不動産トピックス

クローズアップ 遮熱塗料編

2008.10.13 17:04

 太陽光に含まれる赤外線や紫外線は、ビル躯体に影響を与えることに加え、屋内の温度上昇や、カーペットの色あせなどにも影響を及ぼす。これに対し高機能ガラスやフィルム、緑化などさまざまな対策が取られているが、その中でもより工期が短く、低コストで施工が可能な遮熱塗料に焦点を当てていく。

フォーレ・ディ 一度塗りで遮熱効果を発揮 真空ガラスビーズ含む環境配慮型の遮熱塗料
 フォーレ・ディ(東京都港区)が開発した「GEARTH(ジアス)」は、超微粒子の真空ガラスビーズを用いた環境共存型遮熱塗料だ。
 家屋に見立てた模型を白熱球で照らしたところ、未塗装のものと比較して約30℃の遮熱効果が見られるなど、高い断熱性を実現している。
 しかし、従来の遮熱塗料は施工する際、複数回塗り重ねなければならないという問題点があった。
 「ジアスの場合、大量の真空ガラスビーズを塗料の中に用いることで塗料を複層化させることに成功しました。1回の施工で、外壁表面に塗料を塗り重ねたかのような塗膜層を作り出すことができます。特に日本国内で施工する場合には、人件費が大きなポイントとなりますが、ジアスの持つ1度塗りで済むという特性が、この点においても貢献すると考えており、時間・コスト面の双方でメリットがある製品となったと自負しております」
 しかし、ビーズ状の物質を塗料内に混ぜ込む際、撹拌(かくはん)が難しくビーズの位置に偏りができるなどの問題があった。この点も、ビーズを混ぜ込む技術力で分離状態を解決し、製品の提供となったのである。また、これらの断熱性・施工性に加えて防汚性や耐久性及び不燃性などの性能を備えているため、別塗料を施工する必要がない点も特徴的だ。

フォーユー 半導体金属酸化物を使用したガラス用塗料 屋外施設にも有効な遮熱 太陽光による熱線を防ぐ
 フォーユー(東京都世田谷区)が販売・施工している「アットシールド・クリア」は、超微粒子化した半導体金属酸化物を溶かし込んだ特殊ガラスコーティング塗料である。
 そもそも、「アットシールド」シリーズは、常に日射にさらされる屋外施設における温度上昇対策として研究・開発された。かつて、公衆電話ボックス及びRTボックス、無人交換局などは夏季の太陽からの熱線によって温度が上昇し、使用者や機器に影響を与えるという問題を抱えていた。特に通信設備は急激な温度の上昇によって誤作動を起こす可能性も考えられたため、空調や高機能ガラス及びフィルムによる温度上昇対策が取られていたのだ。しかし、価格や耐久性、可視光透過率及びクリーニングなどの面が課題となっていたため、解決策として特殊塗料が考案されたのである。
 「この製品は、人間が特に暑いと感じる近赤外線を約70%以上反射・吸収します。施工後はガラス表面に薄くグリーンの塗膜が作られますが、外観をほぼ妨げず、閉塞感を与えません」(総務部部長五十嵐氏)また、昆虫の大半が紫外線に反応するため、96%以上をカットする同塗料は、窓から漏れる光に引き寄せられる虫に対しても有効だ。

大高商会 導入実績や区330万㎡の遮熱・断熱塗料 シートに焼き付け10年以上も効果を持続
 大高商会(大阪市住吉区)が施工するクールサームは、330万㎡の施工実績を持つセラミック遮熱・断熱 塗料である。
 「この製品は、NASAが開発し日本国内に導入されて以来、大手企業をはじめさまざまな企業で採用されております。導入先の工場では、当初は1棟の屋上にのみ施工していたにもかかわらず、その効果を実感したために10棟以上の屋上に続けて施工したというケースもありました。高い効果を評価して頂いた結果だと自負しております」(杉本氏)
 この製品の特徴は、シートに塗料を焼き付けて加工している点。塗膜の色彩が損なわれると効果も減少するといわれている中で、施工から10年以上が経過しても、ほとんど効果に変化がない。
この効果は、導入事例の中の1つである大手文房具メーカーの配送センターでも実現された。塗装前には39℃だった室温が、塗装後、32℃に低下。更に、施工から10年が経過した後も33・5℃に保つなど、効果が持続していることが分かる。
 「一般的に反射塗料は、塗膜表面が汚れてしまうと反射力が低下し、効果が損なわれてしまうという特性を持っています。しかし、当社が施工している『クールサーム』は、高い反射率を保持し続け、遮熱効果の低下を防ぐのです」と同氏は話す。
 シートには弾力があり、耐久性も高い。このことが効果を持続させる一助となっている。

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