不動産トピックス

商業ビル最前線

2007.09.17 17:06

<商業ビルオーナーインタビュー>七幸 代表取締役 長谷川政行氏 相場より安い賃料で空室が長らく出た例しなし 気になる物件は設計士を連れてチェック
 目黒区・品川区内で、4棟の商業ビルと5棟のマンションを所有する長谷川氏は、昭和47年より賃貸業を開始して以来、着実に物件数を増やし続けてきた。安定経営のノウハウを聞いた。
―不動産賃貸業をはじめたきっかけは。
 昭和47年に「七幸本店ビル」で1・2階の店舗部分を賃貸しはじめたのがはじまりです。その後、他事業で使用していた物件を1Rマンション「クレソン」に、木造物件を店舗ビルに建て替え賃貸していました。バブル時、周囲は「土地価格がもっと上がるだろう」と考え不動産投資を行っていましたが、自社が行うと資金繰りが大変だと分かっていたため、事業拡大は行いませんでした。
―物件を増やしていこうと思ったのはいつですか?
 平成9年夏に他事業の借金返済も終わり、「クレソンⅠ」や目黒の店舗ビルも確実に収益を上げていたので、銀行から融資を受けて土地を購入し、「クレソン」を建築しました。平成10年竣工で、土地や建物は全て借金で購入し、返済期間は約20年に設定。学芸大前にある既存物件「パークサイド学芸大」も2億8000万円で購入しましたが、賃料収入は毎年2000万円入るので返済可能と考えたからです。平成14年には「クレソン」を購入。これは新聞広告を見て気に入ったからです。元の持ち主が設計士ということもあり、デザインが良く、ワンルームで無駄がない。自転車置き場が室内にあったのもポイントでした。
―順調経営ですね。
 空室が出てもすぐ埋まるからでしょう。賃料は不動産屋が考える価格帯より安く設定しています。自分だったらこんなに高い賃料を払えないからです。あと、税金をきちんと納めているから信用を得られて、銀行から多額の融資を受けて事業展開できているのだとも思います。もちろん、節税できるところは徹底的に節税します。
―物件情報はどこから入手されていますか
新聞広告やDMです。気になる物件があれば、担当者と話し、現場に設計士を連れていき、建物に問題がないか見ています。利益率の高い物件が入手しづらくなっていると聞きます。今は絶対に物件を買いません。物件の価格も高騰し、今後金利も上がればとても利益はだせません。
―これまでの、そして今の不動産業界をどう感じていますか。
 これまで当社が順調に経営できたのは、低金利で不動産価格が上がらなかったという時代だったからです。高金利で不動産価格が高騰している中で利益を上げられるのは、プロ中のプロのみでしょう。基本的に、マンションや店舗の賃料は上げません。これも、ゆとりがあるからできることなのでしょう。

アールインベストメントアンドデザイン 既存賃料より5割増の賃料を可能にしたプロジェクト エリア特性に考慮し再構築飲食店にコンセプトを統一
 中小商業施設の開発事業、およびリノベーション事業を行うアールインベストメントアンドデザイン(東京都港区、以下RID)は、大豊建設(東京都中央区)との共同事業、「西麻布紀伊国屋ビル」リノベーションプロジェクトの竣工を発表した。
 今回の案件は、RIDが物件の取得から企画、売却までの全てを一気通貫で行ったプロジェクトで、商業用途物件としてははじめてのもの。同物件は港区西麻布1丁目に立地する。平成4年竣工、地上8階地下1階の個人オーナー所有のビルであった。敷地面積は173・95㎡、延床面積は1057・37㎡。これまでフロア別に住宅、事務所、店舗として使用しており、稼働率は8割だった。
 同物件は西麻布という立地の良さがありながら、デザイン性の劣化と複合用途であるためのコンセプトの分散により、必ずしも収益性が最大限に引き出せているとはいえなかった。RIDは同物件に対し、「ポテンシャルを秘めるビル。同物件は収益性が落ちて売却価格に割安感があったため、今回のプロジェクトを進めました」(宮﨑氏)と評価する。
 個性的な飲食店が並ぶ西麻布のエリア特性を活かし、収益を最大化すべく飲食店テナントを中心に誘致、それにふさわしい外装やエントランスのリニューアル、各種インフラの整備を行うことによって、同物件が持つポテンシャルを最大限に引き出した。
 購買力のある女性に足を運んでもらうために、外壁は視認性を高める白を基調とし、入りやすいエントランスと明るいサイン計画で構成。夜の営業用に、LEDなどを用いて明かりの演出も行う。
 尚、同物件は売却先もほぼ決定している。リーシングにより稼働率が100%に至らない段階でも出口を確保している。
 今回のリノベーションプロジェクト前後の賃料設定を比較すると、特にオフィスフロアを飲食フロアにすることにより、以前の賃料に比べ3割から5割増しでリーシングが可能となった。
 同社は現在も10数件の新規開発事業を進行中であり、都心にある裏路地的な場所で、その土地と自社のデザイン力を存分に活かした開発を行っていくとしている。

三菱地所 天神地区に「天神ロフトビル」リニューアルオープン 天神ロフトをキーテナントに新たなランドマーク目指す
 三菱地所は、福岡市中央区においてリニューアルを進めている商業施設「ジークス天神」を、11月15日に「天神ロフトビル」としてオープンすると発表した。
 「天神ロフトビル」は、福岡市中央区渡辺通り4丁目という、福岡市最大の商業エリア・天神地区の中心に位置する。地上9階地下1階、敷地面積は1940・64㎡、延床面積は1万594・19㎡という規模で、平成元年に竣工。同施設2階から7階まで入居する、九州発進出の生活雑貨店「天神ロフト」(営業面積約5500㎡)をキーテナントに、ファッション、ホビー、雑貨など、既存テナントを含む計12店舗の商業施設として、天神地区の新しいランドマークを目指してリニューアルオープンする。総店舗面積は約7000㎡、ファッションテナントは地下階に集結する。ビルの運営管理は、三菱地所グループのイムズが担当する。
 同社は、商業施設事業を重要な成長分野と位置づけており、丸の内以外のエリアでも、首都圏および政令指定都市を中心に、今回の物件のような既存施設のバリューアップを含め、その立地に相応しい様々なタイプの商業施設開発を積極的に展開していくとしている。

オリックス不動産 豊島区上池袋で複合商業施設開発を発表 全470戸の集合住宅と高級スーパーマーケットなど
 オリックス不動産(東京都港区)は、ハウスメイトパートナーズ(東京都豊島区)と共同で、東京都豊島区上池袋一丁目において集合賃貸住宅と高級スーパーマーケット、フィットネスクラブなどから構成される複合商業施設の開発を行うと発表した。
 敷地面積は1万203・89㎡、延床面積は約4万2000㎡。住宅棟は22階建ての高層棟と8階建ての2棟から構成され、合計約3万4700㎡で470戸供給される。商業棟は約7300㎡。商業棟オープンは平成20年秋、全体竣工は平成21年春を予定している。
 高層棟は、独身者やDINKSを中心にそれぞれのライフスタイルに合わせた住戸構成とし、公園側にある8階建ての棟は、豊島区の高齢者向け優良賃貸住宅助成事業制度を利用した高齢者向け住宅10戸を含み、ファミリー向けに配慮したつくり。
 商業施設には、「健康と上質な日常の提供」をコンセプトに、高級スーパーマーケットやフィットネスクラブが出店する。敷地内には公園とメイン通りを結ぶ幅6mの緑あふれるプロムナードを配し、ゆとりある都市空間を創出し新たなランドマークとなる街づくりを目指す。

阪神電気鉄道 高架下を利用した美と健康の商業施設 近畿駅百選の香櫨園駅とデザイン調和図った環境
 阪神電気鉄道(大阪市福島区)は、香櫨園駅東側高架下を利用した商業施設「香櫨館(こうろかん)」を10月19日にオープンする。所在は西宮市市庭町、建築面積615・86㎡、延床面積は2001・20㎡、3階建て1棟と平屋建て2棟とで構成されている。
 「香櫨館」は「美」「健康」「アンチエイジング」をテーマとした店舗を中心に展開。「ガーデン・コリドー(緑の回廊)」を環境コンセプトとし、敷地内に緑を多く配置し、良好な環境イメージと、香櫨園駅駅舎デザインとの調和が図られている。10月開業は2棟、来年2月に全棟のグランドオープンを予定している。
 出展店舗は、アンチエイジングという新しい考え方で捉えた健康増進施設「マグマスパ&ヨガ・フィットネス『アグレイア』」、調剤薬局のプロデュースする、自然素材だけを使った健康カフェと漢方薬局店「シーズガーデン」、「ハーモニーレクラン」など予定。
 この他、今までの「治療」を目的とした医療だけではなく、「予防医学」を取り入れた医療やサービスを提供する新しいクリニック&サロンを展開する予定だ。

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