不動産トピックス

クローズアップ 耐火・防火対策編

2011.06.27 14:32

 地震の際に恐れるのは、振動だけではない。阪神・淡路大震災では火災による犠牲者が500人以上にのぼった。節電をせまられるなかで建物の付加価値を考えるうえで、目に見えない「安全性を高める」ということに着眼し、火災から建物を守るための製品を紹介する。

文化シヤッター シンプルなシステムで作動
 文化シヤッター(東京都文京区)では、防火シャッター用の障害物感知システム「機械式危害防止装置『エコセーフ』」を、6月1日から発売開始した。電源・バッテリーが不要で省電力を実現するというのが大きな特徴だ。
   これまでの防火シャッターでは煙感知器や熱感知器の信号を受け自動で降りる際に、シャッターの下端部が人を感知すると一時停止するシステムには電力が必要だったが、同商品では電力を使わずに作動するシンプルなシステムを開発した。
 そのため、従来品が電力を供給するために用いていた連動中継器や非常用バッテリーが不要となった。それに伴い省略できるようになったものは、バッテリーに必要な待機電力や交換などのメンテナンス、電力を供給するための配管・配線の工事などと数多い。従来品と比べ、1台あたり年間約18kgのCO2削減が可能だ。
 同社広報室の神山洋子氏は、次のように語ってくれた。
 「エコセーフを装備した防火シャッターは、バッテリーの経年劣化がないので、今まで以上に高い安全性を提供できるようになりました。バッテリー交換が不要でメンテナンス性が向上しましたので、定期的な点検を実施していただき、よりシャッターを長く使っていただけたらと考えています」

東邦レオ 「健康・環境・安全」の耐火材200度以上で膨張鉄骨守る
 東邦レオ(大阪市中央区)では、鉄骨耐火被覆シート「フィブロック」を販売、施工している。
 「従来主流であった湿式吹き付け材『モノコート』や、仕上がりを重視した外装向けの塗料『ナリファイア』をご存知の方が多いですが、現在もっとも問い合わせが多い耐火材は『フィブロック』です」と、同社耐火事業部の増田彰久氏は話す。
 同製品は、アルミをコーティングしたゴムでできている。1~2・5mmという世界トップレベルの薄さを実現し、通常時は建物内の空間を最大限に活用できるような施工が可能である。
 火災発生などの際に200度以上の熱を感知するとシートが10倍に膨張し、鉄骨を熱や火から守る仕組みになっている。
 また、薄くて柔軟性のあるシート材であるため、巻くだけで簡単に施工できること、地震による振動・たわみに追従し、鉄骨が変形した場合にも、剥離・脱落の心配がないことも大きなメリットだ。
 「施工する部分の用途により製品を使い分けておりますが、わが社の耐火事業全体のテーマは『クリーンな環境を創造』と『健康・環境・安全』です。持ち主の方が施工することによって、建物に耐久性と安全性がさらに高まるような技術やサービスを、これからも提供しつづけていきたいと考えております」(増田氏)

鹿沼木工 不燃と柔軟性兼ね備え
 「簡壁(かんぺき)シート360」は、鹿沼木工(栃木県鹿沼市)が販売している天然木極薄つき板不燃シート。製造はビッグウィル(徳島県東みよし町)。
 天然木を使ったシートながら、法定不燃下地の上に貼ることで、不燃または準不燃として国土交通省防火性能適合品であることが大きな特長である。また、ホルムアルデヒド発散建築材料としては、発散しにくいとされるF☆☆☆☆環境規制適合品である。
 製品名の由来は、360度折り曲げが可能で、折り鶴を折ることができるほどの柔軟性を持ち、まるでクロスのように簡単な施工が可能であることから付けられた。表面塗膜層・天然木突板・特殊裏紙多層紙という3層構造にして、厚さは公称0・23mmの世界最薄水準である。取り扱い樹種も10種類以上と豊富だ。
 同社生産管理課の樽見清隆課長は、商品について次のように語る。
 「先日、東京で開催された住宅リフォームのフェアに出展し、来場者からの反応も上々でした。エレベーター内装や鉄扉、共用ホール部分などの内装仕上げ材として、ビルのオーナーの方からの注文や問い合わせがとても多いです。不燃と施工しやすさを両立しており好評です」

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