不動産トピックス

クローズアップ 屋上緑化編

2006.11.06 16:02

 屋上緑化は都で1000㎡以上の建物に義務付けられている。しかし、実際に行われている場所は1%に満たないと言われている。コストがかかる・必要性がない・メリットが分からないなどの声がささやかれているが、果たして屋上緑化は本当に必要なのだろうか。各社での取り組みを紹介していく。

モスワールド コケ植物でビルなどを屋上緑化 土壌を必要とせず維持管理不要
 モスワールド(東京都中央区)は、コケ植物を利用した屋上緑化工法「モス・インティー」を昨年春より提案している。
 同工法は、ナイロン樹脂製立体ネット基盤にコケ(スナゴケ・ハイゴケ混合)の種苗を強固に固定することにより、強い風雨にも耐え、屋上・屋根・壁面などでの緑化を容易に実現できる。
 コケを使用しているのは、他の植物と異なり根と呼ばれる通導組織が無く、空気中から水分・養分を吸収して成育するため、土壌を必要としないからだ。
 同社で使用しているスナゴケ・ハイゴケは乾燥に非常に強く、他の植物では生物層形成が困難な高層ビル・壁面・急斜面・屋根面・既存建物などでの使用が可能だ。
 土壌を必要とせず軽量のため、建物などの構造物の負担が少なく、また施工も容易であり他の工法と比較して、緑化に伴うイニシャルコストを軽減する事ができる。さらに、施工後、灌水・施肥・刈込みなどの維持管理が不要になり、ランニングコストの削減にも繋がるという。
 「現在、コケの他にセダムや芝を利用した屋上緑化が進められています。セダムや芝を屋上緑化にするのも悪くありませんが、どちらも管理が大変です。コケ植物は手間がかからず屋上緑化には一番適していると思います」(代表取締役社長小暮宏氏)

ドコー 緑に囲まれた空間を創出 無灌水での管理を可能に
 総合都市緑化プロデュース事業を展開するドコー(東京都千代田区)は、建物内部の空調コストを大幅に削減する多機能無灌水緑化システム「プランツキャスト」を販売している。
 無機質材料の発泡セラミックスパネル(人工的にスポンジ状の構成を作り上げた多孔質セラミックス)を基盤とする緑化システムである。
 施工性に優れた500mm角の基盤にセダムを植えつけることで、陸屋根、折板屋根共に無灌水での管理を可能とし、施工時間の短縮によるイニシャル・ランニングコストを抑えることが可能だ。
 また、花壇・菜園・中低木の植栽基盤としても利用でき、基盤サイズは、1m×2mまでである。
 土を使用しない無機質セラミックス板は中性であり、土壌のpHを乱さず、かさ比重0・98と砂利よりも軽い比重で屋上緑化には適しているとのこと。高温燃成しており耐火性にも優れている。また、アブラムシやハダニなどの害虫への忌避効果もある。断熱性に優れているため、建物に負担をかけずに屋根温度の上昇や放熱を防ぎ、冷暖房費の削減が可能だ。セラミックス板、セダムの蒸発散作用により、顕著な断熱効果が核になされているとのこと。
 「薄層緑化において、セダムは乾燥に大変強く、他のどんな植物と比較してみても強いと思います。手入れもほとんど必要なく管理も楽です」(代表取締役社長 松本聡氏)
 設計価格は1㎡当たり1万2000円。

マサキ・エンヴェック ベランダ・屋上で手軽にガーデニング 緑化に優れた軽量土壌を提案
 マサキ・エンヴェック(長崎県長崎市)は、ベランダ&屋上緑化専用土「ルーフソイル」を利用した屋上緑化を提案している。
 ルーフソイルとは、中国の標高3500m~4000mの高地より採掘された繊維上の高品質泥炭で、純度の高い有機物を含む特殊な腐植土に特殊な化学処理を施した土を輸入し、日本の風土に合うように、BIO処理を施したハイブリッドな天然の高原高位腐植泥炭である。
 従来の土壌や最新緑化工法と違い、大変軽量で保水力・保肥力に優れている。根・毛細根の発育、増根、伸根に優れた軽量土壌として開発されたという。
 大変少ない土量・土厚で済むため、屋上の強度計算上、設計が容易になり、施工作業や管理者による手間も省け、育成の失敗を少なくすることも可能だ。従来工法では、最低でも15cmの土厚を必要としたが、同工法では、土厚7cmからでも満足できる結果が得られるという。
 基本的な防水工事だけを行うだけで済み、土の流出がほとんど見られないために高価で面倒な追加工事を必要とせず、また、多量の土を使用せずとも根が良く張るため、軽くて強度への心配が無く、水・肥料やりの手間も省ける。
 粉塵・排気ガスなどを吸着する効果が有り、さらには騒音も吸収し、空気清浄に非常に効果があるという。
 価格は、10㎡で材料費のみ約12万円、材工で約20万円。

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