不動産トピックス

クローズアップ 自動ドア編

2012.04.02 11:53

 ビルのグレードアップにもつながる自動ドア。昨今はエントランスのみならず、室内のドアに後付け可能な製品なども登場している。利便性のみならずバリアフリーにも寄与でき、使用シーンは広がりつつある。

SKB コンパクトな引き戸クローザー
 SKB(大阪府東大阪市)が展開する「ルームクローザー」は、引き戸を自動で閉じるクローザー。ラインアップは3機種が用意されている。
 重量35kgまでの扉に対応する「ライト」は、引き戸を戸先と戸尻の両側で跳ね返りを防止でき、枠の手前約5cmほどでブレーキがかかりゆっくりと閉じるソフトクローズ機構を搭載。閉じる際の騒音と衝撃をやわらげ、閉鎖を確実にする。
 「スタンダード」は30kgまでの扉に対応。セルフクローズ機構により開いた引き戸を自動で閉じるとともに、ユニット化された機構は上レールに収まるコンパクトサイズで、業界初となる既存レールへの後付けや交換も可能としている。
 機能充実の「ソシアル」は最大80kgまでの扉に対応。扉を急激に全開させたときの衝撃をやわらげる「バックチェック機能」、扉の動き始めの速度をゆるめ、一定時間ののちに通常速度で閉じる「ディレード機能」などのオプションも用意され、傾斜レールタイプならコストも低廉だ。
 さらに2枚戸にも対応している。左右に開く「両開き」の扉には、片方の扉を開くともう片方の扉も開く「連動両引きタイプ」、片方に開く「片開き」の扉には、2枚の扉が連動して開く「2連引きタイプ」をそれぞれ用意。いずれも生活空間・執務空間の静けさを保つとともに、バリアフリーや安全性にも対応した製品だ。
 同社が地盤とするのはものづくりの街・東大阪。そこで培った300社にもおよぶネットワークは大企業にも匹敵する技術力を誇る。「このネットワークを生かし、『暮らしの安心・安全・快適』に貢献していきます」(専務取締役 伊藤孝志氏)

ナブコシステム 省エネ・安全・軽量の自動ドアシステム
 高層ビルなどの内部を風が吹き抜ける「ドラフト効果」が一般的な設計のビルで発生すると、エントランスから外気が大量に流入するため空調の過剰運転につながってしまう。省エネという観点から好ましくないだけでなく、塵やホコリも進入してしまうためビルの維持管理上からも避けたいところだ。
 ナブコシステム(東京都港区)が販売する自動ドアシステム「Passmooth(パスムース)」は、扉を二重とした風徐室構造。一方が開いている間もう一方は閉じている「インターロック制御」によりドラフト現象を抑制する。通行方向は自動で切り替わるが、一方通行とすることも可能。通行方向が切り替わると扉に内蔵されたLEDの色も替わるため、戸惑うこともなさそうだ。
 扉は従来品比約30%軽量化。センサーは2カ所に設置し車椅子やベビーカーでも安全に通行できる。また扉の合わせ部分にはクッション性の高いゴムを採用するとともにセンサーを縦に配置。センサーが障害物を感知すると扉が閉まらないなど安全対策も徹底している。さらにセキュリティシステムを併用すれば入出管理も可能。省エネルギー性、安全性の強化を実現したまったく新しい自動ドアシステムだ。

アイスリー ゼンマイ機構を利用した「半自動ドア」
 アイスリー(相模原市南区)の引き戸開閉アシスト装置「AIDoor(エイドア)」は、手動と自動を融合させた、いわば半自動ドア。手で15cmほど開けばそこからは自動で開き、閉じるときも15cmほど閉じれば自動で閉じるというもの。また完全に閉じる直前にブレーキがかかり引き戸のスピードが調節されるため、確実かつ静かに閉じることができる。
 仕組みはゼンマイを応用した特許技術。引き戸を動かすことで内蔵されたゼンマイが巻かれて、15cmほどで巻かれたゼンマイが解放されて動き出す。引き戸の動きは軽く、ゼンマイを巻く抵抗力はほとんど感じない。装置はユニット式になっており、新規の導入はもちろん既存の引き戸のほとんどに取り付け可能。電気を使用していないため工事も簡便で、1~2時間で完了するという。
 少しの力で引き戸を全開・全閉できるため車椅子や杖などを使用している人にも適している。そのため当初は病院や福祉施設などのバリアフリー化を想定していたが、昨今では工場などでも採用されているという。また地下鉄の車両間を繋ぐ貫通扉にも採用されており、使用シーンはひろがりつつある。ビル内では障害者用のトイレのほか、オフィス内の出入り口にも使用できそうだ。荷物を持った状態でも開け閉めがしやすくなるため、倉庫にも適している。
 同社代表の石井氏が、プルバック式の自動車玩具から思いついた「エイドア」。同氏は「わずかに動かすだけで開閉できる世界初の装置。シンプルな構造で様々な扉に使用可能です」と話す。手軽にビルの価値を向上させる製品といえる。

エスプ 既存のドアを手軽に自動化
 エスプ(大阪市旭区)が販売する開き戸用オペレーター「DORMA(ドルマ)EDシリーズ」は、あらゆる開き戸を自動化するユニット。
 開き戸に取り付けるだけで自動ドアにすることができる同シリーズだが、その最大の特徴はパワー。強力なモーターの採用により風速15mの強風下でも安全に開くことができ、閉じる際も回生ブレーキのはたらきによりゆっくりと閉じる。ビルのエントランスや通用口、室内扉、工場や倉庫など雨の影響を受けない場所であればあらゆる開き戸に使用することができるが、ビル風などの影響を受けやすい箇所では特に活躍しそうだ。安全性にも配慮し、障害物を感知すると動きを止めるセンサーも内蔵。赤外線センサーと組み合わせれば、車椅子などでも安全に通過できる。
 ラインアップは扉重量100kgまでに対応した「ED100」と、同じく250kgまでの扉に対応した「ED250」の2機種を用意。赤外線センサーやスマートキー、リモコン、タッチスイッチなどに対応しており、シーンに合わせた自動開き戸を構築できる。
 同社代表の鈴木氏は「ドアの自動化は、バリアフリーやセキュリティなどへの古くて新しい解決法です。『あらゆるドアを優しいドアに』が、私たちの願いです」と話している。

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