不動産トピックス

クローズアップ 空気環境編

2012.11.12 17:26

 賃貸ビルのみならず、あらゆる建物において重要な室内環境。なかでもその快適性を大きく左右するのが空気環境だ。暑い・寒いといった温度から湿度、ニオイ、さらにホコリやウイルスといった衛生面まで、考慮すべき点は多岐にのぼる。そのいずれが欠けても快適な室内環境は実現不可能であり、管理面における手間もかなりのものとなる。今回は室内の空気環境に寄与する製品を紹介する。

アイズ・オン 世界初の回転電極式オゾン発生器
 強い酸化力で臭いのもとや菌に作用して無臭・無害な物質に変えるとされているオゾン。その効果については実証済みだが、強力なオゾンを安定的に放出させるのは簡単ではない。アイズ・オン(東京都港区)の「JYUNFU JJ―001」は世界初の回転電極式オゾン発生器で強力なオゾンを発生させ、室内環境を短時間で改善させる除菌・脱臭装置だ。
 オゾン発生の一般的な方法として採用されている「コロナ放電」は、放電領域の面積によって発生されるオゾンの量が決まる。JJ―001が搭載する「ターボオゾナイザー」は放電面を高速回転させることでコロナ放電領域を安定化させ、高濃度のオゾンを多量かつ安定的に生成する。
 また脱臭・除菌のスピード化も実現した。これまで高濃度オゾン発生器のネックとされていたのが、オゾンが分解されるまで部屋に入れないという課題。従来のオゾン発生器では室内に残ったオゾンを自然分解で除去するため部屋に入れるまで時間を要したが、JJ―001はオゾン分解機能を搭載。部屋の広さが14畳の場合、除菌・脱臭開始からオゾン回収まで30分という短時間で終了する。
 オゾン発生器をはじめて使用する人や機械が苦手な女性などでも使用できるよう操作も簡易化した。電源を入れ、「おまかせボタン」で部屋の広さを選んだら、後はスタートボタンを押すだけでスタートする。スイッチ類は分かりやすい表示の操作パネルに集約され、確実な操作を可能にしている。
 メンテナンスも簡便で、ユニットやフィルターの交換などは不要。フィルターに附着したホコリを定期的に除去するだけで機能が維持できる。最大60畳までの部屋に対応しており、通常のオフィスや住宅などはもちろん、短時間で部屋の除菌・脱臭が可能という性能から貸会議室やホテルなどでも活躍が期待できる。  同社代表の河野耕平氏は「部屋の除菌・消臭が、素早く確実に出来る製品です。煙草やカビの臭い、アレルゲン、花粉、さらにウイルスにも対応しています。室内環境の改善にお役立ていただきたい」と話している。

ダイキン工業 湿度調節も可能な換気設備
 室内の空気環境を考えるうえで、温度とともに重要なのが湿度だ。しかしながら従来の換気機器では湿度の管理までは困難で、可能であっても大規模な工事を必要とする場合が多い。
 ダイキン工業(大阪市北区)の「デシカホームエア」は、同社独自の吸着剤と熱交換器を一体化させた「HB(ハイブリッド)デシカ素子」を搭載。湿度のコントロールを可能にした。湿度を制御することで、夏季には除湿して体感温度を下げ、冬季には加湿して体感温度を上げることができる。快適性はそのままでエアコンの運転を控えられるため、省エネにもつながりそうだ。
 運転モードは「調湿」「除湿」「加湿」「換気」の4つから選択でき、「調湿」モードでは室内外の温度差と湿度差をセンサーで検知。除湿・加湿・換気は自動で選択されるため、季節ごとに運転を切り替える手間もない。換気扇などの一般的な換気設備とエアコンを併用した場合と比較すると、空調・換気に係わる年間消費電力を約30%削減できる。電力消費ピーク時でも約25%削減が可能だ。
 また「HBデシカ素子」が空気中の水分を直接吸着・脱着するためドレン・給水配管が不要。加湿時の水の補給も必要なく、メンテナンスの手間も省ける。リモコンもインテリアにマッチするデザインで、表示部も大きく見やすい。スケジュールタイマーも搭載しており、生活パターンに合わせて運転モードを設定できる。

三幸電機製作所 音やホコリをシャットアウトする換気口
 快適な室内空気環境を保つうえで、換気を欠かすことはできない。一般的には窓を開けるほか、通常の建築物であれば換気口から常時外気が取り込まれている。しかし従来の換気口からはホコリや花粉、さらには騒音までもが侵入してくるのである。こうした懸念を解決するべく開発されたのが、三幸電機製作所(東京都武蔵村山市)の「サイレントルーバー」だ。
 あまり気付かれていない部分だが、外気は意外と汚れている。従来の常時換気とは、見方を変えれば汚れた空気を常時室内に入れているといって過言ではないだろう。一見普通の換気口に見えるサイレントルーバーだが内部にフィルターが内蔵されており、その集塵効果は75%以上。ホコリや花粉のみならずバクテリアやウイルスもシャットアウトする。設置環境によっても異なるが、フィルターは約3カ月ごとの交換で効果が持続するという。
 もうひとつ、従来の換気口が侵入を許していたのが騒音。防音仕様のサッシが使われた建物であっても、物理的な開口部があれば音は侵入してくる。サイレントルーバーの内部はスポンジが入った三重構造となっており、外部の騒音の侵入を防いでいる。この構造により、通常の換気口に比べ約20~25デシベルの消音が期待できるという。
 もちろん換気性能も充分確保されている。騒音やほこり・花粉をシャットアウトできる、これまでにないプレミアム性をもった換気口といえるだろう。製品は開口部径100mm用と150mm用をラインアップ。150mm用には外覆部に透明な蓋が付いており、中に写真や絵を入れることが可能。外壁の雰囲気に合わせたカラーのシートを入れるだけでもアクセントになるだろう。
 同社代表の近藤伸二氏は「音やホコリなど、これまであまり着目されてこなかった点に対応する製品です。他の物件との差別化になれば」と話し、活用を呼びかけている。

三菱樹脂 電源浮揚の空調機器を実現
 空調機器の省エネ性能への注目が集まっているが、三菱樹脂(東京都中央区)が開発した吸着剤「AQSOA(アクソア)」を活用した冷凍機なら「電気を使用しない空調」が可能だ。
 吸着式冷凍機とは、機械的な圧縮機を使用せず、水が吸着剤から蒸発する際の気化熱を利用する冷凍機。ゼオライト系の機能性吸着剤「アクソア」は従来のシリカゲル系吸着剤に比べ数倍の吸着能力をもち、50~80度という比較的低い温排熱でも効率よく水蒸気を吸着・放出できる特徴をもっている。ビルや工場から放出させる排熱を利用すれば、電気を使用せずに冷熱を得ることが可能だ。すでに実用化もすすんでおり、今後はさらにひろく活躍しそうだ。

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