不動産トピックス

今週の一冊

2012.09.17 16:20

これからは時流に沿った対応を行う者が勝ち残る

大激変 2020年の住宅・不動産市場
著者 船井総合研究所REBチーム
出版 朝日新聞出版
発行 平成24年4月30日
価格 1700円(税別)

 貸ビル不況が叫ばれる中、ある大手仲介会社が首都圏のオフィスビルを対象に行った空室率調査で回復基調にあると発表した。賃料も底打ち感があり、今後は空室の改善が進むことが予想されるという。こうした傾向は、平成15年の大量供給問題から抜け出し、市況が回復していった平成17年頃と重なるが、異なる点がある。それはビルオーナーの満足度だ。当時のオーナーアンケートでは空室率が改善すると共に、市況を「楽観」するオーナーが増え、相対的に「不安」と回答したオーナーが減った。しかし、現在は空室率が改善傾向に突入したにもかかわらず、「不安」と回答するオーナーの数に変化はない。これは「勝ち負け」の二極化が顕在化し、時流に沿ったビル経営を行わなければ生き残ることが難しいことの証左ともいえる。
 本書は不動産市場に関わる各業界の5年後以上先の未来を予測し、その対応策を考えるためのヒントとなる情報を提供しているが、根底にあるテーマは「変化に対応できる企業が勝ち残る」ことである。少子高齢化や長引く不況といった社会環境の急激な変化によって各業界が取るべき対応策を示すと共に、状況分析の結果、住宅・不動産市場には明るい未来が待っていることと結論付ける。不動産関係者にとって非常に勇気付けられる一冊といえるだろう。

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