不動産トピックス

クローズアップ 清掃機編

2011.11.14 15:28

 ビルの価値向上は日頃の清掃が重要だが、清掃作業員を増員しても思ったほどの効果が得られないとお悩みのビルオーナーは多いのではないだろうか。そこで、今回は少人数・短時間での清掃作業を実現し、省コストを図れるハイテク清掃機を紹介しよう。

蔵王産業 カーペット上を走行しても傷めない
 環境クリーニング機器の専門商社であり、特にタイルカーペット清掃の清掃技術の普及を推進している蔵王産業(東京都江東区)は屋内用小型搭乗式スイーパー「シルバー710RB」を販売している。
 タイルカーペットとは、セラミックタイルや石材などの硬質の床と比較して、防音性、保温性が高く、床に敷き詰めるだけで簡単に施工でき、部分的に張替えが可能なため、OAフロアの導入が進んだ頃から普及された床仕上げ材である。
 このタイルカーペットを清掃するためには、従来、手動式のアップライト式清掃機を使用していたが、1時間に200㎡程度しか清掃できず、非効率であった。その弱点を克服するべく、歩行自走式清掃機を考案。さらに改良を加え、操縦者が長時間歩行しなくても済む搭乗式の開発に成功した。同社の取締役開発部長を務める根谷氏に、同製品の魅力を聞いた。
 「新採用の密植天然ブラシを採用した抜群の清掃能力を誇るだけでなく、軽量化と車輪面積を広くし、カーペット上を走行してもパイルを傷めません。また、建物の90%以上は『軽汚染エリア』と呼ばれ、あまり汚れません。そのため、この広大な軽汚染エリアを当製品で効率的に清掃し、入り口や搬入口などの、重汚染エリアを人の手で重点的に清掃することができます」
 これまでの清掃方法は、ビル全体で清掃員を何人動員したかが重視され、効率的でなかった。機械と清掃員による効率的な清掃計画によって、経年劣化を防ぎながらも省コスト化を実現することが望ましい。

ケルヒャージャパン セグウェイ感で操る立ち乗り式
 「仕事を楽しむ」ことは、あらゆる業種に通じるモチベーションの源泉だ。
 清掃機器の国内最大手メーカーであるケルヒャージャパン(宮城県大和町)が展開する業務用立ち乗り式床洗浄機「BR 55/40 RS Bp」は、まさに楽しみながら清掃できる、画期的な製品として注目を集めている。その乗り心地はスピードこそ控えめだが、操作の簡便さ、小回りの良さなど、あの小泉元総理が乗ったことで有名な電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」を想像してもらうといいだろう。
 同社の業務用プロダクトマネージャーを務める川名氏は、同製品の特徴をこう話す。
 「従来型の業務用床洗浄機は、手押し型と搭乗型が主流でしたが、手押し型は操縦者が疲れやすいことが問題です。また、搭乗型は大型のものが多く、小回りが利かないのが難点。さらに、両者とも操縦者の視線が低くなり、視認性に若干の不安がありました」
 そうした欠点を解消したのが同製品である。立ち乗りのため、視線が高く保て、障害物などの危険を素早く察知。さらに、本体の幅が70cmほどで、入り組んだ複雑な場所であっても効率的に清掃が行える他、エレベーターでの移動が可能だ。
 「さらに、高い清掃効率性も魅力です。床洗浄機は水を出しながらブラッシングし、スクイジーという部分で排水を回収しますが、スクイジーが可動式になっており、排水の取り残しを極限まで抑えました」(同氏)
 同製品は、倉庫や工場などの凹凸がある床面の洗浄に適したローラーブラシを採用しているが、ディスクブラシ型も用意。中小規模ビルの共用部分にも対応するサイズで、清掃従事者のモチベーション向上にも繋がる。

ニルフィスクアドバンス 後進時にも汚水回収でき効率的な床洗浄を実現
 デンマークに本社を置き、世界70カ国以上に代理店を持つ業務用清掃機器の総合供給メーカーの日本法人であるニルフィスクアドバンス(横浜市港北区)は、後進時にブラシデッキが回転する、新発想の業務用小型スクラバー「SC350」を今年10月から発売している。
 従来型のスクラバーは、前進する時だけ汚水を回収することができ、方向転換しにくい狭い場所などでは、非常に取り扱いが難しかった。特に、机や椅子が配置されたオフィス等では、家具を移動させる必要があり、清掃時間の長大化の原因になっていた。
 同製品はそうした背景からスクイジーと一体化したブラシデッキを180度回転させ、後進する際にも汚水回収ができる独自システムを搭載しているのが特長だ。
 「この技術は他社製品にはない画期的なものです」とは、同社アシスタントプロダクトマネージャーの佐藤氏の言葉である。
 「作業員がハンドルを押し下げるとブラシデッキが自動的に回転し、従来のスクラバーでは洗浄しにくかった部分も簡単に作業でき、清掃時間を大幅に短縮できるため、省コスト化に繋がります。また、ブラシやスクイジー、回収タンクや清水タンクの取り外しや交換は工具がなくても簡単に行え、煩雑なメンテナンス作業に時間を割かれる心配もありません」(佐藤氏)

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