不動産トピックス

クローズアップ 照明編

2007.08.13 16:40

 オフィスビル、商業ビルに限らず、照明のコストをいかに下げるかは経営上必ず考えなければならないことだろう。また、照明を使ってエントランスの雰囲気をよくしたり、外観を美しく見せるといったこともでき、テナント誘致の際には大いに効果を発揮する。今回はそれらの照明器具を紹介する。

三菱電気照明 調光機能で過剰照度カット 電力コスト削減にも効果的 高い設計自由度が魅力グリッドタイプの天井
 三菱電機照明(神奈川県鎌倉市)は施設用照明器具「Easyecoマルチグリッド」シリーズを今年の3月12日から発売している。
 本シリーズは、グリッド天井用照明器具では業界で初となる、4段調光ユニットを内蔵した機種をはじめ、32機種を取り揃えている。
グリッド天井とは近年オフィスのスタンダードとなっている天井で、Tバーという骨組みを格子状に組み、その骨組みの上に照明などの設備機器や、天井板をはめ込んでいくことで工期を短縮する。
 しかしこれまでのグリッド天井では、照明のレイアウトと数によっては1000ルクス以上の過剰照度になりがちで、適正な照度の650〜750ルクスを保つために、照明器具の下部にルーバを設置するなどしていた。
 この問題に対し同シリーズでは明るさを80%、70%、65%、60%の4段階に減光し設定できる「4段調光」機能搭載タイプと、ランプ交換直後の過剰照度を自動的に補正する「4段初期照度補正」機能搭載タイプを追加した。これらは照明器具単体でも照度を調整することができ、導入コストと設置配線作業を大幅に削減できる。
 営業本部の山本俊昭市場開発担当部長は「このシリーズのポイントは、取り付け易い構造にあります。照明器具や天井板の他にも、スプリンクラー、スピーカー、非常灯などの設置を考慮した仕様としています」と語る。リニューアルを考えるなら、検討するのもいいだろう。

旭硝子ビルウォール 光の色も手軽に変更 高いデザイン自由度水中でも使用は可能
 旭硝子ビルウォール(東京都文京区)では「ミライト」と呼ばれる光ファイバー照明を販売している。
 「ミライト」は光源装置から発せられた光を、光ファイバーケーブルを通して端末面に送り届ける装置である。ケーブルなので曲げたりすることもでき、光源から端末面の距離も自由に設定できる。つまりデザインの設定自由度が高いので、使い方も幅が広い。
 ファサードエンジニアリング事業部の生駒氏は「1つの光源に対しケーブルは複数本に分岐しているので、例えばビルの外壁に埋め込んでイルミネーションとして使ったり、エントランスの階段で、一段ごとに足元を照らすなどといったケースが考えられます。もちろん、テナント看板やエントランスの一部だけを集中的に照らすといった利用も可能で、場所を選ばず設置できるのが強みです」と語る。
 また、この製品は端末面の発光部に電流が流れているわけではないので、水中で使用することもできる。光源装置には特注でカラーチェンジフィルターを取り付けられるので、光に色をつけることも可能だ。
メンテナンスも比較的簡単で、必要な箇所は光源装置のランプ交換のみである。
光ファイバーはガラスタイプとプラスチックタイプがあり、同社では石英を使ったガラスタイプを使用。この石英ガラスファイバーの特徴としては、伝達途中での光のロスが少ないのが特徴だ。

松下電工 器具・ユニット一体で10mmの世界最薄を実現 長寿命で明るさに優れたLED照明販売
 松下電工(大阪府門真市)はLED照明器具「MFORCE(エムフォース)搭載器具シリーズ」を販売している。本シリーズでは「器具・ユニット完全一体化技術」により、世界最薄となる器具厚さ10mmを実現し、照明設計の自由度を格段に向上させた。また、放熱性を高め、熱抵抗を下げることで、業界最高の明るさと4万時間の長寿命の両立を可能にした。
 この3つの業界トップを実現したLED照明器具22機種が現在ラインナップされている。さらに、従来の白色LED照明の「青色LED+黄色蛍光体」から、「青色LED+赤+緑色蛍光体」に構成を変更することで、色の見え方を大幅に改善させた。シリーズの中でも、NNN21657型やNNN21658型は、調光範囲が約5%〜100%、首振範囲が25度の広角・埋込タイプで、他にもNNN21667型や、NNN21668型といった半埋込タイプなどもあり、エントランスや廊下などで、ビルの雰囲気に合わせた設置が有効になるだろう。
 松下電工広報部の奥瀬史郎氏は、「本シリーズは、後から設置するタイプではなく埋込式なので、ビルのリニューアル時に設置するのが一般的であるといえます」と語る。
 「MFORCE搭載器具シリーズ」は4万円から6万8000円といった価格帯であり、通常の照明器具よりはイニシャルコストが高くなるが、その分、省エネや長寿命によるコストダウンが実現でき、ビル経営を考える上で無視できないメリットがあるだろう。

住友スリーエム 反射率95%で照度5割り増加 条件選ばず取り付け簡単 省エネ省コストに効果大
 住友スリーエム(東京都世田谷区)が販売している「ニューラックス」は、それまで販売していた「シルバーラックス」を改良した製品で、蛍光灯に取り付けることで照度を増やす。
 原理的には、蛍光灯から発生られる光量を、反射板にて増やし、それを必要な方向に向けるというものである。
 通常、蛍光灯の上部から発せられる光は、そのほとんどが天井にあたるのみで、ほとんど反射もせず床にも届かない。その無駄にしていた分を反射板にて取り込み、床面など必要な空間を照らすのがこの製品である。
 コンストラクションマーケット事業部の青柳康博氏は「ニューラックスの反射率は95%で、一般的な白色塗装やアルミ鏡面の85%より効率的に反射します。この結果、同製品を取り付けることで、何もつけない状態で蛍光灯を使用するのと比べると1・5倍に向上させることができます」と語る。
 条件や取り付け状態にもよるが、3分の1程度まで照明器具の数を減らしても、同条件の照度が得られるので、電気代の削減にも有効である。
 メンテナンス面でも効果がある。蛍光灯に積もるホコリやチリは、そのまま照度の低下につながり、拭き取るなどしなければならないが、同製品は蛍光灯本体にほとんど密着した状態になるので傘の役割を果たし、汚れを防ぐことができる。
 取り付けは非常に簡単で、蛍光灯本体にワンタッチで装着できる。

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