不動産トピックス

今週の一冊

2014.10.27 13:38

「不動産力」を磨き、健全な市場形成へ

不動産力を磨く Q&Aで”手ごわい客”になる知識を身に付ける
著者 ニッセイ基礎研究所 不動産投資チーム 
発行 日経BP社
発行日 平成26年10月14日
定価 2200円(税別)

 アイドルグループ「HKT48」に所属する指原莉乃さんの著書「逆転力~ピンチを待て~」や女子サッカー日本代表の佐々木則夫監督の著書「なでしこ力」など、最近は「○○力」をタイトルとする著作が人気だ。キャッチーなコピーとして何にでも流用可能。質が伴わずともニュアンスを伝えるには最適な言葉である。
 一方、本書のタイトルになった「不動産力」とは何か。こちらは純粋に「不動産知識」を指す言葉。一般的に不動産業界は「情報格差」が著しく、素人(エンドユーザー)は情報量の差でプロをしのぐことは難しい。そもそも不動産業界の常識や慣習をユーザーが知る機会はほとんどない。「不動産力」を磨くことで、業界中心の考え方に対し、利用者の立場から異議・意見・疑問を提示できる力を身につけることができるようになる。
 著者は大手シンクタンクのニッセイ基礎研究所・不動産投資チーム。いわば業界のプロ中のプロが執筆しているが、「不動産はインフレに強いって本当?」、「東京で大型ビルが次々計画されるけど借り手がいるの?」等、誰もが感じる素朴な疑問に対して専門的な知見から回答を導き出すQ&A方式のため、読みやすい。
 本書によって「素人」が「不動産力」を向上させて「手ごわい客」になる。一方「手ごわい客」に対して「プロ」も真摯な姿勢で対応しなければならない。相乗効果によって健全な市場へと発展させることが狙いといえるだろう。

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