不動産トピックス

ビルオーナーのための建築・設備最新情報

2006.05.22 16:24

<リスクに挑む>富士建 佐賀県、佐賀大学とアスベスト飛散対策共同開発 一部の機能を損なわず、石綿を無害化
 富士建(佐賀市富士町)は、佐賀県、佐賀大学と産学官共同開発によるアスベスト飛散対策工法「SAF(セーフ)工法」の受注を開始し、佐賀県をはじめ、九州エリアを中心とした営業展開を本格化する。
 「SAF工法」は、高濃度多硫化カルシウムを主体としたアルカリ金属との溶剤をアスベストに吹付け、浸透させることでアスベスト繊維を化学的・物理的に封じ込めて飛散を防止する。また、解体時などアスベスト処理を行う際にこの溶剤を現場に散布するとアスベスト繊維飛散を抑制することができるという。
 開発に携わった佐賀大学理工学部田端研究室の所見によれば、「多硫化イオンが白石綿中のカルシウムやマグネシウム、ならびに青石綿中の鉄と強く結合し、固化させる現象で、『SAF工法』の水溶性の溶剤を吹付けると、アスベストの繊維に沿って細部まで浸透して反応します。空気に触れるとしばらくして固化することからアスベストの飛散を防ぐことができるのです(一部抜粋)」としている。
 なお、「SAF工法」は、アスベスト本来の機能である防音、結露、断熱などの効果は維持できる。耐火については調査・確認中だが、耐火以外の目的でアスベストが使用されている場合は、施工後の処置が必要なく、大幅にコストを削減することが可能だ。既に佐賀県工業技術センターのX線操作室の石綿飛散防止工事に使用されており、工事後のアスベスト気中濃度をND(定量下限未満0・5f/l未満)にすることを実現している。また、民間の工場でも数件の実績があるという。
 なお、施工の参考価格は平米当たり1万5000円前後、将来的には工法の加盟施工会社による工業会などを結成し、全国展開も視野に入れる。

<建築トピックス>長谷工コーポレーション 「大正初期の高層建築の構造形式」を」を実物で発掘 「幻の双頭レール」も約500本出土
 長谷工コーポレーション(東京都港区)が超高層マンションの建設を予定している「大阪・北浜旧三越大阪店」解体現場より、大正初期の高層建築の基礎形式(シカゴ建築様式の鋼鐵基礎)が、日本で初めて実物で発掘された。基礎には「幻のレール」と呼ばれる「双頭レール」を鉄筋の代用として使用しており稀に見る構造であることが学識経験者によって確認されている。
 解体現場の土地では、1691年(元禄4年)に江戸駿河町越後屋の出店として開設されて以来315年の歴史を持つ「三越大阪店」が昨年5月まで営業していた。
 解体の技術指導、調査を行った技術顧問の柴山建築研究所(大津市)の高嶋三郎氏は、「今回、発掘された旧三越大阪店の基礎構造は現在のビルの形式とは全く異なっているが、日本の伝統木造建築の玉石の基礎を巨大化したようなとも言えるのでは。鉄筋の代用に欧米各国や黎明期の様々なレールがこれほど大量に(約500本)見つかったのは初めてではないか。これらのレールは近代製鋼技術の博物館ともいえそうだ」と語る。
 現地を視察した京都大学講師(鉄骨構造学)の西澤英和氏は「レールなど頑丈な鋼鉄の井桁をコンクリートで固め、その上にレンガと鉄筋コンクリートの土台を作って鉄骨造の基礎柱を乗せた構造は、19世紀末にシカゴで誕生した鉄骨煉瓦造の最初期の摩天楼(超高層ビル)の技法そのもの。超高層ビルの源流ともいえる摩天楼の基礎がどのような形式から発展していったのか、その原型をこの日本で目の当りにできたことに驚きを隠せない、鳥肌が立つほどの発見」と興奮の様子で語っている。
 基礎には1870年代前半に英国でつくられた「双頭レール」が多く使用されており、「これらは日本で最初に開業した東海道線で使用されたレールであるとみられ、他にも大阪―京都間で使用された錬鉄製レールや近畿一円の鉄道で使用された古レールも多く出土しており非常に珍しいケースでは」と新日化環境エンジニアリング(北九州市)の大石徹氏は話す。
 なお、「双頭レール」入りの基礎柱は長谷工コーポレーションにより、現在、大阪市立大学杉本キャンパス(大阪市住吉区)に展示されている。

東洋製作所/東京電力 低価格の高効率普及型空冷ヒートポンプチラー開発 空気熱交換器へ散水 気化熱で熱効率向上
 東洋製作所(東京都品川区)と東京電力(東京都千代田区)は、高効率、低価格の高効率普及型空冷ヒートポンプチラー「Mr.エコ2」(ミスターエコツー)を共同開発し、東洋製作所が販売を開始した。
 業務用ビル等の冷暖房向け用途の「Mr.エコ2」は、従来の東洋製作所の空冷ヒートポンプチラーをベースに、冷却時に空気熱交換器へ散水し、気化熱を利用して熱交換効率を向上させる方法を採用している。これにより、冷却時のエネルギー消費効率がCOP4・0に向上するとともに、同じ冷却能力を持つ機器に比べ、価格を低く設定することが可能となった。
 また、連結台数制御機能を搭載しており、建物の規模に応じて最大6台まで連結することができる他、蓄熱対応も可能であることから、5〜10階建ての中規模以上のオフィスビルやショッピングセンター、工場などでの採用が可能だ。
 なお、機器本体の価格は、1890万円(税込)で、年間100台の販売を目指している。

日本オーチス・エレベータ 機械室レス・エレベーターに乗用・寝台用を追加、販売開始 乗降口の敷居隙間10㎜を標準仕様として開発
 日本オーチス・エレベータ(東京都中央区)は、標準型機械室レス・エレベーター「Gen2(ジェンツー)」シリーズに新たに乗用・寝台用を追加、販売を開始した。
 「Gen2」は、従来のロープ式エレベーターとは異なり、ワイヤーロープに代えて、細い鋼線ロープをポリウレタンジャケットでコーティングしたフラットベルトを採用したエレベーターシステム。鋼線ロープをポリウレタンジャケットでコーティングすることで、ワイヤーロープに比べ軽量化、高い屈曲性・耐磨耗性を実現し、巻上機の小型軽量化を可能にしている。「Gen2」乗用・寝台用は、病院や介護施設などでの車いす・ベッドなどの乗降に使用することを想定し、乗降口の敷居隙間10㎜を標準仕様として開発。ユニバーサルデザインを追求したかご内操作盤や表示器を採用するなど、誰にでも使いやすいエレベーターを意識し、地震時の最寄階停止機能に一層の確実性を持つ初期微動(P波)感知器も標準装備した。
 また、エレベーター運転時に発生する回生電力をエレベーターの制御装置や表示器等で使用する「省エネ運転機能」を標準装備。これまで熱として消費していたエネルギーを有効活用し、約30%(従来機種同社比)の省エネルギー化を実現した。加えて、利用が無い時には乗り場の表示器を自動的に減光させる機能や、照明・ファンを自動休止させる機能も標準装備している。

サンゲツ カーペットタイルの新作を発表 デザイン性など重視した合計551点を市場投入
 サンゲツ(名古屋市西区)は、カーペットタイルの新作を収録した見本帳「DT2006-2009」と「NT2006-2009」を5月25日に発表し、同時に収録商品を全国一斉に発売する。DTは世界的に高い評価を受けているショウインダストリーズ社やミリケン社の商品をラインナップに加え、国産品では最新の撚糸機械を駆使した商品など、付加価値の高い商品群を197点収録。NTでは、塩素系漂白剤や直射日光にも色あせしにくい原着ナイロン商品を大幅に拡充し、グリーン購入法適応商品を充実させ、354点を収録している。
 耐久性や機能、メンテナンス性に加えて、デザイン性が重視されるようになってきたカーペットタイル市場に向けて、全点常備在庫でグラフィック(柄)とプレーン(無地)を合わせて551点を投入し、高度化するニーズに対応していく。
 また、「DT」「NT」見本帳はウェブサイト内デジタルブックでも同時公開する。

リコー 防水・防塵タイプのデジタルカメラの新製品「Caplio500Gwide」の発売を開始
 リコー(東京都中央区)は、防水・防塵タイプのデジタルカメラの新製品として「Caplio(キャプリオ)500Gwide」を開発し、今月26日から新発売する。
 新機種は、優れた防水・防塵性能やワイド光学3倍ズーム(35㎜判フィルム換算で28〜85㎜)、電子納品に最適な画質に切り替えることができる建設CALSをはじめとした業務システムとの連携機能などを継承した上で、耐衝撃性の向上、到達距離最大10mのフラッシュやブレ軽減機能の搭載などを実現したもの。建築現場や災害現場などでの業務をはじめ、損害保険業の査定業務やビル管理など、屋外でのカメラ使用が多いユーザーに最適だ。
 総画素数は830万画素で、記録媒体はSDメモリーカード、マルチメディアカードに対応し、内臓メモリーは26MB。標準価格は10万3950円(税込)となっている。

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