週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

三井ホーム/東武不動産 木造長屋の宿泊施設「T-home景」開発 インバウンド需要に対応した全29室を用意

2026.02.16 11:07

耐火・遮音性を保持 住宅街でも静かな配慮
 三井ホーム(東京都江東区)と東武不動産(東京都墨田区)は先月、木造宿泊施設「T-home景」を竣工。2月11日に開業した。
 同施設は、東武不動産が進める地域活性への取り組み「ことまちプロジェクト」の一環として開発したもの。三井ホームが施工を担ったほか、設計担当にアトリエ9建築研究所(東京都目黒区)を迎えている。
 「T-home景」は東武スカイツリーライン「押上」駅から徒歩3分の視認性に優れた場所に立地する。木造2階建てで全6棟、分散型長屋とした。延床面積は1785・35m2、客室29室と店舗3区画で構成される。
 今回東武不動産では立地する押上1丁目エリアが防火地域に指定されていること、閑静な住宅地であるという特性を加味して、防災性と地域の魅力向上を重視した。防火に優れた独自の2×4工法を採用し、壁面の内外に21mmの石膏ボードを2枚ずつ合わせる施工を行った。これにより1時間の耐火を実現、ボードが燃え尽きても構造躯体に火が移らない、安全性の高いつくりとなっている。
 周辺環境への配慮として、三井ホームの木造住宅で使用している床遮音技術「MOCX MUTE(モクスミュート)」を採用。2階の床を構成する床根太の上にゴム足の吸音材をかませた制震パッド、高水準の遮音マット、仕上げ材を乗せることで、RCマンションの遮音性能に匹敵するLL35、LH55を実現している。壁面においても遮音用のすかし壁と石膏ボードを2枚張りにし、間に胴口をかませて遮音材を入れることによってRC造同等の遮音性能D45としている。
 さらに、木の温もりを感じられる開放的な空間構成も施した。三井ホーム独自の構造断熱材、屋根材の「ダブルシールドパネル」を導入することで、柱や梁の複雑な構造を使用することなく屋根裏を開放的な空間に仕上げられる。2段ベッドで高さを取られる三角屋根の構造体も明るさを感じられることが魅力だ。
 「T-home景」の名称は「景」観、風「景」、「景」色に由来する。江戸の街並みをイメージして広場と路地でつなぎ、古き良き日本の景観を再現した。スカイツリータウンという立地特性を生かし、各居室は海外旅行者が家族で楽しめる空間形成を施した。
 居室は全部で15タイプ。広さにより4~10名の宿泊が可能。グループ宿泊の需要にも応え、最大200名を収容できる。
 内装は和モダンをコンセプトとした畳張りの小上がりや無垢材の質感を取り入れている点が特徴的。各部屋にはキッチンや洗濯機を完備し、長期滞在でも日本文化を感じられるつくりとしている。黒を基調としたシックな内装の「Black room」をはじめVIP仕様の部屋も複数用意し、ゆったりくつろげる空間が魅力的だ。
 東武不動産では2018年より押上エリアで民泊をスタートし、2020年に旅館業許可証を取得、ホテルを運営してきた。現在は「T-home彩(サイ)」、「T-home集(シュウ)」、「T-home晴(ハレ)」をはじめとした6施設13室を運営中であり、新築物件だけでなく既存の建物をリノベーションした宿泊施設へのコンバージョンにも力をいれてきた。

1泊5万円前後を想定 和モダンで日本感じる設え
 東武不動産 開発事業本部 企画運営部次長の岡崎真二氏はこれまでの同社の取り組みとの関連性について、「基本の事業とともにことまちプロジェクトの基幹となるコミュニティ施設・ことまちラボというものを、業平1丁目に構えております。ソラマチからのお客様の流れ込みの起点となるような流動性を持たせられる施設として建てました。T-homeから出てくる方々の動きというところもこちらで賄えるようにという考えもございます」と話した。
 今回は病院跡地の土地を事業用定借して新たに開発を進めた。宿泊料は一泊5万円前後にする見込みとしている。インバウンドをメインターゲットに、店舗区画の誘致も行っていく構えだ。




週刊不動産経営編集部  YouTube