不動産トピックス
快刀乱麻
1996.04.01 12:05
▼三井不動産のS&E研究所がまとめた「東京都心散歩」という本がある。このシリーズの港区版に載っている川本三郎氏の「港区は郊外だった」というエッセイがおもしろい。今でこそ流行最先端の街、港区も100年程前は町はずれの緑深い地域だったということを事例を挙げて解説している▼例えば港区には寺や墓地が多い。青山霊園などはなぜ東京の真ん中にこんな大きな墓地があるのか今になると不思議だが、ここが出来た明治5年頃は、この辺りが郊外だったのである。大使館が多いのも、緑豊かな広い敷地を確保できたからだという▼しかしともあれ、大使館関係者が多く働き、住んだことが今の港区の雰囲気を醸し出し、賑わいにつながったことは間違いない。これから先、街を演出し、形成していくのはやはりビルだろう。その意味でもビル業界の再興が望まれる。