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オフィスビル管理市場は1兆1230億円 ビル管理市場の2割占めるー矢野経済研究所調べ

2025.12.08 11:23

 矢野経済研究所(東京都中野区)は3日、国内ビル管理市場(建物管理市場)の調査を発表した。ビル管理における建物使途別や業務別の動向、参入企業の動向、将来展望などを明らかにしている。
 調査によると、2024年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は5兆1615億円、前年度比106・9%となった。既存管理物件の契約更改時の価格改定や、新規管理案件の適正な単価水準での受注および稼働開始に加え、決算期中の収益化が見込める工事案件の新規受注が増加していることが、ビル管理市場拡大の要因として挙げられるとしている。
 市場規模を建物使途別にみると、住宅が約1990億円(建物使途別シェア3・9%、前年度比106・2%)、非住宅が約4兆9625億円(同96・1%、同106・9%)と推計。非住宅の内訳を見ると、事務所ビルが市場規模約1兆1230億円(同21・8%、同106・9%)と、ビル管理市場全体の2割を超えている。次いで、店舗・商業施設が約9268億円(同18%、同106・6%)、医療・福祉施設が約5322億円(同10・3%、同107・3%)、工場・作業所が約4761億円(同9・2%、同106・5%)、学校施設が約4637億円(同9%、同105%)という順になった。
 今後の展望としては、2025年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は前年度比102・1%の5兆2685億円と予測。2024年度までにさまざまなコストが上昇し、ビル管理会社側の積極的な価格改定交渉が継続していること、人件費高騰分を見込んだ適正な管理コストによる新規管理案件の受注姿勢が明確になっていることから、市場の規模拡大は進む見込みとしている。
 一方で管理業務の品質に対する顧客(建物オーナー)側の期待感は大きいとし、管理コストの上昇に対する顧客側の理解が進む中で、ロボット等の活用や効率的な運営管理の提案など、管理会社には付加価値のある高品質な管理業務提案を実現する必要があるとの考えを示している。




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