不動産トピックス

クローズアップ 駐車場編

2014.02.10 11:26

 遊休地活用から既存施設の収益力最大化へと、その主眼が変わりつつある駐車場経営。今回は収益力やコスト改善、稼働率向上に寄与する企業を紹介する。駐車場の活性化は、不動産価値を向上させる可能性は大きい。

 三井不動産リアルティ(東京都千代田区)が不動産オーナー向けに展開している駐車場サービスは大きく分けて「時間貸し駐車場」、「施設型駐車場」、「月極駐車場」、「時間貸し自転車駐車場」の4通り。同社ではあらゆるケースに対応し、時間貸し駐車場であれば一括借り上げ・ノーリスクでの運営が可能だ。また時間貸し駐車場は、商業施設やビル内に設けられている来客用の駐車場の活用にも効果的だ。回転率の改善による利便性向上も期待でき、施設全体の魅力をアップさせる可能性も持っているといっていいだろう。施設の価値向上という点では、施設型駐車場のソリューションサービスも有効だ。規模の大きな駐車場では有人管理が求められる場合が多いが、同社では独自研修を積んだ専門スタッフ「パーキングアテンダント」が、管理から接客、利用促進活動まで行い、駐車場の運営をきめ細かくサポートする。
 そして同社のもっとも大きな特徴は、駐車場運営をあくまで土地活用の一つとしている点。駐車場か、ビルを建てるべきか、売却するべきか。売買・賃貸仲介をはじめとする幅広い不動産業務を展開してきた同社ならではの提案を行う。
 駐車場以外のソリューションを提案できる業者は少ない。総合不動産業を主業とする同社の強みといっていいだろう。


 機械式駐車場は他の駐車場に比べイニシャルコストが大きく、保守や部品交換などランニングコストもかかる。メンテナンスは欠かせないが、同等の内容であれば低廉な方を選びたいのがオーナーの本音だろう。
 機械式駐車場のメンテナンス費用はメーカー系が高額、独立系が低廉という図式が長いこと保たれてきた。しかし長期化した景気低迷のあおりから、この図式も崩れつつある。価格を売りにしていた独立系に対し、メーカー系が値下げ攻勢にでてきたのである。さらに昨今ではビル管理会社などもメンテナンスに市場参入。機械式駐車場メンテナンス市場は、競争激化の様相を呈しつつあるのである。
 大阪を本社に機械式駐車場メンテナンス業務を展開しているテクノパーク(大阪市淀川区)も、メーカー系列には属さない独立系。これまで独立系が手を付けてこなかったような長期修繕計画の策定などにも注力し、差別化につなげている。
 「メーカー系はデータの蓄積があるため精度の高い長期計画が立てられますが、当社でもより精度の高い修繕計画にするべく日夜研究を続けています。メンテナンス業者の選択肢が拡がる一方で、独立系の技術力にも差がでてきています。オーナーさんがメンテナンス会社を見極めるためには、より厳しい目が必要になっているのです」(第一営業課 課長代理 臼井 勉氏)
 同社ではまた独立系のメリットとして、対応力の幅広さを挙げる。さまざまなメーカーの機器に対応している点も直接的なメリットだが、そこから生まれる応用力も強みだ。例えば部品交換が必要と判断された場合でも、一部のパーツを流用することで対応できることもある。こうしたノウハウからは同社が長年にわたって培ってきた技術力の確かさを感じさせる。現場のメンテナンススタッフのみならず、独立系でありながら技術者を擁する同社の対応力が光る部分だ。


 アイテック(東京都新宿区)の「ロックレス」式駐車場システムには、その名のとおりロック版は存在せず、もちろんゲートもない。個々の車室には取り付けられた高性能の監視カメラでナンバープレートを自動的に読み取り、車両の入出庫をチェックして課金するという仕組みだ。
 メリットとしてまず挙げられるのが、駐車のしやすさ。車室に設置されたロック板を正しく機能させるためには真っ直ぐ駐車する必要があるが、そこにロック板が加わることで、ドライバーには新たなプレッシャーが加わってしまう。またロック板式には車室の間にガードレール等が設置してある場合もあり、これもドライバーにとってはプレッシャーとなる。「ロックレス」式システムに必要なのは、駐車場所を示す白線とカメラを内蔵したポールのみ。時間貸し駐車場に止める際、ドライバーが感じるであろうストレスの軽減につながっている。
 料金を支払わずに出庫してしまうという懸念に対しても、対策は万全だ。未払いの車両は全てマークされ、同社が管理する駐車場を再び利用した際に係員が急行して支払いを促す。
 ナンバープレートを隠す不正に対しても、駐車場内全体を撮影するカメラが設置されているためすぐに発見される。さらにカメラ自体を隠すとコールセンターに自動的に信号が送られ、この場合も係員が急行する体制がとられている。こうした仕組みやカメラの抑止効果もあってか、不正利用は従来のロック版式よりも少ないという。ロック板を無くしたことでかえって不正防止につながるという、意外な結果である。
 さらに同社では、携帯電話の「フェリカ」を使用した支払い方法や法人向けの支払いシステムなど、利用者の利便性を高めるサービスも積極的に提供している。車に乗り込んで携帯電話で支払い、そのまま出庫ということも可能だ。
 駐車場の料金以外の差別化が難しいといわれている時間貸し駐車場だが、「ロックレス」式駐車場はその概念を打ち破るシステムといっていいだろう。

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