不動産トピックス

クローズアップ 分煙機器編

2014.09.22 12:44

 喫煙者への対応が厳しくなる昨今、室内外に喫煙室を設置する需要がビルオーナーのなかで高まっている。助成金も給付されるという動きもあり、導入を検討するなら今がチャンスだ。分煙機器を販売している企業を紹介する。

 共和建物管理(横浜市中区)は神奈川県や東京都を中心にビル管理事業などを展開し、知的財産活動を通じ、経営基盤を強化し、未来に向けて成長を志向する企業としてビルメンテナンス業界として初めて「横浜知財みらい企業」に認定された。
 営業部開発部課長の安達肇氏は「当社はメーカーではないため分煙機器を専門に販売しているわけではありません。多くの製品が販売されていますが、客観的に判断して良いものを選択して顧客に提案しています。顧客が満足する喫煙室を作ることで自然と良い環境のビルができビルメンテナンスを行いやすくなります。当社はビル管理業務を主力の業務としているため、ビル管理の視点から分煙環境を創造しています」と語る。
 従来の分煙機器は煙を除去することはできるが臭いを取り除くことはできないという問題を抱えていた。換気扇などを設置するという方法もあるが、既存ビルに空調機器をつけることが難しく、空調バランスを崩してしまうという可能性もあった。共和建物管理は既存の製品を提案しても意味がないと考え、臭いやガスを除去することが可能な喫煙室用プラズマ脱臭機「プラズマダッシュ」の販売を決めた。
 「喫煙室に分煙機器を設置することで臭いやガスを取り除いた空気を排気することはできますが、壁紙や床材、ガラスなどにヤニがついて汚れてしまうことはあります。喫煙室を作るのであれば、製品の導入だけでなく、全面に光触媒を施工して汚れにくい環境を作ることやタバコの煙を外部に出さないようにパーテーションで区切るなどの提案をしています。光触媒代、パーテーション代、分煙機器の経費などがかかり初期投資費用はかかりますが、清掃コストは安く抑えることができます。本気で取り組もうと考えているのであれば導入できるのではないでしょうか」(安達氏)
 喫煙室を作ったとしても扉を開けたまま喫煙したり許容人数を超えて吸っていた場合、脱臭の効果が薄れてしまうこともある。衣服などに一度ついた臭いを取り除くことは困難だ。メーカーは分煙機器を販売するということには注力するが、事前に臭いを抑えるというところに着眼する企業は少ない。喫煙室を利用する上でのルール作りを説明するということも大事だという。
 「臭いを出さない、つけない、汚さない、そこまで手をかけなければ完全な分煙はできないと思います。分煙機器を単体で販売するだけでなく、脱臭や清掃コストを抑えるなどの付加価値を加えて提案しているため顧客の要望には対応することができると思います。喫煙者・非喫煙者が気持ち良くタバコを吸う環境を作るために製品を提供していきます」(安達氏)

 トルネックス(東京都中央区)は喫煙所システムなどの製造、販売及び保守を展開し、喫煙室に設置する集塵脱臭装置だけでなく喫煙室に必要な設備や備品などをトータルで提案している。
 マーケティング室グループリーダーの島田秀治氏は「煙を防ぐエアカーテンやテーブルタイプの喫煙所システムだけでなく、最近では屋内外に設置可能なブースタイプの喫煙所も提案しています。メーカーとしての強みを生かし様々な分煙対策製品を揃えているため顧客の要望や条件に合わせて商品を提供することができます」と語る。
 テーブルタイプの商品では煙を除去することはできるが臭いを完全にとることができず周囲に臭気を拡散してしまうことがあった。トルネックスは92%という高確率で臭いを除去することができる独自の脱臭メカニズムを導入した高性能プラズマ脱臭装置を提案することで排気対策だけでなく臭気対策も行っている。建物の都合上、換気扇をつけることができない場合や設置しても風量が弱いという場合もあるが、同製品を使用することで浄化された空気を循環させることができる。
 喫煙所システムを導入する際にコストを気にするビルオーナーは多いが厚生労働省が3年前から受動喫煙防止対策助成金を給付している。全ての業種の中小企業が対象となり、200万円が上限ではあるが喫煙所を設置する際に半額が負担される。従来は喫煙室の設置のみが助成対象であったが、今年7月から宿泊業・飲食業のみ換気設備の設置などに必要な経費も認められるように内容が一部変更された。あくまでも排気工事に対しての助成金がメインであったが空気清浄機で粉塵濃度を下げる政策についても助成金が下りるようになったということだ。
 トルネックスが販売する喫煙所システムやエアカーテンなども喫煙所の環境を改善する付帯設備として助成金が認められている。喫煙所を設置しやすい流れになってきていると島田氏は感じている。
 「当社は20年以上に渡って分煙対策製品を販売してきました。机の上でタバコを吸っていた頃から、喫煙場所を集約する時代を経て、現在は喫煙室で吸うスタイルに変わってきています。対策当初は満足していただいておりましたが、年々喫煙に対する見方が厳しくなり入れ替えや内容の見直しを検討する声も挙がってきております。設置して終わりというわけではなく、使用状況や改善点などを相談しながら様々な提案をしていきます」(島田氏)

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