不動産トピックス

今週の一冊

2014.05.12 16:48

銀座を通し、多くのまちづくりの参考に

銀座にはなぜ超高層ビルがないのか まちがつくった地域のルール
著者 竹沢えり子
出版 平凡社新書
発行 平成25年11月15日
価格 800円(税別)

 全国各地に「○○銀座」と呼ばれる商店街がたくさん存在するように、人がにぎわう繁華街の一般名詞としても使われる「銀座」。しかしながら、掘り下げてみると、「銀座」に対して持っているイメージは、実は人によってさまざまであり、「誰でも立ち寄れる」店もある一方で、「誰も知らない自分たちの銀座」を持っていることがステイタスともなる、相反する側面が両立する街でもある。
 第1章「銀座とはどんな街か」では、このような銀座の特長を伝えつつ、冒頭では本書が伝える銀座のまちづくりについては決して順調なものとは言えなかったとあり、まちづくりの経緯が他エリアでも十分に参考になるということを暗示す。
 本文の最後では、現在中央通りで進められている、「松坂屋」跡地を中心とした大規模再開発「六丁目市街地再開発事業」にも触れ、都や中央区、再開発組合に対し銀座街づくり会議がたびたび提出した文書では、一貫して「銀座の考える都市デザインの基本的な方向性」を強調したとしている。その方向性とは、建築物と街路が一体となって醸し出す、変化に富んだ、人のための通り空間の存在こそが「銀ブラ」の源泉である、というものだと本書には記されている。
 銀座を知るだけでなく、銀座の街づくりを通じ、みずからの街づくりにも大いに役立つ一冊だ。

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