不動産トピックス

快刀乱麻

1995.10.01 15:42

 東京・霞が関に建つ合同庁舎2号館、別名・人事院ビルが取り壊されることとなった。1933年に建てられ今年で築62年。戦災をも乗り越えた頑健な建物も、このところはさすがに水漏れなど老朽化が目立ち、2009年に完成予定の地上21階建てインテリジェントビルへ生まれ変わることとなった。入居している省庁のうち、自治省は今年完成したJTビルへの移転が決まっている。
 このビルは元々旧内務省の庁舎として使われていたもの。内務省といえば戦前は現在の自治、警察、厚生、建設、労働などの各省庁の仕事を一手に握る最大の省。中曾根康弘元首相など有力OBも多数輩出した、いわば国家権力の象徴であった。それだけにビルに対して愛着、郷愁を抱く人も少なくないようで、取り壊しを惜しむ声も聞かれる。
  しかし見方を変えればこうして長年の役割をしっかりと終え、惜しまれながら建て替わっていくのは、ビルにとっても本望といえるのでは。
 住居系などと違ってビルの場合、優れたものはこうして町のランドマークとなって人々の記憶に刻まれていく。こうした官公庁関連に限らず、中小ビルでも維持・管理をしっかりと行い、優良テナントを入れることで風格が醸し出されてくるものだ。ビルも人生同様、惜しまれながら一生を全うするよう、日頃の手入れに力を入れたいものだ。




週刊不動産経営編集部  YouTube