不動産トピックス

快刀乱麻

1995.12.01 16:28

▼ラブホテル街というのは一般にカップルが人目を忍んで足早に春いているのが通り相場だが、これに反して若者達が何の照らいも見せずに堂々と往来している通りが、東京・渋谷にある。今号の最終面にあるフジビルが再開発した円山町本通り、通称ランブリングストリートがそれである▼大手デベロッパーも手を付けずにいたホテル街を、ビルの力で気軽に散歩できる街に変えようというのだから、相当の力仕事であったろう▼同社では通り沿いの用地取得後、まずストリートの認知度を上げるため、話題性の高い期間限定の仮設施設を次々建てるという手法を展開。自主映画の単独上映館、3年間限りのライブホールなど、それぞれが若者を呼び込み、そして今では役目を終えて本施設へ建て替わっている▼このストリートの登場は渋谷の人の流れにも影響を与えた。従来の渋谷では東急本店通りと道玄坂の間がラブホテル街で分断される格好になっていた。再開発では所有地の境界から最低1.5m空けて施設を建て、その分歩道を広く取って樹木を植え、道路を整備して、2つの通りの間に大きな回遊性を生んでいる。体力とノウハウがあるからこそ出来ること、と言ってしまえばそれまでだが、それを差し引いても、あまり目先のことに捉われすぎる現在のビル業界にあって、その長期的視野は基調と言えよう。




週刊不動産経営編集部  YouTube