週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

スリースター 8月に売買事業部を設立 売却および購入支援サービス開始

2025.09.22 10:48

 賃貸オフィス専門の仲介会社・スリースター(東京都港区)は、8月に売買事業部を設立。不動産の売却・購入支援サービスも本格的に開始した。
 スリースターは賃貸オフィスビルの仲介業務や募集代行、LM(リーシングマネジメント)、マーケティング支援や内装コンサルティングなどを展開している。昨今は賃貸オフィスの検索サイト「officetar(オフィスター)」、居抜きオフィス検索サイト「vivit(ビビット)」、セットアップオフィス検索サイト「RAKNA(ラクナ)」、リノベーションオフィスを検索・閲覧できる「DOT(デザイナーズオフィストーキョー)」など、テーマに特化したウェブサービスも多数展開。移転検討中の企業や不動産投資家など数多くの法人顧客リストを抱えており、彼らの需要に合致した内容をダイレクトで提案している。
 昨今需要が高いのはセットアップオフィス。エンドテナントのみが利用できる会員制のセットアップオフィス検索サイト「RAKNA」を運営しており、セットアップオフィスへ移転を検討する会員企業の代表へ、メール等を活用したプロモーションを実施。セットアップの成約実績は年間90件以上。会員は直近で1万2000名を超えた。現在も増加傾向にある。
 新たに始めた売却・購入支援サービスは、前述のオフィス仲介業やセットアップオフィスでの実績・ネットワークなども生かして行う。オーナーからの相談で多いのは「築年数の経過した保有物件における出口戦略」や「利回りを維持しつつの資産組み換え」、「近隣の再開発がもたらす影響」など。これらの相談に応えながら、空室や築古物件でも資産価値を高める方法、売却だけでなく買い直し・組み換えまで見据えたサポートも行っていく。
 売買事業部 次長の金子勝男氏は「売却前に『仕上げる』ことで、資産価値をさらに高めることができます。セットアップ化やリーシング支援によって、物件の印象や稼働率を大幅に改善。当社はこのように『売れる状態をつくる』ことから支援し、価格の最大化と売却期間の短縮を実現します。単なる仲介業者ではなく、バリューアップとともに考えるパートナーとして寄り添います」と語った。
 成約事例に、渋谷区のテナントビルがある。空室率は50%。2テナントのみ入居。売却期間の想定は6カ月で、売却価格は想定額の80%と見ていた。対してスリースターは、オーナーへ内装・共用部の改修を提案。自社利用を検討する中堅IT企業の誘致を狙い改修し、見事満室を実現(同社がマスターリース)。売却は3カ月半で達成し、価格も想定額の120%で成約できた。
 金子氏は「中小規模の法人オーナーや個人オーナーから売買・購入におけるアドバイスが欲しいとの要望が多く、前述の事例もあって、本格的に始めました。オフィス仲介業に特化していること、独自チャンネルを複数持っていること、資産価値を高める提案力もあり、収益化・再販・資産組み換えまで一貫して支援できることが強みです。今後は当事業部の人員も増やしていきます」と語った。




週刊不動産経営編集部  YouTube