不動産トピックス

クローズアップ 外断熱編

2012.05.21 15:18

 ビルを長期維持していくうえで、足場を組むような定期的な大規模改修は欠かせない。そういった場合に、資産価値を高める工事も同時に進行したいというのが本音ではないか。既存の改修時に適した工法として、外断熱工法がある。外断熱工法のメリットとは。

東邦レオ 省エネと安全性を両立した外断熱工法の発売を予定
 外断熱工法の販売・施工を手がける東邦レオ(大阪市中央区)はRC造の建築物を対象に、1㎡あたり1万円を下回るという低価格と高い断熱性能を可能にした外断熱工法「エコサーム」を展開。同社では新たに、経年劣化による外壁の落下を防止する補修工法のピンネット工法を加え、省エネと安全性を両立した「エクセル外断熱ピンネット工法」を6月に発売を予定している。
 「RC造外壁においてタイルやモルタルを施工した場合、熱膨張・熱収縮による剥離・剥落事故が生じることがあります。平成20年改訂の建築基準法に基づく定期報告制度において点検内容が厳格化され、一定規模以上の事務所などの外壁について竣工、外壁改修から10年経過後、最初の検査時に全面打診を義務付けしています。ただ、3年に1回の定期報告をした際に異常が見受けられなかったビルで落下事故が発生するなど、慎重な維持管理が求められています。同工法は、外断熱工法の特徴である省エネルギーと躯体および既存外装面が受ける熱的な影響が軽減されることで、長期にわたって健全な状態を維持することが可能です」(外断熱事業部 副事業部長 和田 清栄氏)
 なお、同社では、これまで10年来、外壁の外断熱に取り組んでおり、マンション・オフィスビルなどに数多くの導入実績を有している。
 「材料コストと流通コストを大幅に削減したことと、効率化された施工体制を整えているため、従来のピンネット工法と同等価格でのご提供を準備しています。また、当社では平成20年度から行われている『建築物省エネ改修推進事業』の補助申請のお手伝いをしておりますので、併せてご提案したいと考えております」(同氏) 

化研マテリアル 消費電力の約40%近くを削減可能
 建築材料専門商社の化研マテリアル(東京都港区)は豊富な商材を取り扱っており、不燃と同等の防火性能(公的証明)を取得している外断熱を使用した、外断熱工法に力を入れている。外断熱コーディネートとして、マンションの管理組合やビルオーナーなどに省エネルギー改修や、ノーメンテナンス新築の情報を提供している。
 同社が取り扱う外断熱は、米国ドライビットシステムズ社が、世界110カ国以上に採用実績を有する湿式外断熱工法「アウサレーション」を提案。同製品のメリットとして、コンクリートの蓄熱性を効果的に利用することができるため、外断熱導入後は、消費電力を約40%近く削減することが可能となった。また、年間を通じて室内温度が安定するため、ヒートショックによる心筋梗塞や、脳溢血も低減し、快適性の向上に貢献している。そのうえ、高断熱での蓄熱効果により内部結露の発生が解消され、内部結露部分に発生していたカビやダニなどを抑制し、健康的な室内空間を実現しているという。
 なお、同社では、米国ドライビットシステムズ社から輸入して販売を行うサンクビット(東京都千代田区)と、外断熱施工業者であるテクノ建設サービス(東京都豊島区)とともに事業を展開。
 「化研マテリアルでは、外断熱施工後に予想される、温熱シミュレーションによる省エネ効果の見える化をはかり、ライフサイクルコストの具体的数値や工事費借入時の返済シミュレーションを提示して、問い合わせ時に解りやすく対応しております。また、信頼のおける業者を紹介し、責任施工で10年の保証が付いています」(リニューアル開発部 マーケティンググループ 正岡 智子氏)

積水化学工業 首都圏を中心に提案活動を順次展開する
 積水化学工業(大阪市北区)は、高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」を構成材とした鉄筋コンクリート造建築物向けの乾式外断熱工法「LLH外断熱通気層システム」を開発。同システムにより、これまで「フェノバボード」を展開してきた木造戸建住宅、鉄骨造一般建築物、産業用途に加え、鉄筋コンクリート造分野での採用拡大を目指している。
 同システムは、共同開発者であるツヅキ(大阪府東大阪市)が企画開発・販売・施工を行い、同社が開発・販売協力を担当する。主な特徴は、建物の資産価値の向上、省エネ・室内温度の安定、通気層効果による結露の抑制・健康住宅化の促進、外装デザインの自由度の向上となっている。
 医療福祉施設、文教施設、官公庁施設、集合住宅の改修案件を中心に施主、設計者に対し、同システムの採用に向けた提案活動を平成22年から首都圏を中心に順次展開しているという。

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