不動産トピックス

クローズアップ 機能性網戸編

2012.07.02 16:59

 エアコンや扇風機の無い時代、建物内において涼を求める方法はただ一つ「窓を開ける」であった。エコロジーや省エネ、節電への関心が高まるなか、様々な施策を実施しているオーナーも多い。しかしながら、網戸を装備したビルというのは圧倒的に少数派である。今夏は窓を開け放ち、自然の風を感じながら過ごすのもいいのではないだろうか。

YKK AP 見た目もすきりのロール式収納
 網戸といえばガラス戸の外側に取り付けるものというイメージが強い。引き戸が多い住宅ならともかくビルでは外開きの窓も良く見かけるが、こうした窓へ取り付けられる網戸は確実に必要とされている。また網戸を取り付けることでビルの外観が損なわれるという声が聞かれることもあるが、たしかに網戸とビルのグレード感の両立は難しい場合も少なくない。 YKK AP(東京都千代田区)の「ビューネットR型」は、ガラス戸の内側に取り付ける網戸。サッシの内側に取り付けるため既存の窓を含めほとんどの外開き窓に施工可能で、ネットもすっきりと収納されるため、見た目を損なうこともない。
 ネットの収納方法はロール式で、使用しない時は枠内に巻き取られて収納される。ネットはバネの力で自動的に収納されるが、オイルダンパーの効果によりブレーキがかかりネットのスピードが調節され、ゆっくりと収納される。ネットはグラスファイバー製を採用。シワになりにくく、一般的なポリプロピレン製に比べ強度も強い。
 ネットとフレームが接するレール部分の構造も特徴的だ。同じグループであるYKKの技術を応用したファスナー状のガイドレールシステムで、虫が通り抜ける隙間をつくらない。しっかりと接合されるため風を受けても隙間はできず、強度も強い。メンテナンス性も高く、ネットの収納ケースを開ければネットの外側部分の掃除が可能。また調整ダイヤルをドライバーで回すだけで巻き取りスピードが調節できる。
 同社商品企画部の笹山直規氏は「網戸が無くても換気は出来ますが、窓を開ければ夜は虫が入ってきます。オフィスなどに網戸を付けることで、これを気にせず業務に集中できます」と話す。同社でも昨夏の節電を機に網戸の注文が1割ほどアップし、なかでもこれまで網戸の設置されていなかったビルでは2割以上アップしたという。テナントの利便性・快適性を図るのがビルオーナーの勤めであることはいうまでもないが、オーナーから直接取り付けを依頼する事例が増えているというのもうなずける。今後は既存ビルへの取り付けはもちろん、新築ビルでも網戸を装備したビルが増えていくのではないだろうか。

共栄ネット 光触媒で手入れ楽々
 目の細かい網戸は汚れが附着しやすく掃除もしずらいが、この問題を解決する可能性のある網戸用ネットが販売されている。
 共栄ネット(滋賀県東近江市)が展開する「ピュアネット」は、光触媒機能がついた業界初の防虫網。ネットにコーティングされた酸化チタン光触媒が太陽光に含まれる紫外線を吸収して有機物を分解し、汚れの成分を浮き上がらせて沈着を防ぐ。浮き上がった汚れは雨水によって洗い流されるため、従来に比べ網戸の手入れが大幅に簡単になる。
 光触媒は酸化チタンコーティングによる汚れが附着しにくくする効果のほか、汚れそのものの分解や消臭・脱臭、有害物質除去などの効果が期待できるという。すでに空気清浄機などにも使用されており、充分実績のある技術といっていいだろう。
 「ピュアネット」は全ての同社製網戸に使用できるほか、既存網戸の張り替えにも対応可能。汚れがとれにくくなった場合は日当たりのいい場所に数時間置くだけで自浄機能が復活するという。

LIXIL 玄関ドアにぴったりの網戸システム
 LIXIL(東京都江東区)の「しまえるんですα」は、玄関ドアなどに取り付けられる網戸システム。いわゆるアコーディオン式のネットはすっきりと収納される。ネット部分はユニット化されており、取り外して丸洗いすることが可能。取り付けも簡単で、交換用の網セットを使えば手軽にネットの交換ができる。
 戸先に埋め込まれたマグネットのはたらきによりぴったりと閉じることができ、虫などの侵入防止にも期待がもてる。レール形状の改良により衝撃や強風にも強く、3階以上の中高層階にも導入できる。また床のレールの高さはわずか5mm。つまづきにくく掃除も楽にできるだけでなく、レールの上をキャタピラが通るため開閉もスムーズ。床面に凹凸があっても開閉可能という。
 カラーは5色を用意。間口の幅により、「方開き用(方引き)」「親子用(引分け)」「両開き用(引分け)」の3タイプがラインアップされており、玄関ドアや引き戸、勝手口など家庭内はもちろんビルでも使用可能だ。

セイキ販売 堅牢性と通風性を両立「網」を使用しない網戸
 網戸といえば窓用と考えがちだが、ドアなどに装着できる網戸も少なくない。ホームセンターなどでは簡単に取り付けられる簡易品なども見かけるが、その性能は千差万別といっていいだろう。 セイキ販売(東京都練馬区)の「リリーブ」は網の替わりにアルミ素材を使用し、デザイン性と堅牢性が特徴の通風スクリーンだ。
 通常の網戸の通風部分はその名のとおり「網」が使用されているのはいうまでも無い。「網戸」と呼ばれる所以だが、最近はプラスチックなどの樹脂を編んだものが主流となっている。しかしその強度はそれほど高くなく、またペットなどを飼っていれば爪などで破かれたりする場面も多くでてくるだろう。
 「リリーブ」の通風部分に採用されているのは網ではなく、アルミの板。ここに微細な穴を無数に空けることで、通風性と堅牢性を両立させることに成功した。穴の直径は約1・5mmで、ハエや蚊の侵入もしっかり防ぎながら通風も確保している。一般的な網戸の開口率が約60%なのに対し「リリーブ」の開口率は約50%と大きな差はない。破けたりすることがないため貼り換えも不要で、メンテナンスにかかるコストの低減にも寄与できる。
 折り戸式のため未使用時にはコンパクトに畳むことができ、あらゆるドア開口部に使用可能。アルミ性の通風部分が堅牢なうえ内側からロックできるため一定のセキュリティ性も確保されている。カラーも5色が用意されており、建物に合った雰囲気を演出することも可能だ。同社営業企画推進部の茅野充彦部長は「『リリーブ』という製品名は、和らげる・安心させるという英語から採ったものです。網戸メーカーが作った、安心して節電できる製品です」と話す。脆弱さや不安感といった従来の網戸の概念を覆す製品といって過言ではないだろう。

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