不動産トピックス

快刀乱麻

1995.06.01 16:29

 「自律反転」という言葉はその歴史が営々と繰り返されてきて名付けられるものだが、ここに至ってその反復がぷっつりと途絶えてしまうのではと、懸念が高まっているのが最近の株式の動きだ。
 日本市場の冷え込みは今に始まったことではないが、関係者が最も憂慮しているのはNY市場の亜大暴落。NYダウは今や4400ドル台まで駆けのぼり、史上最高値を更新し続けている。ここ最近発表される経済指標のトレンドが、はっきりと景気減速を示しているにもかかわらず、市場のムードはあたかも麻薬中毒のように目先の利ざや稼ぎに走っている。
 これは一種のバブルだ。5年前、日本の株式市場が崩れた時、日本国内のバブルも崩壊した。バブルの主役の一人はビルだ。故にビル業界には最大級の後遺症が残った。しかしNY市場崩壊の影響はとてもその比ではない。ブラックマンデーの時、世界経済の屋台を支えた日本やドイツに今、そんな力はない。とすれば世界大恐慌の再来だ。株は投げ売りされ、ますます値を下げる。こうなると株式会社は立ち行かなくなり、資本主義自体が崩壊してしまう。その時、ビル業界はどうなるのか。世紀末特有の世迷い言で済めば幸いだが、元より危機管理にうとい国柄だけに一層気になる。安全への備えが求められているのは、何も大地震に対してだけでない。




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