不動産トピックス

クローズアップ 風力発電機編

2008.08.04 16:59

 環境・省エネ対策として、エコ発電の存在は非常に大きい。太陽電池が最もポピュラーでビルへの導入例も多いが、風力発電も今後期待されるエコ発電の1つ。今回はビルの屋上や敷地内に設置できる、耐久性や静粛性に優れた小型風力発電機を紹介する

ループウィング 特徴的なループ形状が騒音発生を防ぐ 完全防水の軸受け採用し長い耐年数実現
 ループウィング(東京都千代田区)の風力発電機は、羽根の形状をループ(輪状)型とし、静かさや安全性を追求した。
 風力発電機による騒音の原因の1つに、先端渦と呼ばれる、空気の渦が挙げられる。チップボルテックスとも呼ばれ、ループウィングではこの発生をループ形状を採用する事で抑制する。つまり、通常の羽ならば先端は尖らざるを得ず、それがチップボルテックス発生の原因となるのだが、ループ形状ならば先端が尖らない。これが静粛性に一役買っているとの事だ。同社企画部の東館将之氏は高い実効性も特長の1つだという。
 「ループウィングの立体的な風車は、風を3次元的に捕らえ、風速2m程度から自己起動します。また、風速8mの時には40%を超える変換効率を実現し、低風速での軌道と、高効率での運転を実現しました」
 安全性も追求されている。同社によると、「ループウィングの羽根と主軸は、それぞれ前後両端と先端部分の3点で支えられるトラス構造になっており、この強固な構造を持つ事で風車は振動や突風に耐えられる、高い安全性を実現した」としている。
 耐久性、長寿命にも配慮がなされている。軸の部分に、船舶にも使用される完全防水のオイルバス式軸受けを採用。この結果、設計年数は20年となった。通常のプロペラ型の半分以下の回転速度で同等の出力効率となる事も大きな特徴だ。

ニッコー/ほか 低騒音と高効率を両立した風力発電 石川県の産官学が共同開発 高耐久性及び安全性も魅力
 ニッコー風力発電システムは、ニッコー(石川県白山市)をはじめ、石川工業高等専門学校や金沢大学、東海大学、ものつくり大学、石川県工業試験場、石川県産業創出支援機構など、産官学で共同開発された商品。
 発電量や設備の大きさなどの違いで数種類がラインナップされているが、共通して大きく3つの特徴があるという。ニッコーの住設環境機器事業部、環境エネルギー機器部営業推進課課長、穴太靖氏は次のように語る。
 「1つめの特徴は低騒音である事。増速機を使わず、ロスのない発電を実現しています。2つめは、高効率である事。専用コントローラによる、無駄の無い発電と放電の制御でこれを実現しました。3つめとしては、高耐久性で安全性も高い事が挙げられます。強風時には電気的ブレーキによる減速を行い、機械的に強風を受け流す『セルフコントロール機構』も搭載しています。ブレード部分にはスーパーエンジニアリングプラスチックを使用し、風速60mの強風でも耐えます」
 年間発電量予測としては、例えばNWG-4Kというタイプなら年平均風速を4mと仮定して、4000kwが見込める。
 これは1世帯の年間使用電力量に相当する量だという。回転開始風速は1mからと、弱い風でも発電が見込めるのも特徴だ。

WINPRO 住宅や市街地でも設置が可能 垂直軸型の羽根を採用し微風でも360度で対応
 WINPRO(ウィンプロ・新潟県中央区)の風力発電機各種は、垂直の羽根で構成されている事が特徴だ。同製品の販売を行うオリテックス(神奈川県横浜市)の取締役事業開発部長、中島賢悟氏は、WINPROが日本の風況に適した製品であると語る。
 「垂直軸型3枚ブレードであるWINPRO小型風力発電機は、360度の風向きに、風速1mから回転を開始します。無音に近い静粛性のため住宅街や市街地などで設置できます」
 WINPROは、従来の垂直翼型の羽根の一部を切り、欠けさせる事によって起動時に風を内側から捉えられる。素材には耐腐食性のアルミニウム合金を採用し、軽量化を実現。
 また、アルミニウム合金ならば落雷などによる火災発生や破損、飛散も防げるため、安全だ。アウターローター・コアレス多極発電機も採用されているが、これは鉄芯を使わないコアレス構造が特徴で、回転を邪魔する力が生じないため、回転音が無く、低速回転から発電する事が可能。ビルの屋上などにも設置できる。
 「WP2003B-ROOF」では、起動風速1m、発電開始風速1・2m、設計耐風速60mとなっている。外形の高さは約3・2m。オプションで太陽光発電機も取り付けることができる。街灯用のものがあるなど各種ラインナップは豊富だ。

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