不動産トピックス

クローズアップ 防水工法編

2011.02.14 10:10

 冬型の乾燥した日が続き、所有しているビルの防水にはついつい目が届かなくなっているオーナーも多いのではないか。もともと雨や風を防ぎ、暖気を確保するのがビルはじめ建築物の重要な役割である。また、防水を怠るとそれだけビルの寿命も短くなる。今回は防水材や防水工法にスポットを当てた。

ケルビン 防水材の開発から工事まで一貫 社名の由来にもなったモルタル技術が強み
 防水事業、耐震事業、改修事業の3分野を柱とするケルビン(東京都千代田区)である。
 常務の井出氏は「とくに力を入れているのが防水事業です」と語る。
 セメント・モルタルに混和して防水性を高める防水材の製造・施工技術を開発したのがはじまりで、この防水材に名づけた「ケルビン」が社名にもなった。
 防水事業では、新築建造物の屋上・内外壁・床・地下外壁・地下水槽などに、水の浸入・浸水を防ぐ工事を行っている。ビルの防水工事というと屋上や外壁を思い浮かべるが、地下水槽も重要だ。建物は地下に各種の水槽を有しているのが通常で、保守管理の方法によりその寿命が変化する。計画的に対応することで、劣化を最小限に抑え建物自体も長持ちする。
 地下水槽防水には、床と壁面を施工する5面防水と、これらに加えて天井まで施工する6面防水とがあるが、雨水槽や消火水槽・防火水槽には5面防水を、汚水槽や厨房排水槽には6面防水を施工する。  「竣工してから15年から20年が経過している建物は、一度地下水槽内を点検する必要があります」(同氏)

田島ルーフィング 汎用性の高いウレタン 環境対応型へ
 建築の防水は、工法によってアスファルト防水、シート防水、塗膜防水の3種類に分類されるが、塗膜防水工法でよく使われるのがウレタンである。
 ウレタンを用いた塗膜防水工法は、主剤と硬化剤を攪拌し、躯体に塗布して行う。不定形材料のため下地の形状に馴染みやすく、水密性の高い連続皮膜が得られるため、屋上をはじめ各種部位の防水に適する。
 田島ルーフィング(東京都足立区)の「オルタック防水」は、トルエン・キシレンや環境ホルモンなどの規制対象物質を含まない脱TX環境対応型ウレタン塗膜防水材料。日本ウレタン建材工業会の「環境対応型ウレタン防水システム」の認証を受けている。
 同社の行うウレタン塗膜防水工法には、大面積での施工や屋上改修に適した「通気緩衝シート複合工法」、複雑な箇所や立上り部の施工に適した「繊維補強密着工法」、下地への接着強度が最も高いため端部の機械固定が不要な「一般密着工法」の3つが用意されている。

タケイ工業 戦前から続くコンクリート防水の老舗企業 独自の「タケイ液」で改修工事を不要に
コンクリート防水を専門とするタケイ工業(東京都荒川区)。 創業者の武居左源次は、早くからコンクリート防水剤の研究にとりくみ、他にさきがけて実用化に成功した。大正から昭和前期にかけ、丸ビル、日劇、三越、国会議事堂、官公庁、軍関係の建物などで同社の技術が使われた。また戦時中にはコンクリート船の建造まで手掛けたという。
 同社オリジナルの「タケイ液」を用いることで、屋根・屋上・地下・屋上駐車場・プールなど、躯体をコンクリートだけで防水できる。具体的には、現場で職人が「タケイ液」を生コンクリートに混入し、水密性の強いコンクリートをつくるという仕組み。コンクリートの極端な劣化がなく、10年から20年後経過しても防水槽の改修工事不要を謳う。
 また水が出ている場所や、敷地が狭くて外側から防水できない場所でも対応する。そのほか、防錆効果や塩害防止効果にすぐれ、コンクリートの乾燥収縮によるひび割れの低減効果もある。

横浜ゴム 厳冬期でも硬化しやすい防水材 混合不要タイプもラインアップ
 40年以上前に日本初のウレタン防水材を開発したのが横浜ゴム(東京都港区)である。
 ウレタン防水材は、屋上やベランダに厚さ2~3ミリのウレタン膜を塗布し、建造物の防水性を確保する製品。アスファルトやゴムシートなどを用いた防水材に比べ、構造物の軽量化が図れる上、複雑な形状に施工が可能で、ベランダ防水などに最適などの特徴を備えているのが特徴。
 同社の主力商品が「ハマタイト/アーバンルーフ」で、2成分形反応硬化型「U-8000」、2成分形速硬化タイプの「Uー8000HC」、1成分形湿気硬化型「ユーロポール」など、用途に応じた各種製品をラインアップしている。
 「Uー8000HC」は速硬化タイプのため、厳冬期でも確実に硬化でき、翌日の次工程が可能で納期が短縮できる。「ユーロポール」は1成分形。混合・攪拌の必要がないため、作業場の汚れがなく、混合ミスによる未硬化トラブルも防止できるほか、巻き込み泡の発生がないというメリットがある。また特殊な硬化機構により、1成分形湿気硬化型の最大の欠点であった硬化時の発泡がない。

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