不動産トピックス

クローズアップ 省エネ支援サービス編

2012.03.19 12:14

 現在、原発再稼働の是非をめぐって激しい議論が交わされており、もし再稼働しなければ今年の夏は厳しい電力不足状況が予測される。いずれにせよ、ビルの節電・省エネ対策は今夏必須の取り組みであると言えるだろう。今週のクローズアップはビルの省エネをサポートする企業を紹介。各企業の提案する省エネサービスを参考にして、いち早く省エネに取り組んで欲しい。

クオリクス 省エネ提案から補助金申請の代行まで手掛ける
 ファシリティソリューションを展開するプランテックグループのグループ会社であるクオリクス(東京都千代田区)は、建物所有者に対する節電・省エネサポートサービスを提案している。
 昨年3月の東日本大震災以降、節電・省エネの必要性が高まっている中で、オフィスビル・商業ビルも高効率照明や空調設備への改修による節電・省エネ対策を実施するケースが増加している。同社も環境・省エネ商材を取り扱っているが、他社と違いについて同社代表取締役の稲本氏は「メーカーの関連会社の省エネ提案は、原則そのメーカーの製品を納入することを前提としています。当社は商社としての立場で幅広く環境・省エネ商材を取り扱っていますので、建物に最適な商材をメーカーに縛られることなくご提案することが可能です」と話す。
 とはいえ、貸ビル経営が厳しい中で改修費用を捻出することは難しい。そこで同社では単なる省エネ改修ではなく、補助金を活用することでオーナーの費用負担を軽減する提案を用意しており、補助金申請にあたっては書類作成代行も行っている。
 「国や自治体が展開する補助金事業は公募の期間も短く、常に情報収集を心がけていないと、気づいたときには申請受付期間が終了していたということがあります。また、申請するにあたっても大量の書類を作成しなくてはならず、非常に手間がかかります。当社では補助金活用のタイミングを逃さないように常に情報収集を行うとともに、オーナーにとって手間となる書類作成も代行しています」(稲本氏)
 また、同社では省エネ・環境配慮型のビルをアピールする映像作成などを含めたブランディング戦略や、省エネ設備への改修後の効率的な運用を可能とするFMシステム「ObjectSCOPE」の導入提案なども行っている。

富士ゼロックス ECO度が分かる環境負荷監視システム
 富士ゼロックス(東京都港区)は、複合機だけでなく照明やコンセント電源などの電力をCO2換算し、見える化する「環境負荷監視システム」を開発。昨年から提供を開始している。
 同社が提供する「環境負荷システム」は、従業員の個人別CO2排出量を見える化し、複合機の操作パネルに個人別のECO度を表示する。具体的にはICカードを利用して複合機認証した際に、複合機の操作パネルに「ECO診断」を表示。個々人の部門内ECOランキングやCO2排出量・利用枚数の推移等、環境関連情報が表示できる。これにより、一人ひとりが複合機を利用する際、自分のプリント出力状況を都度認識でき、複合機が環境意識の啓発に貢献する。
 さらに管理者向けの機能として、複合機やプリンターの利用による電力量と出力枚数からCO2排出量を算出するだけでなく、照明やパソコンなどの電力情報をシステムに入力することで、CO2排出量もあわせて算出できる。

サンワテクノス PLC導入による省エネ提案
 サンワテクノス(東京都中央区)は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)導入による工場・オフィスの省エネ提案を展開している。
 PLCは主に産業用で使用されているコントローラである。PLCを設置することでいかにして省エネを実現するのか。
 「PLCは汎用性も高く産業界で使用され信頼性も高いコントローラにより収集されたエネルギーデータを当社が開発したエネルギーの見える化を可能とするモニタリングシステムを使い、まず現状を把握します。そして、ビルの使用エネルギーの無駄を解消するための設備更新、運用改善を提案します」(産業電子部長 小柳 秀三氏)
 同社が導入提案しているPLCはオムロン社製のものであるが、インテリジェントビルなどに使用されている「BACnetユニット」については同社の関連会社が開発した機器。同社の「BACnetユニット」はオムロン社製のPLCにも対応していることから、大規模なオフィスビルやインテリジェントビルに導入することも可能となる。
 また、見える化により明らかとなった問題点の解消という点においては、LED照明、高効率空調の導入による省エネ対策や太陽光発電パネルの設置による創エネなどもご提案しています」(小柳氏)

NOGAMI 集積回路を設置するだけで節電効果発揮
 NOGAMI(東京都千代田区)は、韓国発の建物向け節電・省エネサービスである「CES」の東日本地区販売代理店として、建物所有者に対して導入提案を行っている。
 同社の節電・省エネサービスが従来のサービスと異なるのはビルの入居者に対して一切負担をかけない点である。
 「その仕組みは簡単で、設備を導入することにより非効率な電力を効率化することで、電力使用量を削減するということです」(代表取締役 野上 順一郎氏)
 野上氏によると不規則な電流の流れによって生まれたロスを電子の振動を軽減することで規則的に変化させることが可能となり、結果的に7~15%の電力削減が可能になるという。その鍵を握るのが「バランスウェーブ(遠赤外線系エネルギー)」。この「バランスウェーブ」を生み出すためには高純度で特別な課程を経過した成分(二酸化ケイ素、銅)を混合・精製し、それにより生まれたシリコン二酸化物を取り込んだ集積回路が必要となる。この集積回路が「CES」であり、これを分電盤に設置することで節電・省エネを可能にするという。
 安全性という点については、電圧変動はなく並列設置方式であることから設備に干渉することがない。また、設置にかかる費用については(通常リース組むが)月々返済金額より設置による節電メリットの方が大きくなる為実質的な初期投資もないことになるとのこと。
 「設置前には1カ月にわたって無償で節電効果を検証しますので、効果があるということを納得していただいて上で契約していただいています」(野上氏)

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