不動産トピックス

クローズアップ ビル用ガラス編

2009.05.11 10:16

 カーテンウォール、パーティションなど、今やビルの内外で意匠性や業務の透明性向上に役立っているガラス製品。最近では防音・耐衝撃性に特化した製品が続々登場し、活用の自由度が増している。今回はビル用ガラス製品にクローズアップする。

文化シヤッター ガラスパネルが開閉するパーティション 二重の安全設計で事故を未然に防ぐ
 文化シヤッター(東京都文京区)は、独自の開閉収納方式を採用した前面ガラスシャッター「フルグラス」を販売している。
 製品の開発経緯について榎田氏は「近年、外壁としてだけではなく執務空間においても、透視性・意匠性に優れたガラスアーティションが多く採用されています。そこで当社ではこれまでのノウハウを生かし、ガラスパネルが開閉しより自由度の高い『フルグラス』の開発を行いました」と話す。
 同製品は厚さ10mmの強化ガラスを複層にした二重構造となっており、パネルの両端のみで保持する設計のため外枠がなく、視認性が高いし仕様となっている。この2枚のガラスの間は無色透明のウレタンフィルムで接着させ、さらにパネル間の隙間をシリコンチューブで埋め、気密性・遮音性の向上ならびにゴミやホコリの侵入を防いでいる。
 ガラスパネルの開閉は上吊り送り込みのバーチカル・スライド方式を採用しており、ガラスパネルがガイドレールに沿って可動する。
 なお、衝突などの外的衝撃に対しては障害物感知装置が、指などの巻き込みに対してはエリアセンサーを標準装備しており、二重の安全設計となっている。万一、ガラスが破損した場合は、二重構造のため1枚分だけを取り替えることもできる。
 榎田氏は「この開閉方式により、ショールームなどでの展示物の搬入出が容易になり、オリジナリティのある室内空間を創り出すことが可能です」と語る。

YKKAP 開放感を演出するガラスファサード 意匠・機能を両立し既存ビルにも対応
 YKKAP(東京都千代田区)の「SYSTEMA9201c」は、フレームの要素を可能な限り小さく抑えたガラスファサードである。
 近年の建築では、より透明性を意識したガラスファサードが多く見受けられるが、太陽熱の影響を受けやすく、断熱・遮熱性のガラスを用いて、いかに熱付加を軽減するかが求められている同製品はガラスの透明性をより高めながらも意匠にこだわり、繊細なフレームやフルハイトのビジョンが建築物の開放感・透明感を演出する。
 同社がこれまで販売してきた、10階以下の中層建築物向けカーテンウォール「YC-300」では、まず方立を立てて、その後横方向に窓をはめ込んでいくノックダウン工法を採用していた。しかし今回は、方立の前面に工場で枠組みされたFIX窓および可動窓ユニットを取り付けるセミユニット工法を採用している。これにより、陰影を持った深い目地が刻まれ、1つ1つのユニットにグリッドを強調した外観となり、ファサードの表情を引き締めている。
 製品は方立・無目の見付寸法を60mmまで抑え、スリムな意匠を実現している。また、可動窓との組み合せでも、バランスの取れたファサードとなっている。
 製品はセーフティストッパーにより、開口幅が約100mmに制限され、安全性に配慮がされている。また、断熱・結露抑制効果の高い空気層12mmの複層ガラスで、省エネ効果を高め、快適な室内環境が可能となる。堀江氏は「今回の製品は『軽快と明快』をコンセプトとしています。軽快とは意匠性、明快とは機能性のことを指します。新築の物件と、既存の物件両方に対応します」と語る。

コマツパーティション 10mm厚ガラスで遮音・強度向上 シンプルで統一感のあるデザイン
 トイレブース・シャッター・間仕切りなどの製造・販売を行っているコマツパーティション(東京都杉並区)では、ガラスパーティション「SHUKOH」と「エスソシア」の販売を行っている。同社の製品はオフィスだけではなく工場にも多数の納入実績があり、生産ラインの可視化にも効果的である。
 「SHUKOH」は厚さ10mmのガラスを使用し十分な遮音性を確保し、フレームを目立たせない設計となっている。また、同製品はガラス製の引き戸を標準で装備し、他にも木目柄のドアなどにも合わせることができる。
 「SHUKOH」のスタンドタイプは高さ約1m、天井への固定が不要な自立タイプである。製品はコーナー部に配置されるスライドガラスと木目柄のプラスチックパネルで構成され、パネルはテーブルの取り付けが可能である「エスソシア」はフレームとガラスの組み合わせによってデザイン性を向上させた間仕切りである。
 同製品に使用されるフレームはアルミブロンズ製でカラーはブラック。このフレームを格子状に配備し通常のガラス、またはスライドガラスをはめ込んでいく。使用されるガラスは高さ30mm×幅100mmが標準サイズとなっているため、大型のガラスを使用する「SHUKOH」に比べ低コストで施工できることが特徴である。
 また、アルミブロンズのブラックフレームを採用したガラスドアを組み合わせることで、シンプルで統一感のあるレイアウト変更が可能である。

三菱樹脂 フレームレスで開放的なガラスパーティション シーリング加工により上質な空間を創る
 三菱樹脂(東京都中央区)では、使用する場所に応じたさまざまな素材のパーティション「ダイアパーティション」シリーズを展開している。
 ミーティングルームやサーバールーム、重役室など、オフィス内では用途に応じて適したパーティションの設置が必要となる。同社設備機器部の菊池直人氏は「『ダイアパーティション』は、それぞれの場面に対応するラインアップを取り揃えています」と話す。
 ミーティングルームに適した「ダイアパーティション60」はホワイトボードと間仕切りを一体化したもので、ホワイトボードの表面材には同社が独自開発した、特殊な樹脂フィルム積層鋼板を採用。これにより、市販のマーカーペンを使用しても書き消しが可能となっている。
 また、「ダイアパーティション50」は遮音・耐火・耐衝撃性に特化した可動式のパーティションである。同製品は工場で規格生産されたパネルを現場で切断するレディ明度方式を採用しているので、ジョイント部のパーツを極力少なくするなど、新設・解体移設の作業時間短縮に効果を発揮する。
 そして「ダイアパーティションクリスタル」は、最大幅4500mmまでフレームを必要としない開放感のあるガラスパーティションである。ガラス同士の接続はシーリング加工が可能で、透明性の向上を図っている。菊池市は「フレームレスの為連続的なガラスの質感を実現し、かつスマートな納まりを演出します」と話す。

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