不動産トピックス

クローズアップ 看板編

2012.05.14 17:26

 広告用の屋上看板や袖看板をはじめ、広義にはテナント案内板も含まれる「看板」は、ビル経営にとって欠かせない存在といえるだろう。今回は、なくてはならない存在であるビル用看板の中で、省エネ・省コストを実現する斬新な製品を紹介する。

大同 世界初の俯瞰型屋外広告媒体
 日本全国で屋外広告の製造・販売を手がける大同(福岡県志免町)は、屋根や屋上に施工する新しい広告媒体として「ピラミッドスズシェード」を今年3月から販売開始した。
 通常、ビルに導入される看板は袖看板や塔屋看板が中心だが、同製品はメッシュ状のテント生地を使用したシェードに文字やロゴを印刷することができ、空から見える広告媒体として活用できるというもの。倉庫・工場やビル、空港の近隣の建物の屋上や屋根に施工することで高い広告効果を発揮する。同社専務取締役の田実氏は同製品の特徴をこう話す。
 「世界初の『俯瞰型屋外広告媒体』として、衛星写真を利用したグーグル・アースでも広告が確認でき、新しいPRの場として活用できます。また、壁面に設置すれば壁面全体が広告媒体になります」
 もう一つの導入メリットとして、広告効果だけでなく、高い省エネ効果を発揮する点にある。メッシュ状のテント生地が紫外線の75%をカットし、熱の原因となる赤外線も大幅にカット。遮光率が60・5%あり、屋根や外壁に降り注ぐ太陽光を大幅に遮るため、屋根温度から熱が伝わりにくくなる。また、シェードと屋根の間に約30cmの空間を作ることで通気性が高まり、より高い断熱効果を発揮。夏場の実験では、屋根温度が10度低下し、冷房の電気料金を約20%削減することに成功した。
 「屋根用の断熱塗料では経年劣化しますが、当製品は伸縮率が17%以上あり、風速34m/sの強風にも耐え、積雪にも強いのが自慢です」(同氏)

ヒット 高輝度・超薄型の内照式看板ユニット
 屋外広告を専門に取り扱う広告代理店のヒット(東京都中央区)は、高輝度・超薄型の内照式看板ユニット「thin bright(シン・ブライト)」を展開している。
 同製品は、光源と乳白樹脂板の間に特殊拡散装置を配置することで、発光面のムラをほぼゼロまで抑えることに成功。さらに、高効率の反射装置も同時に採用し、1灯のLEDで4灯分の照度を実現した。同社代表取締役の松丸敦之氏は、同製品の特徴をこう話す。
 「LEDの普及に伴い、様々なLED内照看板システムが開発されていますが、LEDは点で発光するため、光源ムラと照度不足の問題がありました。従来型の看板照明は乳白樹脂板と背面のリフレクターのみで光源ムラを拡散させており、光源と乳白拡散板を近づけすぎると光源の形が看板であらわになってしまいます。そのため、一定以上の距離を保つ必要があり、それが薄くできない原因でした」
 特にLEDは点光源のため、光源ムラと照度に問題があった。同社ではこれらの弱点を解消すべく、LEDユニットの高効率設計に取り組み、表面照度の飛躍的な高輝度化を実現。蛍光灯式内照看板の平均照度が約2000ルクスに対し、同製品は6500ルクス以上の明るさを確保した。また、表示面1200mm×1800mmの大型内照看板だが、筺体の厚みは32mmしかなく、今まで厚みがネックとなって設置できなかった人通りの多い通路や壁に設置が可能になった。
 「今まで有効活用できなかった場所を新たな広告スペースとして活用してみてはいかがでしょうか」(同氏)

カジック メンテナンス簡単な電動式袖看板
 ユニークなステンレス建築金物・遊具等を多数開発してきた金物加工会社のカジック(愛媛県松山市)は、ビルの袖看板のメンテナンスを簡略化する「リモコン看板」を開発・展開している。
 「当社で複合ビルを所有しており、袖看板の照明が切れてから業者に依頼すると意外に時間がかかり、飲食店テナントの場合は死活問題になります。そこで、ビルオーナーや管理会社で即時対応できる当製品を開発しました」とは、同社代表取締役の梶原氏。
 一般的な袖看板の表示板や照明器具を交換する場合、その都度、高所作業車を手配したり、道路使用許可を取る必要があり、時間とコストが大きな負担となっていた。同製品は、従来型の袖看板の弱点を解消するべく、表示板部分と照明部分がリモコン操作で別々に下まで降りてくるため、メンテナンスを大幅に簡略化できる。
 「電動シャッターのシステムを採用し、押しボタン式で操作も簡単です。従来型の袖看板は鉄製の枠組を用いますが、屋外に設置するため、風雨による経年劣化が著しい。15年に1度は設備全体を交換する必要がありますが、当製品は耐久性のあるオールステンレス製のため、既存看板に比べて格段に長持ちします」(梶原氏)
 初期導入コストは若干高いが、交換費用の削減や耐久性を考慮した場合、後々の維持管理費を大幅に削減。また、看板が汚れていたり、破損しても素早く対応できる。

ニチレイマグネット 水平配列を可能にしたマグネットシート式看板
 テナント・フロア案内板はビルの必需品であり、その材質の大半がアクリルやステンレス製だ。だが、ここで問題になるのが、テナント入れ替え時に案内板を変更するのに手間がかかること。そこで、より簡単かつ低コストで行う方法として誕生したのが「リニーシステム」である。
 開発したのはマグネットシートメーカーの第一人者、ニチレイマグネット(大阪市城東区)。同システムはマグネットシートの特性を生かし、ボード面となる基盤「リニーベース」の上にマグネットシートの「リニーシート」を吸着させる仕組みだ。シートにはインクジェットで簡単に印刷でき、様々な企業名やデザインを施すことが可能。さらに、同システムの最大の特長といえるのが「水平配列」を可能にした点にある。通常、マグネットシートを貼る際、人の手で行うので統一感が取りにくく、見た目に美しくない。しかし、同製品は リニーベース・シート共に水平にN―Sの磁極線を2・5ミリ幅で交互に配列することで対向吸着の作用が働き、水平にシートを配置することが可能になった。
 「シートを貼る際、ガイドや線引きを行わなくても等間隔に貼ることができ、見た目も非常に美しく仕上げることができます」(営業部次長 弥氏 正樹氏)
 また、アクリルやステンレス製の案内板の場合、年月が経過してから変更すると材質の質感が合わないことも多かった。同社ではシリアル番号を明記して製品管理をしているので、同じデザインに仕上げることが可能だ。

PAGE TOPへ