不動産トピックス

クローズアップ 快適性向上編

2012.10.01 10:24

 不特定多数の利用者が訪れる施設では、建物内の快適性が利用者の満足度に直結する問題となる。この問題を解決するには、年齢層に関わらず快適性を享受できる設備の導入や取り組みが求められることになる。

日本フローダ 空調機器に発生するスライムを銀イオンで防ぐ
 空調の冷房によって発生する冷却コイルの凝縮水・ドレンの排水流路に、バクテリアやカビの分泌物などで形成される粘性のある塊状のスライムが発生すると、流路が詰まってしまって漏水事故の原因となってしまう場合がある。特に24時間体制で空調を稼働させている施設や、湿気が多い施設などでは、ドレン流路からスライムを除去したとしても早くて数週間で再び発生してしまうこともある。
 スライム発生による漏水事故は、在館者にとって不快なだけでなく、スライムの原因がバクテリアやカビといったものが原因であるため、衛生面でも非常に問題があると言える。
 日本フローダ(東京都千代田区)では、全熱交換器などの空調製品やシステムを販売する中で、昨年末に「エイジークリーン」を発売した。これは、今ではおなじみとなった、銀イオンが持つ殺菌効果を活用し、バクテリアやカビなどの微生物の発生を防ぐものである。また、独自の溶出方式を採用しているため、銀イオンの効果を一定期間継続して放出することができ、湿気に悩まされる冷房シーズンに、6カ月間24時間空調稼働を続けた場合でも対応できるような性能を有している。同社東京支店営業部長の中山優氏は「スライムの発生を防ぐことによって、空調ドレンの清潔さを維持しメンテナンスを簡略化できることも、メリットのひとつと言えるのではないでしょうか」と話している。

TOTO 中小規模施設にも設置可能な多機能トイレ発売
 TOTO(北九州市小倉北区)では8月より、「オストメイト対応トイレパック」、「コンパクト多機能トイレパック」の販売を開始した。
 駅や商業施設等のパブリックな空間では高齢者や車いす使用者、小さい子どもを連れた親子など、様々な利用者が快適に使用することのできる多機能トイレの整備が進んでいる。その一方で、コンビニエンスストアやレストラン、ファストフード店といった日常生活に密着した中小規模施設への多機能トイレの整備は不十分な状況であり、同社調べによれば車いす使用者の約7割が公共性の高い施設での多機能トイレの不足感を感じているという。
 だが、上記の中小規模施設や改修現場においては寸法上の制約がある場合が多い。バリアフリー法建築物ガイドラインでは、車いす使用者用便房の広さは、「標準的寸法は200cm×200cm程度とすることが望ましい」とあり、省スペースでも設置可能な多機能トイレのニーズへの対応を目的として、同社は東洋大学人間環境デザイン学科の高橋儀平氏と共同で車いす使用者のトイレ空間における様々な動作検証を実施。その結果、180cm×190cmの空間で車いす使用者対応トイレの設置が可能となることを見出した。
 同社販売統括本部メディア推進部の橋田光明氏は、「必要な器具をライニングも含めてパッケージ化し、コンパクトな設計が可能となりました。このため、多機能トイレへの改修が困難であった中小規模施設においてもリニューアルが容易に実施できるようになります」と述べている。

サンエス工業 化学消臭フィルターと抗菌膜組み合わせ ウイルス・細菌・悪臭などから身を守る
 サンエス工業(群馬県高崎市)の「ナノクレア」は、業界初となる「化学消臭フィルター」と「抗菌膜」を組み合わせた高機能空気清浄器である。花粉やハウスダストなどの集じんはもちろん、抗菌膜にはポビドンヨード(ヨウ素剤)が化学結合されており、接触したウイルス、細菌、結核菌などを破壊し、感染力を1万分の1にまで低下させることができる。また、化学消臭フィルターは室内の花やアロマといった良い香りはそのままに、アンモニアや硫化水素系の悪臭を強力に消臭する。
 抗菌膜に化学結合されているポビドンヨードとは、うがい薬などにも使用される消毒薬のこと。空気中のウイルスや細菌がポビドンヨードに接触すると、タンパク質や資質を破壊し感染力を低下させ、不活性化させることができる。同社の調査によれば、インフルエンザウイルスA型の不活性試験及び黄色ブドウ球菌、O―157の抗菌試験を実施したところ、ウイルスが抗菌膜に接触した1分後には92%、5分後には96%、10分後には99%の除去率を達成。抗菌膜に触れたウイルスは短時間で感染力を失うことになる。また、消臭機能についても、化学消臭フィルターの働きによってアンモニア濃度は約30分で、硫化水素濃度は240分以内にほぼ完全に消臭することが可能となっている。

ルノン 光も電気も使わずに消臭効果を発揮
 ルノン(東京都品川区)の「空気を洗う壁紙」は、室内の悪臭を吸着・分解し半永久的に効果が持続する壁紙である。悪臭にはホルムアルデヒド、たばこ、トイレのにおい、生活臭など様々な要因が挙げられるが、同製品はこれらの悪臭の元を独自開発の「トリプルフレッシュ」によって消臭する。この「トリプルフレッシュ」とは、悪臭原因物質を触媒作用で水や二酸化炭素などに分解するTF金属塩と、アルデヒド系物質を吸着・分解するTF窒素化合物を組み合わせた消臭剤である。同製品に固着された「トリプルフレッシュ」に悪臭原因物質が付着すると分解作用が起こり、分解後は「トリプルフレッシュ」が元の状態に戻るため、消臭効果は半永久的に持続することになる。
 同社企画本部長の丸山誠一氏は「施工後のメンテナンスも不要で消臭効果が永続する『空気を洗う壁紙』は、宿泊施設や医療・介護・福祉施設、一般の住宅など、あらゆる施設に幅広く採用されています。また、日本の伝統工芸の意匠を表現したデザインが特徴の『空気を洗う壁紙 クラフトライン』は、その製作意図が認められ昨年度のグッドデザイン賞を受賞しました」と述べており、消臭機能だけではなく室内のデザイン性向上にも効果を発揮する。

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