不動産トピックス

クローズアップ 空調省エネ編

2013.05.20 17:19

 円安によって輸出企業は息を吹き返したが、火力発電の燃料輸入コスト増に伴い貿易収支は大幅に悪化した。さらに、電気料金の値上げや省エネ法改正も視野に入り、省エネ対策はビルオーナーだけの問題ではない、国家的な問題となりそうだ。中でも、ビルにおいて消費電力の割合が大きいのは空調設備。今回は既存空調の性能を最大化する手法を紹介する。

エスコム 室内環境悪化を最小限に抑えた省エネ実現 空調専用デマンドコントロールシステム
 契約電力は過去1年間のデマンド(最大需要電力)で決定され、空調がフル稼働する夏場に最大デマンド値を計測するケースがどうしても多くなる。端的に言えば、電気料金を削減するには使用電力量を削減するだけでなく、同時にデマンド値を下げなければ省コストは難しいのだ。
 エスコム(埼玉県北葛飾郡)が販売・施工する「ESSOR(エソール)」は、空調設備に特化した省エネデマンドコントロールシステムだ。詳細に設定した省エネ率に応じて空調機の運転状態を監視・コントロールし、室内環境の悪化を最小限に抑えながら使用電力量とデマンドを低減。電気の基本料金削減を念頭においており、省エネ・省コストを高レベルで実現する。
 「従前のデマンドコントローラーは目標デマンド値を超えそうになると一時的に空調機の稼働を止めてデマンド抑制を行なっていましたが、これでは快適性は損なわれます。当システムは複数の空調を順番に3分以内で停止し、温度変化は最小限に抑えることが可能です。体感温度に変化が感じないシステムとして工場等での採用が増えています」(同社 代表取締役 宮川 亮氏)
 同システム1台で空調機の管理は最大256台まで可能。タッチパネル画面で各空調機の電力使用状況や制御状況をリアルタイムで表示する他、省エネ効果の集計値を日報・月報・年報形式でまとめられる。空調機の個別データ値を集計し、テナントへの説明資料を作成する事も可能だ。
 「当製品は、電力会社から『自動負荷遮断型デマンドコントール装置』として認定されており、導入することですぐに基本料金を低減できます」(宮川氏)
 一般的なビルの場合、制御する空調を30台と仮定すると、設備・施工費が約420万円。導入後の削減効果は年間約130万円で、償却年数は3・2年ほど。同システムを活用して同社では導入コスト不要のESCO事業も展開している。

神戸技術コンサルタント 磁力の力で水質改善を図り、節電・省エネ・省コストを実現
 独自技術の「流体改質」によって節電・省エネコンサルタント事業を展開する神戸技術コンサルタント(兵庫県加古川市)は、劣化したセントラル空調設備の能力を回復する省エネサービス「エネセーブ・システム/空調(ESA)」を5月から販売した。
 同サービスは、空調の冷却水・冷媒等の「流体」を特殊な流体処理装置によって水質改善を図り、空調運転時の無駄をなくし、節電・省エネ・省コストを実現するシステムだ。
 「老朽化した空調を人体に例えるなら、血液(冷却水)の不良で血管(配管)が詰まる高血圧の状態で無駄な電気・水を使用している状態。当社の流体処理装置は強力な磁気によって水の粒子を細分化することができます。水・冷媒が通う配管に流体処理装置を取り付けることで、配管詰まりを解消。空調では熱交換器などの伝熱効果が高まるため、10~50%の節電効果が見込めます」(代表取締役 荻谷 滋氏)
 また、配管内のスケールを除去・付着防止することで水処理に必要な薬品なども不要となり、設備運用コストの低減も実現する。
 残念ながら磁気による流体改質については、その作用メカニズムに諸説が飛び交い、理論解明には至っていないが、同社によると「商業ビルの冷温水回路の水改質による『都市ガス10%削減』実績や、製鉄所電気室冷却塔の50%能力低下を約3週間で復活させた」(荻谷氏)など、導入実績を積み重ねている。
 同サービスはまず試行期間内は無料で導入し、その効果を実証した後、レンタル方式か成功報酬方式のいずれかで契約となる。

ユニヴァ・キャピタル・ジャパン 空調設備の自動制御で15%の消費電力を削減
 ユニヴァ・キャピタル・ジャパン(東京都港区)は創業以来、省エネの実現と環境配慮への貢献という理念のもと、エスコサービス事業を推進しており、現在、空調設備の省エネを実現する制御装置「ESCO―ONE」の販売を強化している。  東日本大震災以降、オフィスビルの節電需要が高まっており、空調の自動制御によるデマンドコントロールが注目されている。同社が販売する「ESCO―ONE」は、こうした節電需要に応える製品となっており、その特徴は業務用エアコン・冷凍庫・冷蔵庫のコンプレッサーの稼働状況を監視し、最適なタイミングで省エネ制御を行うことで、テナントに負担をかけずに省エネ・節電を実現できる点にある。
 「『ESCO―ONE』は、型番が古い空調設備から新しいものまで、メーカー問わず95%対応していますので、設備リニューアルのような多額の費用をかけずに、エネルギー効率の悪い空調設備に対して省エネ・節電を行うのにも適しており、導入によって、15%の消費電力削減が可能です」(代表取締役 佐野 敦彦氏)
 さらに、他社の空調自動制御装置と異なり、540日間にわたって計測したデータを保存することが可能なことから、省エネ・節電効果を目で見て確認することができ、省エネ・節電対策に対する分析を行うことも可能となっている。

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