不動産トピックス

クローズアップ アスベスト編

2008.10.20 16:29

アスベストの粉塵を肺に吸入することによって石綿肺や中皮腫びまん性胸膜肥厚などの重大な健康被害を起こす可能性がある。工事の際には細心の注意が必要となるが、各社のアスベスト対策も進んでおり、作業員がアスベストの粉塵を吸入しないような工夫が凝らしてある。今回のクローズアップではそうした各社の新製品を紹介しよう。

ミドリ安全 アスベスト飛散防止の封じ込め剤など多数扱う 水性無機剤で不燃や無臭実現 塗布回数1回と回数削減する
 ミドリ安全(東京都品川区)は、各種アスベスト飛散防止の封じ込め剤、除去剤を取り扱っている。同社が扱っているトップランニングJAPAN(東京都中央区)の封じ込め剤である「AB-100」と除去剤である「AB-200」は、国土交通省「建築基準法第37条」認可を取得。
 同シリーズはアスベストを結合させ、不水溶性にする事により、化学反応をもって飛散を防ぐことができる製品である。同シリーズの特長は、水性無機剤で不燃や無臭を実現した。これにより工事期間中でも入居しているテナントに臭いなどの被害を食い止めることができる。また、塗布回数1回とこれまでに比べ、回数削減を可能としており、工事期間の短縮が可能。さらに、アスベスト浸透スピードの優位性アップや安全性の向上なども実現している。
 「同製品は大型のビルや電車の駅などで使用されています。またホルムアルデヒドなどを含んでおらず作業員の安全にも配慮されています」と同社営業部の大森氏は語る。
 また、同社はその他、エスケー化研(大阪府茨木市)の浸透湿潤剤「アスベスダンプ」は水分の乾燥を遅らせる働きなどの特長を持ち、石綿飛散防止剤「アスベスシール」は下地への浸透性に優れ、残存アスベスト固定化に威力を発揮。ムライケミカルパック(福岡県久留米市)のアスベスト飛散防止剤「ケミカル浸透性特殊樹脂」は、この製品だけで除去や封じ込め、飛散防止などの工事に使用可能である。

アゼアス アスベスト等の有害粉塵回収システム 真空掃除機と電動ドリルで作業者の環境改善など可能
 アゼアス(東京都台東区)は、アスベスト等の有害粉塵回収システムである「Pクリーンシステム」を販売している。
 同製品はハウスビーエム(大阪府東大阪市)が製造しているドリルカバーユニットとニルフィスクアドバンス(横浜市港北区)が製造しているHEPAフィルター付真空掃除機と電動ドリルから構成されている。これにより波型スレート板への孔開けやナットの取外しの作業時に発生するアスベスト等の有害粉塵を掃除機で回収できる。
「有害粉塵の回収システムにより、作業者の環境改善や向上などを図ることができます。また、ドリルはワンタッチ装着が可能で、市販の他工具に交換できますので、ビスの締付けなどの作業も可能となっております」と同社部の佐川氏は語る。
 同システムの仕組みは、軟質ゴムカバーが作業時に対象形状に変形追随し、ドリルカバー内部を密閉。HEPAフィルター付真空掃除機にアスベストなどを吸引できるようになる。特に孔開け時において、穿孔開始から貫通終了まで吸引可能となり、破片や粉塵の下方落下を防止に効果を発揮するそうだ。
 また、作業時に着用する防護服の「タイベックソフトウェア」は旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ(東京都千代田区)が総輸入販売元である。

サンワ・リノテック パイプを完全密閉するグローブバック 作業員の安全性と効率性を両立
 サンワ・リノテック(大阪市大正区)は、アスベストを安全かつ簡単にパイプから取り除くことができる「Availグローブバック」を販売している。
 アメリカのグローブバック製造企業であるグレイリング社製のものであり、合計1524万mものパイプから断熱材を除去した実績を持っている。使用方法は既存のビルに設置されているパイプにグローブバックを取り付け、作業員がグローブバックを通して作業する。その際、グローブバックによってパイプは完全密閉されており、作業員の安全性と効率性を両立することが可能となっている。
 同製品はパイプ部に使用されている除去エリアと作業によって発生するアスベストなどを廃棄する廃棄物エリアの2区画から構成されている。廃棄物エリアは、低密度および高密度ポリエチレンのすべての強度と耐久性を持ち合わせるように開発されたポリーマーPHD製のものが使用されており、高い安全性が確保される。また、パイプなどの部分工事ができ、コストを抑えることが可能となっている。
 同社が取り扱っているグレイリング社製のシャワー・エアロックシステム「D-Con」は小規模向け浄化設備の手間を省き、作業コストの削減を実現している。「工期が短く安いコストでパイプの工事が行えます。使用例としては学校や公共施設などがあります」

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