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サッポロ不動産開発 「恵比寿スクエア」大規模バリューアップ完了 共用部から専有部まで建物全体を包括的に刷新

2026.03.23 11:10

 サッポロ不動産開発(東京都渋谷区)は2024年3月に取得したオフィスビル「恵比寿スクエア」の大規模バリューアップ工事を実施。3月11日に工事の完了を発表した。
 「恵比寿スクエア」は東京都渋谷区恵比寿1丁目、恵比寿通りから1本入った十字路の角地に立地。1994年5月31日竣工のオフィスビル。S造および一部RC造の地上7階地下1階建て。延床面積は9126・44㎡。敷地面積は1862・05㎡。築約30年が経過しており、車寄せやエントランスの閉鎖的な構え、照度や採光の不足による暗い印象などが見られた。外観や空間構成にやや時代を感じさせる点が残っていた。
 さらに近隣の商業テナントとのつながりが弱く、まちとの連続性が十分に確保されていない点もあった。屋上は喫煙用途に限定されており、トイレや給湯室といった水回り設備の老朽化も課題であった。これらの課題を解決し、恵比寿で働く企業が求める快適性・柔軟性・創造性を備えたオフィス環境を実現するため、全面的なバリューアップ工事を実施した。
 今回のバリューアップ工事は、「恵比寿スクエア」の外構・外装、1階のエントランス、各階の共用部、屋上、1階専有部まで、建物全体を包括的に刷新。建物の構成や動線、デザイン、機能面を総合的に見直すことで、現代のワークスタイルに対応した空間へと再生。物件価値の向上を図った。計画にあたっては「恵比寿のまちにひらかれた、洗練されたクリエイティブなオフィス」をコンセプトに、恵比寿のまちが持つ雰囲気に調和するオフィス環境の実現を目指した。外部へ開かれた構えや緑・光を取り込む空間づくりを通じ、創造性やコミュニケーションを自然に育む場へと変えた。
 外構・外装では、車両動線の変更および車寄せの廃止により建物正面のあり方を見直し、外部にひらかれたエントランス空間を創出した。合わせて植栽計画を整理。緑を感じられるアプローチとすることで、来訪者をやさしく迎え入れる環境とした。バリアフリー対応のスロープも新設。緑地帯の整備やキッチンカーなどの設置が可能なイベントスペースを設けることで、まちにひらかれたにぎわいの創出を図った。駐車場動線は再構築、敷地全体の利用効率の向上を図った。
 1階の共用部は、階段およびスロープを撤去。フラット化することで、使いやすく柔軟性の高い空間構成とした。合わせて既存の駐車場部分を専有部の床へ転用することで専有面積を拡張。ハーフセットアップオフィスとして整備した。また旧管理人室をトイレへ転用し、多目的トイレを新設。天井デザインを刷新することで、快適性とデザイン性を兼ね備えた空間へとアップデートした。
 また、各階の共用部は、エレベーターホールを改修。エントランスとトーンを統一することで、建物全体に一体感のあるデザインとした。トイレは木目を基調とした落ち着きのあるデザインへ刷新。日常的に利用する空間の快適性と品質向上を図った。
 屋上は、従来の限定的な利用形態から転換し、気軽に立ち寄れる開放的な空間へと刷新。床面には人工芝を採用し、すっきりとした短めの芝丈とすることで、歩きやすく清潔感のある仕上がりとした。また、既存の花壇造作を活用したベンチを設置し、気軽に腰掛けて過ごせる場を整えた。プランターには、ベンチに座った際に視線の高さに葉先がかかる樹種を選定。ニューサイラン、ソルトブッシュ、グレビレアなどを植栽し、室外機側のフェンスも自然に目隠しとなる高さとすることで、景観性と快適性の向上を図った。こうした整備により、緑に囲まれながら気分転換ができる屋外スペースとして、働く人の日常にやさしく寄り添う環境を実現した。
 サッポロ不動産開発は、恵比寿のまちの未来像を「ひらめきが生まれるまち」と定義し、その実現に向けて多様なアクションを推進している。今回のバリューアップ工事は、そのアクションを具体化する取り組みの1つと位置付けている。築年数が経過したビルでも、現在のワーカーがオフィスに求める機能を整備し、働きやすい環境へとアップデート。これら取り組みによって、新規開発に限らず既存ビルの価値向上を実現。かつ恵比寿における「働く」環境の魅力向上にもつながった。
 今後も同社は「ひらめきが生まれるまち」の実現に向け、「働く」の視点からの取り組みを継続していく。




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