不動産トピックス

今週の一冊

2013.01.07 16:21

任意売却を中心とした自己破産回避法

「住宅ローンが払えない!」と思ったら読む本
著者:高橋 愛子
出版:PHP研究所
発行:平成25年1月7日
価格:1500円(税別)

 弊紙の読者なら、中小企業金融円滑化法の存在を知らない方はいないだろう。モラトリアム法ともいわれる同法は、語弊を恐れずに言えば借金を返済しやすくするために制定された、期限付きの法律だ。帯にある「未曾有の破綻ラッシュ」とは、今年3月に予定されている同法の期限切れを指しているが、著者はこれにより住宅ローン債務者の破綻も増えるのではないかと見ている。
 著者は不動産会社で賃貸仲介や管理に携わるなかで任意売却のメリットを知り、この専門家になることを決意。任意売却専門の不動産コンサルティング会社を設立し、現在では年間300件以上の債務者救済を行っているという。
 競売や自己破産を防ぐ方法として認識されている任意売却だが、その実態を知る人は多くはない。本書は任意売却を軸に、自己破産を回避するあらゆる選択肢について事例を挙げながら解説する。例えば僅かな滞納でも残額の一括請求をされる場合があることや、債権が移動したら一括返済か競売、任意売却しか選択肢がない、あるいは複数の金融機関からローンを組んでいる場合、1社でも滞納したらそこが破綻の原因になる、など知っていそうで実は良く知らないことは多い。住宅ローンの仕組みとそれを取り巻く現状などについても触れており、自身のローンについて再確認するきっかけにもなりそうだ。
 題名に偽りあり。住宅ローンが払えなくなる前でも読んでおきたい本である。

PAGE TOPへ