒技術をコラボレーションさせることによって室内用バイオ光触媒洗剤『バイオライトクリーナーR』およびカーペット用バイオ光触媒洗剤『バイオライトクリーナーC』を開発し6月20日から楽天市場などで販売を開始しました」と語る。
 太陽光だけでなく蛍光灯などの可視光を浴びている箇所で同製品を使用することで、天然植物エキスのパワーで室内の壁や床の汚れを化学的に分解することは当然ながら、光触媒「アパタイト二酸化チタン」のパワーで油分解を促進し、トイレのアンモニア臭、エアコン臭、タバコ臭などを分解して室内空気を浄化する。また、殺菌作用もありカビの発生を防ぐといった抗菌効果を発揮する。
 「当社が販売する『バイオライトクリーナー』は無添加・無香料で防腐剤や界面活性剤を一切使用していない安全・安心な製品です。部屋の窓を開けて太陽光を部屋に入れることや部屋の中の明かりを全て点灯して清掃することで光触媒の効果をさらに出すことができます」(佐藤氏)
 「バイオライトクリーナー」は通常の洗剤と同様にスプレー噴霧し濡れた布やスポンジで汚れをふき取るだけで抗菌や消臭効果を発揮する製品となっている。「清掃業者に作業を依頼する必要はなく自分たちの手で手軽に作業を行うことができます。製品も安価なため清掃コストを抑えることができるのではないでしょうか」と佐藤氏は同社製品に自信を見せる。


 仲屋ファスナー(東京都葛飾区)は高性能型光触媒スプレー「ピュア・マジック」を販売している。
 ヘルスマジック事業部の瀬々益男氏は「光触媒の材料と道具がマッチングしていることが大事です。当社は光触媒をコーティングするためのコンプレッサーにチロン温風低圧塗装システムを採用しました」と語る。
 従来のコンプレッサーを使用する塗装システムとは異なり、圧縮エアーを使用せずに独自の高回転型タービンブロアから連続的に供給されるエアーを用いることで高品質なコーティングを可能にしている。エアーカーテンの効果により約70%と業界トップクラスの塗着効率を生み、タービンの回転摩擦熱による乾燥時間の短縮等のメリットを実現した。
 「光触媒は万能選手ではないので全ての場所で同じような効果が発揮されることはありません。顧客から施工しても効果がないというクレームを受けることがありますが、施工箇所に適切な光触媒をコーティングできなかったためだと考えることができます。当社はクライアントに室内のどの部分に光触媒を施工したいのかを必ず聞くようにしています」(瀬々氏)
 「ピュア・マジック」は臭いを抑えることに効果があるが、仲屋ファスナーは防カビ効果のある銀と光触媒を組み合わせた光ギンテックスプレー「防カビくん」も販売している。同社は今後も適材適所への提案を軸に事業を展開していく。

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