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クリアル 不動産クラウドファンディングの最新動向を解説

2025.12.01 10:59

 クリアル(東京都港区)は先月27日、メディア向けのラウンドテーブルを開催。急拡大する不動産クラウドファンディングの特徴とトレンドについて解説した。
 「不動産クラウドファンディング」とは5類型あるとされるクラウドファンディングのタイプの「ファンド型」に該当するもので、インターネットを通じて投資家から集めた資金をもとに購入・運用した不動産の運用益を投資家に分配する仕組み。不動産特定共同事業法が改正されたことから、2018年を境にサービス参入企業が急増。2016年時点では5社のみであった不動産クラウドファンディングサービスは今年の8月時点で78社と、現在も市場規模の拡大が続く。
 不動産クラウドファンディングが選ばれている理由のひとつが投資障壁の薄さにある。最小1万円からの投資を受け付ける企業が多く、数十万円程度の投資が必要なREITと比べると低コストで投資を行うことが可能。利回りは2~10%、運用期間は2カ月という短期のものから15年という長期のものまでと幅広いことも特徴だ。
 国土交通省の発表している「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会」の資料によれば、令和5年度末の時点における不動産特定共同事業の一般投資家層は約30万人。うち20万人がクラウドファンディングを運用しているという。特に直近は老後2000万円問題を契機とした個人の投資意欲の増加も背景にあると考えられる。
 代表取締役の横田大造氏は「不動産クラウドファンディングはまだまだ裾野を広げていくんじゃないかと思っています。DX、つまりオンラインで投資が可能になった資産運用の商品、この代表格が株式投資でありますけれども、株式投資が1998年にオンライン取引開始を解禁されることで、やはりこの市場の売買代金がものすごく急増した。同じことが不動産投資にも起こるんじゃないかというふうに予期しております」と、不動産クラウドファンディングの業界動向に期待する。  一方で、虚偽の表示での資金募集や分別管理の未徹底、ずさんなプロジェクト管理等、業界全体での課題もある。資金回収の困難ゆえに期限を延長し、リファイナンスを余儀なくされる案件も多発した。
 こうした現況を踏まえ、横田氏は「より発展するためにはこういった新しいプロダクト好きという方々を超えて、信頼や徹底した安定性をもとに投資判断するような方々にリーチしないと、ソーシャルレンディングのように谷に落ちてしまう。こういった本当に慎重なユーザーさんに不動産クラウドファンディングが認められるためには、利回りではなくて質の高いファンド組成で信頼を得ることが大事」と結んだ。




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