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USEN TRUSTの住居用家賃保証 11月から地震保険オプションも開始

2025.12.15 10:33

火災保険がセットのリビングプロテクション
 U―NEXT HOLDINGS(東京都品川区)のグループ会社で、事業用家賃債務保証サービスを提供するUSEN TRUST(東京都品川区)は、2025年8月4日から住居用家賃保証サービスと火災保険をセットにした「レジデンス家賃保証 リビングプロテクション」を開始。2025年11月からは地震保険オプションの提供も始めた。
 USEN TRUSTは2020年4月から事業用家賃保証サービス「テナント家賃保証」を提供開始。以降、多くの不動産オーナー・不動産事業者でテナント家賃保証が利用されてきた。同事業用で得た知見・ノウハウを生かし、今年5月から住居用家賃保証サービス「レジデンス家賃保証」を開始。保証限度額は月額賃料等の24カ月分相当。初回保証委託料は不動産事業者の裁量で設定が可能。入居者にはグループ会社のU―NEXTが提供する、動画配信サービス「U―NEXT」のプレミアム特典を付帯できる。新しい入居者へ各種インフラサービスをまとめて提案・契約できるなど、他の賃貸住宅との差別化と利便性も強みである。
 「レジデンス家賃保証 リビングプロテクション」は、毎月の家賃と保険料をまとめて引き落とすため、入居者には支払い忘れによる保険の失効が発生しない。一方、不動産事業者は保険代理店業務が不要となる。同社が保険契約者兼取扱代理店となり、入居者が被保険者となるため、不動産事業者は保険募集行為やサービス内容の説明、更新管理といった代理店業務の全てが解消。本業に集中できる。
 また同商品は、保証と保険がセットのサービス。更新漏れによるトラブルも予防できる。実は火災保険で多いトラブルが更新漏れ。更新されていない状態にオーナー・管理会社の双方が気付かず、災害が発生してから気付く場合がある。そのような更新漏れも防ぐ。補償プランは3つ。賃貸借物件(部屋)の面積が30㎡までの「プラン300」。30~60㎡までの「プラン600」。60㎡以上の「プラン900」。賃貸借物件の平米数に応じて自動的に設定される。

契約時の煩雑な手続き 個別契約等は一切不要
 11月からは「レジデンス家賃保証 リビングプロテクション」に地震保険オプションの提供を開始。家賃保証サービスとしては国内初(2025年10月時点・同社調べ)。特徴はレジデンス家賃保証の入居者特典と保証内容はそのままに、火災保険と地震保険もセットになっていること。前述の各プランに合わせて、サービス料金を設定。地震による火災・損壊などから家財を補償する。入居者には安心を提供。オーナー・管理会社は地震保険付きの「入居者が安心して暮らせる物件」として差別化やPRに活用できる。入居者の長期入居につながり、安定稼働に貢献する。家賃と火災保険・地震保険の保険サービス料をまとめて引き落とすため、入居者は支払いの手間も掛からない。
 取締役 営業統括部長の伊澤英記氏は「すでに反響は見られ、過去に地震の被害や影響のあった地域での関心度は高いです。地域によっては将来的なリスクも加味し、検討するオーナーや管理会社は多く見られます」とのこと。エリアごとの傾向はあるものの、多くの事業者から高く評価されている。
 保険代理店業務は、募集人資格の取得や研修、契約時の説明義務、コンプライアンス対応など、不動産事業者にとって多岐にわたる労力とコストの負担となる。また、地震保険は火災保険への付帯が義務付けられており、従来は別途の個別契約や煩雑な手続き、少額短期保険で提供ができない点が課題であった。
 同社のサービスは、家賃保証に火災保険・地震保険をセットで組み込む画期的な手法により、これらの煩雑な手続きや個別契約を一切不要とするため、不動産事業者は労力軽減やリソースコストの観点から同サービスを選択するケースが増加している。
 このため、リビングプロテクションは急速に普及・拡大している。不動産オーナーと不動産事業者(管理会社)、入居者の三者にとって魅力的なプランであると言える。




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