不動産トピックス

快刀乱麻

1995.11.01 10:41

 ▼「CIA(アメリカ中央情報局)が日米自動車交渉で対日秘密工作を行っていた」との記事がニューヨーク・タイムズ紙で発表され、波紋を呼んでいる。多くの人々が衝撃を受けた一方で、今さら驚くまでもない当たり前の事実と、冷めた見方をする人もいる。
▼秘密が多いという点では最近のビル業界もそう。テナント、オーナーが互いに相手の腹を探り合い、他のビルの賃料動向や引き抜きの動きに神経をとがらす。中には意図的にハッタリの情報をリークしたり、逆に最近では賃貸条件等を部外者に口外したテナントに対し「制裁金」を課すことを契約書にうたった契約が存在するなど、情報活動におけるカウンターインテリジェンス、すなわち防諜工作的な動きまで見られるようになってきている。▼仮にこのまま空想を膨らませていくと、テナントビルの具体的情報を売り付けるスパイやエージェントまがいのプロも出てくるかも知れない。例えば「AビルのB社は坪〇万円で契約してますぜ」といったような。
▼スパイ活動を繫盛せしめる要因は、閉鎖性である。これが疑心暗鬼を呼び、険悪な状態を引き起こし、そして最終的には戦争に至らしめる。そうなる前に、率直なコミュニケーションを通じて、両者蜜月時代の到来を期待したいというのは、いささか平和ボケが過ぎると言われてしまうだろうか。




週刊不動産経営編集部  YouTube