不動産トピックス

クローズアップ 節水対策編

2011.11.21 14:50

 テナントビルにおける節水対策といってもバラエティに富んでいるイメージはないかも知れないが、ビルを差別化するにあたって使われる水量を削減したり、トイレの洗浄水の削減方法もさまざまだったりと、ユニークな製品が揃っている。

エコ・デベロプメント 用途により洗浄水量を調節し節水を実現
 エコ・デベロプメント(東京都中央区)では、既存の設備を生かしながら省エネとCO2排出量削減を実現するというコンセプトの便器自動洗浄装置「アクアロボ」シリーズの製造、販売やリース、施工を行っている。
 同製品は、利用者が便座に座っている時間の長さによって、トイレの洗浄の用途を判別し、洗浄水の量の調節を行う装置である。また、トイレ利用時に擬似流水音を流すことによって、利用者の二度流しといった水の無駄遣いを抑制する。ある商業施設においては同製品を導入することにより、トイレでの使用水量の約50%を削減できたという実績もある。
 同社の代表取締役社長の是永龍之氏は「現在は商業施設などで多く導入されていますが、今後はより広い用途の建物で採用可能な製品にするため、コスト面などでの改良を進めています」と話しており、年内には、センサーと本体が分離しているタイプのものを一体にした製品をリリースする予定であるという。
 また、12月初旬にはトイレのタンクに取り付けるだけで工事が不要である「自動壁掛けせっすいくん業務用」の発売を開始する。こちらも洗浄用途の判別や流水音を流すセンサー、トイレの大小別と合計の使用回数を計るカウンターといった機能を持ち、一般的な従来品との比較では約50%の節水が可能でありながら、およそ30~50%割安な価格を実現している。

TOTO ツイントルネードで効率よく強力に洗浄
 衛生陶器メーカーのTOTO(北九州市小倉北区)では、4・8l洗浄超節水便器「パブリック向け ウォシュレット一体形便器(「音姫」内蔵)」を販売している。主に飲食店や事務所などといった、トイレの利用頻度が高く使用する水量が多い小規模店舗や施設での改修に最適としている。
 同製品は、水平方向と垂直方向からのトルネード洗浄が融合し、強力な旋回流を発生させて効率よく洗浄する「ツイントルネード洗浄」の技術を用い、1回につき4・8lという超節水の洗浄を実現している。加えて二度流し防止のために内蔵する擬音装置「音姫」の流水音の流れる長さや聞き心地などの改良を行った。従来製品と比較すると、1台あたり年間約4万円の水道代の節約となり、CO2排出量も年間で約46kg削減できる。
 また、不特定多数の利用者を想定しているため、操作ボタンを減らし、シンプルなウォシュレットのリモコンにした。リモコンは「流す」のボタンがひと目でわかるように、便器洗浄ボタンを独立させている。
同製品と同時に4・8l洗浄便器シリーズとして、「パブリックリモデル便器・タンク式」も販売しており、パブリック用途としていたずらなどの防止のため、タンクのふたをネジで固定している。

クレアテラ 屋上の差別化にかかる水量を節減
 緑化や水質浄化、土壌改良に関する製品の開発・製造などを展開するクレアテラ(東京都世田谷区)では、屋上での緑化や節電のために使用する水量を画期的に削減する製品を販売している。
 「e-Water」は建物の屋上緑化庭園の潅水を行う際に土壌の保水力と気象データ、潅水した水量を算出して潅水制御盤へ潅水の指示を出すという遠隔操作節水システムである。屋上緑化の土壌は薄く保水力が乏しく、雨が降らないとすぐに乾燥してしまうことや従来方式では管理が煩雑なうえ、土壌が湿っていても定期的に潅水してしまうという問題点があったが、これにより潅水を土壌が乾いたときのみに行うことができ、従来のシステムと比べて上下水道代を80%以上削減することができる。
 また、今年6月からは屋上直下階の冷却を行う節水型の打ち水装置「スマート打ち水」を販売している。同製品は屋上にまいた水が気温上昇とともに蒸発した際に熱を上空に持ち去る仕組みで、センサーを用いて屋上面が乾いたときにのみ散水を行うので適切な水量での省エネを可能にする。
 同社の代表取締役である柳田友隆氏は、事業内容について次のように話している。
 「両製品とも、ビルの差別化に有効な屋上緑化や省エネにともない増大する上下水道料金を大きく減らすことが可能です。少ない費用や日数で導入することができるので、気軽に検討していただけるものと考えております」

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