不動産トピックス

クローズアップ 屋上緑化編

2010.05.31 10:38

ビルの屋上スペースをいかに有効活用するかを考えるとき、その選択肢に「屋上緑化」を思い浮かべるビルオーナーは少なくないはずだ。しかし、メンテナンスの問題や荷重の問題、イニシャルコストの問題等、あらゆる心配が足枷となり、興味はあるが、導入には踏み切れないというオーナーも少なくないだろう。しかし、実は一昔前に比べ現在は、緑化資材自体の製品力や技術力、制度等が格段に進歩しているので、その点を今一度ご確認いただきたい。

屋上開発研究会 第7回スカイフロントコーディネーター屋上緑化資格試験募集開始
 NPO法人屋上開発研究会(東京都新宿区)6月1日より、「第7回スカイフロントコーディネーター屋上緑化資格試験」受験者の募集を開始する。
 スカイフロントコーディネーター認定制度とは、屋上緑化の設計・施工に関する専門知識を認定する制度である。都市部を中心に屋上緑化が普及し、施工案件が増えるに当たっては、建築設計時の耐荷重値の確認や防水処理など、技術や知識をもつ人材がより必要となっている。
 また、建物の屋上等に緑地が増えはじめた導入期を過ぎ、今度は維持や管理を適切に行う必要が生じてきたため、メンテナンスを行うための様々な専門知識や人材も必要だ。
 そこで同協会では屋上緑化を適切に設計・施工できる人材の育成を目指し、資格制度を引き続き実施している。
 「これまで全国各地において1025人が合格し同資格を取得しています。最近は、学生からの応募者も増えており、緑化ビジネスへの期待の高まりと、緑地を健全・安心に管理できる土壌が社会的に整いつつある状況を実感しております。数字が示すとおりですが、ひと昔前に比べ、緑地を安心・安全に維持・管理できるノウハウや人材が大分育ってきました。以前緑化を検討したものの導入しなかったビルオーナー、ビル管理者の皆様におかれましては、以前と今とでは、随分と環境が変わっているということをぜひご認識頂ければ幸いです」(鈴木氏)
 試験日は11月3日。全国4大都市での実施を予定し、申し込み締め切り日は9月30日。試験に先駆け、8月28日から講習会を各地で実施する予定である。

共同カイテック 国土交通省や外務省などで1000件以上の実績
 共同カイテック(東京都渋谷区)は、人口地盤用緑化システム「スクエアターフシリーズ(スクエアターフLightやスクエアターフRain77等)を販売している。
 天然芝に必要な育成水の大半を雨水でまかなう雨水有効利用型の屋上緑化システムで、植栽は吸熱性に優れる芝生を標準とし、さらに軽量・薄型で移設ができるなど屋上緑化に必要な性能を全て備えている。また、センサ式の自動かん水システムを標準装備しているので、異常気象下で雨が少ない状況においても、水やりの心配は無い。芝のシステム重量は、常識を破った超軽量の㎡辺り48kg(湿潤時)のため、既設建物の屋上でも問題なく、ユニット式で迅速に施工可能。
 「社団法人公共建築協会品質性能評価品で、芝枯れ3年保証も付き、確かな製品機能が信頼と実績に結びつき、国土交通省や外務省などでの1000件以上の豊富な実績があります」(内田氏)

ハセベ 短期間で施工可能な屋上緑化資材
 ハセベ(東京都新宿区)は、冬季の保温や夏季の断熱など省エネルギー化により、人工排熱を抑制し、ヒートアイランド現象の緩和に効果がある屋上緑化資材の「グリーンパレット」を今年の春先から発売している。
 同製品は、透水性コンクリートと軽石の混合物をトレイに入れ、基盤として固め、芝を敷いた緑化用資材である。主に芝は日本芝(夏芝)、西洋芝(夏芝・冬芝)の3種類が用意されており、ユーザーの要望ならびに気候によって芝を選ぶことが可能。緑化したい場所に合わせて並べるだけで簡単に設置・取り外しができるようになっている。
 代表取締役専務の長谷部忠彦氏によれば、「同製品は不織布をかけ、敷き詰めていくだけなので、現場での施工期間は短いです。50㎡の広さであれば半日くらい。自動灌水を設置すれば、半日+2~3時間程で終了します。芝生の上は歩行が可能となっているため屋上に取り付ければ、休憩時間に憩いの場所として活用することができます」と語る。
 同商品のサイズは幅300mm×長さ600mm×高さ70mm。重量は通常用40kg、工場用26~28kg。同社の専門は建築・設計業であるため耐震強度などを考慮した重量の数値設置となっている。参考価格として、西洋芝の夏芝タイプで1㎡当たり1万8900円。使用する芝生の種類によって価格帯は変動する。メンテナンスの面において、西洋芝の夏芝タイプは伸びにくい性質のため、年に2~3回の手入れで対応が可能になっている。

山崎産業 人が立ち入れる緑化空間を創出
 山崎産業(大阪市浪速区)が、開発・販売する超軽量緑化システム「エコグリーンマットシステム」は湿潤時の重量1㎡あたり60kg以下を実現し、建築基準法による既存建造物を緑化する際の耐荷重制限をクリア。ビルや建造物の屋上、マンションや一般住宅のベランダ、カーポートの屋根面など様々な施設の屋上を緑化できる。また、芝生の育成が用意であり、人の立ち入りのできる緑化空間を創出できる。デザイン性の高い空間を作れることも特徴で、マットを自由に切り取れるほか、重ねて山型にするなどの施工もでき、立体的な精度の高い空間デザインを実現できる。
 「建物の改修による撤去、芝生(植栽)のレイアウト変更を簡単に行えるというメリットがあります。イベントや仮設建物でも簡単に施工でき、軽くて持ち運びやすくエレベーターを使って搬入・撤収が容易。しかも経済的です」(玉川氏)

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